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ただのダイエット本かと思ったら名著だった


自分にとって良い本の定義は様々かと。
・仕事の効率化に直結する
・人生の糧になる
・世界をよりよく理解できる
等々。


骨しゃぶりさんと堀本氏が推していたので、手に取ってみた一冊。
衝撃的に面白かったです。。。笑
昆虫学者の2人が長年に渡り”食欲”について調べまくったら、世間の9割の人が思い込んでいるのとは異なる結論(知見)に到達した、というお話。

今まで、当たり前すぎて何も疑問を抱いてこなかったものの、考え出すと不思議なこと。動物も昔の人間も、カロリーなり栄養素っていう概念すらなかったはず。だけど、皆きちんと生きてきた。一方、現代を生きる我々は、科学の発展により体の中での栄養素の役割をよく知っているのにも関わらず、多くの人が肥満に悩んでいる。なんという皮肉。
ヒヒと言わず、粘菌ですら自分達に必要な栄養素をきちんと必要な分だけ摂取するというのに。

途中は割愛しますが、著者たちの行き着いた結論を箇条書きにすると以下のようなもの。


・食欲を一緒くたに認識してしまいがちだが、実は生物には”栄養素欲”がそれを満たすまで食べる、という戦略。一番強い欲求が”タンパク質欲”で人は、それを満足させるまで食べ続ける。他の生物も基本的には同じ。

・低炭水化物ダイエットで体重が落ちる原理もこれで説明がつく。炭水化物をひくすれば痩せる、というのは表層的な説明で炭水化物量を減らすと自動的にカロリー当たりのタンパク質の割合が増加する→低いカロリーでタンパク質欲を満たしやすくなる、というシンプルな説明になる。

・超加工食品により、バランスが崩されることにより、より食べたくなってしまうというカラクリ。超加工食品の摂取量と肥満の割合には相関がある。

・穿った目で見ると、食品業界が儲けるためには、なるべくタンパク質割合が少ない、過度に加工された食品を提供すれば良いことになる。アイスクリーム、ポテトチップス、その他スナック菓子など。食品業界は、低蛋白質でできるだけ蛋白質欲を満足させないようにしてたくさん食べてもらうか、が命題になる。

どこからが超加工食品に該当するか?という定義は本書に譲りますが、何からできているかわからないものは大抵該当すると思って良さそうです。
ちなみに、それらに使われている材料の本当の姿を知ると食欲が失せます。笑
もはや工業製品(食品でなく)を食べてるのか、というレベル。

料理人の方々が人生をかけておいしいものを追求する。その姿勢には感銘を受ける部分もありますし、時々、その味に感動を覚えたりもする。
でも、本書を見ると、「おいしいもの」を追求することが本当に人類に取ってメリットになるのか。ちょっと疑問を持ってしまいました。
(サプライする側が、意図するしないに関わらず、より中毒性の高い=おいしいものを作り出し、提供する、という行為を指しています。料理に携わる方がよりおいしいものを目指すことを止めたいとか、揶揄したいとか、そういう意図はございません。)

あと、本書の良いところは読んで読者が疑問に思うところを一つ一つ拾ってきちんと解説してくれている点。さすが科学者といいますか、読者の反論・コメントを想定し、ちゃんと手を打ってくれているので全くストレスなく、スラスラ読めます。

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