悩みをどこまで分析・深掘りできてますか?

どの新聞にも欄がある「お悩み相談」。
著者の岡田斗司夫さんは、一時期上野千鶴子さんらに混じって朝日新聞で月一回、回答者になっていたのだとか。
その回答について、どのような思考プロセスを経て到達したかの中身を解説した一冊。youtubeで喋りを見てても、立板に水と言った喋りに加え、譬え話もわかりやすくて頭の切れる人なんだろうな〜という印象を持ってましたが、本書を読むと余計に彼の凄さがわかりました。
ただのオタク、ただのダイエット本を出してリバウンドしたおっさん(失礼)じゃありませんでした。

人の数だけ人生がある。
同じく、人の数だけ悩みがある。

・大学生の娘が抱っこをせがんできます
・息子が結婚できるか心配です
・おばあちゃんが(いい歳なのに)ものを買いまくって困ってます
・スキがなくてモテません

個人的には、全体的に「ファッ?!」となるような内容ばかりですが・・・
馬鹿にはできないし、自分の悩みだって他人から見れば噴飯物だったりしますからね。

で、岡田さんはそういった質問者から寄せられた質問を複数の思考ツールを活用し、組み立てているんだとか。
自分(一般の人?)の考えうる回答と比較し、岡田さんの回答に凄みというか膝を打つような思いをするのは、その思考の広さと深さによるもの。
ツールとしては、分析、仕分け、潜行・・・といったものが並びます。
1つ1つの具体は割愛しますが、要は

相談文をめちゃくちゃ読み込んで本質を掴む。むしろ、相談文自体を鵜呑みにせず、それすら疑いながら・推理しながら読む。
そして、何が問題点で何が相談したいのかを掴む。
そして、解決できる・できないに仕分けし、徹底的になぜを繰り返し本質に辿り着いてから答えを考える。その際に、できるだけ遠回りする。

というもの。

例で挙げられてるのが、彼のケータイを盗みみた女性の話。
・付き合った彼氏と別れた
・ケータイを見たら女だった
・彼を問いただしたら「お前を試したんだ」と泣かれた
・私は謝るべきか、騙されてるのか?
というのが骨子。

自分なんかが回答を考えると
「1000%騙されとるがな!!」で終わってしまいますが、岡田さんは違う。
冒頭で別れた、といっておきながら、謝るべきか?騙されているのか?と悩んでいる。つまり、悩みの本質は「別れた元彼に対する態度や考え方をどうすべきか?」であるということ。だとすると、騙されてます!は回答になってなくて、「この苛立ちをどう整理してやればいいか」という部分に答えてあげないといけない、というわけですね。

確かに本書のなかでも相談文は短いのに、その中でも支離滅裂な文章になっていたりする。言葉尻を捉えたり表面を撫でるだけではダメなんですね。

なんか、お悩み相談というよりも、本や文書の読み方について勉強させてもらった気がします・・・笑

新聞のお悩み相談コーナーが隠れて好きな人には間違いなくハマる1冊です!


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