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(本)思考力改善ドリル: 批判的思考から科学的思考へ

おそらく、よほどの意識高い系の人じゃないと手に取らなそうなタイトル。
中身をチラ見しても、例題と練習問題の嵐でなかなかとっつきづらそう・・・
読書猿さんがお薦めしていたこともあり、自分はなんとか2周目を鉛筆片手にやり遂げましたが、この先行き不透明の時代だからこそ、多くの人に身につけてほしい思考法がドリルを通じて身につけられるようになっています。
何か突飛な思考法が習得できる、というのではなく、何か情報に接した時にキチンと疑い、そしてその情報の取り扱いに関するスタンスが身に付く、そんな一冊です。

血液型占い含め、世の中には「科学的根拠はないけど、広く信じられている事項」がたくさんあります。毎朝の生まれた月の占い、星座占い、血液型占いなどは最たるものでしょう。
こういったものも、エンターテイメントとして楽しむ分には全然問題はないと思ってますし、それを否定するつもりは毛頭ありません。そういった占いを心底信じ込み、生活に反映させている人の方がマイノリティーかと思います。
一方で、実はテレビの報道や我々が耳にする情報にも、信憑性はこれらの占いと変わらないのにまことしやかに信じられれていること、がたくさんあります。

・髭は剃れば剃るほど濃くなる
・白髪は抜くと増える

等々。感覚とあってそうだとなんとなく「正しい」と思ってしまいがちですが、両方とも科学的には正しくない。髭の事例なんて、まだ若い人なんか特に”剃っても剃らなくても増える”わけですから、本当にその因果関係を示したいのであれば、純粋に「髭を剃る」という行為の有無のみの影響を比較できるようにして、確認しなければなりません。

このサプリメントを毎食後に食べた人の90%は、一ヶ月後に体重が10%低下しました(正し、適切な食事管理と運動も行っています。)

こんな広告はよく目にするかと思いますが、これを見て「ダイエットに効くんだ!」と思ってしまった方は要注意。
もしかしたら、食事管理だけ、運動だけで痩せた可能性もありますし、何人を対象に実験したかも不明。この情報だけでは、サプリメントの効果は判断できない。キチンとした思考法を身につけている人であれば、そういった点を調べるなり確認するなりし、安易に飛びついたりはしないはずです。
先日、コロナのワクチン「ノババックス」についての報道を目にしました。ニュースの時に「副作用が小さい!」「痛みも小さい!」というのを強調してたので期待してよくよく番組を見ていると・・・個人的には、そんな伝家の宝刀みたいな報道で良いのかなぁという感触で、むしろ誤解を生じる方がよろしくないのでは?と思ってしまいました。

ドリルで出題数も多く、さらっと読んで終わり、という本ではありません。
時間もかかるし、キチンと手を動かし、解答を理解しないと見にならない。
でも、キチンと取り組んだ分だけ、怪しい情報に対するリテラシー、理解の解像度が上げてくれる。
そんな、骨太の一冊です。

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