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街々書林のはじまり

 新型コロナウイルス禍が広がった初めての夏、2020年の8月に、私は東京下北沢にあるBookshop Travellerを初めて訪れました。幸い、店主の和氣正幸さんがお店にいて、ここの「棚貸し」方式について丁寧に説明をしてくれました。私もいくつか質問をして、ここへの出店をしようという気持ちになりました。
 お話をしていて途中で気づいたのが、自分で持っている『全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん』の著者が目の前にいる和氣さんだということ。ああ、ハッピーな出会い。その後、和氣さんからは、本屋のこと、本の流通のことなどをいろいろ教えてもらうことができました。
 ところで、Bookshop Travellerには入居・出店に当たって「面接試験」があります。まあ、そう厳格なものではないのですが。その最初の日にひととおり説明を受けた後、「次に面接に来るのはいつにしたらいいでしょうか?」と問うと、何ともう合格とのこと。今の会話がそれだったのですね。

 出店が決まると準備を始めました。
 僅か幅45cmの棚とはいえ、ひとつの店舗です。
 まずは店名、屋号です。たくさん候補を考えますが、一発で「これ!」という名前はなかなか出てきません。でも、時間は限られています。旅の本屋を作ろうとしているのですから、旅や土地、交通に関係する名前を書きだしました。津々浦々とか、東西南北、そよかぜ、草枕などなど。ウンウン唸りながらも、3日後くらいには「街々書林」と決めました。私は都市でも、田舎でも、ビーチなどでも、一所にじっとしているより、歩き回って生活の香りを感じる旅が好みです。だから大小の暮らしを感じられる、街々という語に書林を付けました。書林の「林」もちょっとは旅感がある気がしています。
 そうして準備は続きます。本を集め、棚を飾る店名看板(小さいです)、ショップカード、スリップ(本に挟んである小さく細長いカード)、在庫と売上を記録するEXCELの表もつくりました。

開店日は2020年9月12日(土)と決まりました。

※この記事の写真は、開店直前の街々書林の棚です。バックに旅の写真を入れてあります。

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