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試合に負けて泣き止まない妹(小3)に姉(小6)がかけた言葉が深過ぎた

先日、娘たちが通う正道会館の空手交流試合が行われた。歴戦を積み重ねてきた黒帯の姉ではなく、4年間続けてもなかなか目の出ない黄色帯の妹の方だ。
午前中は空手の試合、午後からはフルコンプラスという新しいルールの試合だった。小柄で華奢な娘は空手の試合では滅法負けてばかり。しかし、新しく導入されたフルコンプラスのルールは彼女の体格でも勝ち方を見出す事が出来るもので、最近は少し自信を付けてきていた。

娘の目標は午後からのフルコンプラスで優勝する事。
しかし何と、午前中の試合で見事に優勝を果たす。
自信が芽生えると人はこんなにも変わるのかと、目を見張る程の戦いぶりで一本勝ちを重ねた。
2時間の休憩は、それはそれは浮かれていた。
午後からの試合は、午前中に一本勝ちをおさめた相手だった。
そして、午後。娘は負けた。
相手の子は本気で娘を倒すために対策を練り、親子で何度もシュミレーションして、2時間で明らかに強くなっていた。娘の得意な左上段蹴りが見事に封じられた。

泣いて地団駄を踏み「なんでや!なんでや!」と悔しがる娘。試合会場を出る時もずっとポロポロと涙を流していた。そんな妹を見かねた3歳年上の姉が言った。

「この会場の、ほとんどの人が悔しいんやで。」


チャンピオンになるのはほんのひと握り。
オリンピックの金メダルと一緒。
あとは銀メダルも1回戦負けも、みんな悔しい。
人生なんて、負けの連続だ。ほとんどの人が悔しい思いの積み重ねを生きている。

僕の人生も例に漏れず、悔しいの連続だ。
悔しいことの繰り返しだけど、諦めなければいつか勝てる日が来る。
100回の悔しさの中にある1回の優勝をコツコツ積み重ねているに過ぎない。
それを10,000回繰り返している人が、オリンピックのメダリストなんだと思う。

ラテアートは数えきれないくらい練習したものだ

晩ご飯はキムチとビールさえあればいい営業マンだった僕は、D&DEPARTMENT OSAKAという衝撃的なカフェに出会って人生の負け数が加速した。
脱サラして、時給500円の価値も無いと言われながら年下の上司に扱かれて修行した。キャベツの千切りを練習し、そればかり食べて過ごした30歳。
結婚式の時、修行の身だった僕は要するに「フリーター」だった訳で、妻の親族からの視線が痛かったし、司会の方は僕を紹介する言葉選びに苦心したはずだ。

今ある日常から一歩前に進み、試合の舞台に立つという事は、怖くて怖くて仕方ない。
でも、試合に挑んだ人間にしか手に出来ない未来がある。
僕はそれを掴み取りたい。

小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道
2004年メジャーリーグ年間安打記録を破った際の記者会見より

イチロー選手の言葉。
刺さるな。
サラリーマンからカフェオーナーになった時、突拍子も無い変身を遂げたように見えただろうけど、その実、積み重ねたのはキャベツの千切りみたいな事ばかりだ。
新しく建てるJAMビルも、コーヒー1杯450円の繰り返しと、それプラスαの積み重ね。宝くじは当たってないし、親は元気に暮らしているので遺産が入った訳でもない
来てくれるお客様と、支えてくれた歴代スタッフと、農家さんや娘たち、色んな人に恵まれて、僕たちの積み重ねが実っている。実りつつある。

「負けたことがある」というのが いつか
大きな財産になる
「スラムダンク」31巻 井上雄彦著

言わずとしれたバスケット漫画「スラムダンク」の一節だ。王者•山王の後ろ姿が泣くほど痺れるシーン。

「私の方が強かったのに…」1分30秒の試合を悔やむ娘に僕は、「強い者が勝つんじゃない。勝った者が強いんだ」と話した。
今までなら「負けても仕方ない」と言っていた娘が心から悔しがり、帰りの車の中で「私、もう負けたくない…強くなりたい。」と呟いたのを、僕は聞き逃さなかった。

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