見出し画像

-写真のコントラストについて-

皆さんこんにちは!こんばんは!「山と写真とカポエイラ」をテーマに書き始めたこのノートも第4回となりました。書き始めてから色々な方から好評を頂き、嬉しく思っています。SNSでは自分の言葉をなかなか伝える機会がありませんが、このノートでは僕の経験を通して感じたことや気持ち、考えなどを自由に綴っていきたいと思いますのでゆるく読んで頂ければと思います。

さて今日は「写真のコントラスト」をテーマに先日Twitterに載せたこの写真についてお話ししていきたいと思います。

画像2
画像5

今回僕が話す「写真のコントラスト」とは写真の明暗のコントラストではなく、被写体とロケーションの対比という意味のコントラストについてです。

まずお話ししたいのは僕が撮る写真に「現実の中の非現実」というテーマがずっとあり、これは僕の創作活動の中での指針になる言葉となります。僕のSNSやポートフォリオをご覧頂いている方ならこの写真はもちろんご存知だと思います。

画像3

「現実と非現実」については凄く簡単です。ここにこんな人がいたら面白いだろうな。というものです。普段の何気ないこの場所で、このシチュエーションで、こんな人が、こんなことをやってたら面白いだろうな、綺麗だろうな、楽しいだろうなという考えと2つのギャップ感です。この写真でいうところの一般の人が行き交う地下鉄で(現実)、駅のホームが舞台となってバレリーナが踊る絵(非現実)が見る人に面白いギャップを伝えています。

写真だけではなく、人もそうだと思いますが、人に何かギャップがあるとドキッとしませんか?めちゃくちゃズボラそうでのんびりしてるのにいざとなったら頼れる男とか、見た目が派手で一見パリピな女性かと思いきやパパッと料理や家事をそつなくこなせるとか。

これも「現実の中の非現実」です。この赤い椅子はIKEAに売っていたのですが、見た瞬間かわいい〜と思い、これを外に置いて撮影したら面白いだろうな〜っていう始まりでした。これは様々な人に黒い衣装で統一性を出し、今現在も赤い椅子シリーズとして様々なロケーションで撮り溜めています。この辺の記事も改めて書きますね。

画像13

さて、本題に戻りましょう。今回の「写真のコントラスト」とはモデルさんの衣装とロケーションのコントラスト/対比です。今回モデルさんに着てもらったのはZARAのボディスーツとユニクロのストレッチパンツです。

画像4
画像5

このZARAのカタログ写真だと後ろが見えないのですが、バッツリ左側の背中が開いていてカッコいいんですよね。いつだか忘れましたが、たまたま何かでこれを見かけてZARAで即買いしました。いつか誰かに着てもらって撮影しようくらいの気持ちで。こんな感じで僕はよく女性物の衣服やアイテムを気に入ったものを見かけては買っています。なので撮影用の小物と一緒に女性物の未使用の衣服が家にいくつかあります。もちろん毎回僕が衣装を用意するわけではありませんが、スタイリストさんがいない場合は普段着ないような服をなかなか皆さん持っていないのでこちらから買うしかないんですよね。あとはファッション業界は移り変わりが早いので後で欲しいと思ってももう売ってなかったりするんですよね。ユニクロのストレッチパンツは普通に僕の私物です笑 なので今回はモデルさんに白いスニーカーだけ持ってきてもらいました。ちなみに気付いた人がいたら凄いですが、スニーカーは足先が足袋のように割れているリーボックとマルジェラのコラボの足袋スニーカーで下町感も演出しています。

で、モデルさんの体型も含めて今回の衣装はパンツとスニーカーでストリート感も出しつつ、ボディスーツでファッションさ、スタイリッシュさを演出しました。

画像6

モデルさんは僕の知り合いで彼女には以前にもアパレルの撮影を何度かお願いしていた方で今回は僕の作品撮りとして依頼しました。彼女、モデルさんじゃないんですよー。モデル経験はあるのですが、一般の方です。びっくりしません?表情や身のこなし方とか完全に雑誌のモデルさんですよね。今回の衣装で作品を考えたときに彼女がすぐに思い浮かんだのですが、結果やはり大正解でした。

そしてロケーションですが、悩みました。どこがいいんだろう。表参道や渋谷とかなら雰囲気合うけど、ファッション=表参道・渋谷は普通過ぎて面白くない。頭の中で色んなロケーションをイメージしました。正直言うと、海外のフードマーケットやフラワーマーケットとかの市場で花とか果物とか抱えてカッコよく買い物してる姿も良かったのですが、まあ日本にはそういったマーケットがないんですよね。東京って良いところもたくさんあるのですが、海外に比べると僕の撮りたいイメージにマッチするロケーションがあまりない、味気ないところが多い気がします。まあない物ねだりでしょうね。海外に住んでたら日本のような情緒ある場所がない!とか言うかもしれませんね。

こんな汚いお店でスタイリッシュな女性がご飯かっ食らってる絵とかも良い具合のコントラストで面白くないですか? 

画像12

とまあ色々考えた挙句、結局衣装のスタイリッシュさと浅草寺のレトロさ、THE日本!みたいな雰囲気でギャップを作り、それをコントラスト/対比にしようと決めました。ある意味、浅草寺にこんな人はいないだろうという軽い「現実と非現実」でもありました。

アートボード 1

焦点距離: 70mm 露出:F4 1/400秒 ISO 100

アートボード 1.jpg2

焦点距離: 140mm 露出:F4 1/400秒 ISO 100

RAWと現像後です。別に特に説明することはありません。なぜこの現象にしたかというと、なんとなくです笑 浅草という土地柄、レトロ感は少し出したかった。また非現実感ということでシネマライクな雰囲気にしたかったというのはありました。色々やってみましたが、結局自分の中でこの現像が一番しっくりきました。これは余談ですが、僕は基本的にクロップ、トリミングはしません。以前、ヒーコさんのコラムで山の記事の時にも書きましたが、構図を決めてシャッターを切った時点で僕の中ではその絵が完成されたものであり、そこに必要な空間・間があり、僕が表現したいものが細部まで詰まっているので余分なものはないんですよね。もちろん、クロップやトリミングを否定しませんし、僕もやることはあります。良ければ、ヒーコさんでのコラムも読んでくださいねー。

あと、この写真でのレンズですが、Canon EF70-300mm F4-5.6L を使っています。かなり古いレンズなのですが、Canonの白レンズだけあって未だに描写は素晴らしいです。普段ポートレートの時はTamron 35mm F1.4 Model F045の一択なのですが、状況に応じてこのズームレンズも使ったりします。他にも50,85,100mmなどの単焦点も持っているのですが、このタムロンを手にしてからは他は全く使ってません。以下は今回タムロン35mmで撮影してまだSNSなどに載せていない他のカットの一部です。

画像12
画像10
画像11

とまあこんな感じで僕は撮影するにあたり衣装やモデルさん、ロケーションを決めています。そんなにたいした理由ありませんね。基本的には楽しそうだな〜、かっこ良さそうだな〜くらいでしか始めは考えておらず、そこから色々なコンセプト、今回で言うとスタイリッシュ×下町レトロをイメージしながら後は現場でモデルさんの雰囲気を感じながら詰めていく工程です。

では夏に向けて入手したアイテムがいくつかあるのでそれを使用した際はまたこういったゆるい感じで書きたいと思います。

記事への感想や質問、書いてほしい内容や要望などありましたら是非コメントください!

ではまた。ちゃお〜

----------------------------------------

フリーランスフォトグラファー 石橋 純

東京を拠点に世界中を飛び回り、海外に行く度に様々な国や地域の自然に触れ、その美しさをカメラに収めていくことに喜びを感じ、写真家を志す。
海外の自然から改めて日本の自然の美しさに気付かされ、登山家としても活動。Canon Image Gateway写真展 [極楽・風景時間]では数ある風景写真の中から10人のトリを飾る。現在、写真とカメラのWEBマガジン ヒーコにて「登山と写真」について執筆中。被写体は自然などの風景はもとより、 ポートレートやストリートスナップ、 アート写真など幅広いジャンルを独自の感性で撮影するフォトグラファーである。
また、ユネスコの無形文化遺産であるブラジルの伝統芸能「カポエイラ」を23年学び、Contra Mestre (副師範)の位を持つ。15年以上を子供から大人まで教え、TVやCM、アーティストのMVや広告などでカポエイラの監修や指導、そして自身もパフォーマー兼モデルとして活動する。

After taking up hiking and realizing how magnificent nature is in Japan, Tokyo-based photographer, Jun, enjoys capturing its beauty through photographs in his home country and abroad. Besides nature, his work covers a wide range of genres such as landscape, portrait, artwork, and street photography.

In addition, for more than two decades, he has been a practitioner of Capoeira, an Afro-Brazilian martial art recognized as a UNESCO Intangible Cultural Heritage of Humanity, and has risen to the rank of Contra Mestre.

この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?