世界のニュースの解像度向上によき〜13歳からの地政学 カイゾクと地球儀航海
近年、よく耳にするようになった地政学言葉。
地学とは、地理学と政治学を合わせた用語で、国の地理的な条件をもとに、政治的社会的軍事的な影響を研究する学問における研究分野を指すそう。なんとなく面白そうだったのと、Amazonのレビューも好評化が多買ったので、手に取ってみました。
カイゾクさんというアンティークショップの店長が大樹と杏という兄妹に地政学の講義をしていく、という小説形式。割と平易な言葉で書かれていおり、ある程度の一般常識と地理的な知識は必要ですが、13歳でもすんなり理解できる内容かと思います。
ただ、自分のような社会人にこそ是非進めたい作品でもありました。
というのも、自分の勉強不足もあるでしょうが、世界の出来事を、如何に「偏った見方」をしているかを気付かされる点が複数箇所あったからです。
特に印象的だった部分を何点かあげてみたいと思います。
アフリカが貧困国なのは「当たり前」なのか
ユニセフの広報活動をはじめ、アフリカの痩せ細った子供の写真。
プランテーションでの劣悪な労働環境で小学校に行かずに働かされる子供たち。
自分を含め、多くの日本人はアフリカ=貧しい地域というイメージを当たり前のように持っているかと思います。実際、アフリカ各国の平均GDPは日本の20分の1だそう。統計データでもそうなっており、日本より貧しいというのは誤認ではないようです。
ただ、一歩踏み込んで、なぜ貧しいのでしょうか。
地理や資源の観点から見ますと、広大な砂漠があったり、赤道直下の厳環境のエリアが多いことも事実ですが、一方で豊かかな自然、チョコレートを代表するような農作物、それに豊富な貴金属。
それを考える一つの手がかりになるのが、”カカオはアフリカで作られても、チョコレートはアフリカで作られない”こと。
本書には作者なりの回答が示されており、政治家が海外にお金を流しているからとしています。
じゃあなんでそんな悪い政治家が多いのか?背景には植民地からの独立の際に国境が民族等の整理なく機械的に決められ、まとまりが欠けるために軍事的な独立体制とならざるをえなかったということがあるそう。
もっと発展・発達するポテンシャルは秘めているものの、発展できない地域。それがアフリカなわけですね。
言葉の使い方による国民の意見のコントロール
地政学とは直接関係ないかもしれませんが、自分が一番はっとされられたのがこの点。
毎年8月15日は終戦記念日です。
生まれてこの方、この記念日に何も疑問を持つことはなかったですが・・
日本は降伏したわけで、 敗戦記念日 でも良いわけです。
今も韓国が日本に対し、従軍慰安婦問題等で謝罪を要求してきているとの報道がなされます。で、自分を含む多くの日本人は、直接戦争に関わったわけでもなく、突然「謝れ!」と言われているに等しいわけですから「今更、自分たちに言われてもねぇ・・しかも、これまでも謝罪してるじゃん」というのが多くの方の思いかと思います。
韓国と日本との関係に対し、アメリカと日本の関係はどうでしょうか?
自分世代を含め、「敵国・アメリカ!」と如実に反米を謳っている人はほとんどいません。ありがたくapple社製品を含め使っており、毎日googleで検索してます。
で、冒頭の質問。これも、なんとなく記念日の名前をつけたわけではなく、意図があってのこと。
臥薪嘗胆じゃないですが、アメリカに負けた(敗戦)というのを前面に出し、それをバネに頑張る、というのも一つの手。一方、当時の日本の状況を鑑み、敗戦したのは誰が悪かったのかという議論をずっと続けて仲間内で歪みあっていては、復興に向けた協力がしにくくなるという考え方もある。
それで日本は後者を選択したわけですね。
何気なく使っている言葉。されど言葉。
一つ一つの単語の意味にも敏感になりたいものですね。
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