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伊勢丹新宿店が「バブル越え」の最高益。顧客となる年収5億以上30~40代の超富裕層世帯の爆増が止まらない。

絶好調の「伊勢丹新宿店」を支える顧客たちの正体 22年度の売上高がバブルの最盛期越える公算

東洋経済オンラインより 最新記事

三越伊勢丹ホールディングスが4月3日に発表した3月の売上高(速報値)によると、伊勢丹新宿本店の3月度売上高が前年同月比24.8%増を記録した。2022年4月以降は12カ月連続でコロナ禍前の2018年度を上回るペースで推移しており、2022年累計では1991年度の過去最高売上高(3000億円超)を上回る見込みだ。

売上高がバブル最盛期を越える勢いの伊勢丹新宿本店(写真:masy/PIXTA)

2021年度の国内百貨店売上高は4兆4183億円で、1991年度の9兆7130億円から百貨店市場が大幅に縮小していること、インバウンド需要が本格的に戻ってきたのは今年に入ってからということを考えると、にわかには信じられない好業績である。

この好調は伊勢丹新宿本店だけのものなのだろうか? それとも長らく「終わっている」と言われ続けてきた百貨店業界全体が活気を取り戻してきているのだろうか? まずは伊勢丹新宿本店の好調の要因を分析してみることにしよう。

日本で増えている富裕層と超富裕層

コロナ前の百貨店業界にとって、インバウンドの免税売上高の拡大は最重要課題だった。2018年度の伊勢丹新宿本店の免税売上高は296億円(前期比3.1%増)で、売り上げシェアは10.3%。三越銀座店にいたっては、売り上げの約3割を免税売上高が占めるまでに成長していた。

それがコロナ禍でほぼゼロになってしまった。2019年度の訪日外客数は3188万人だったのが、2021年度にはわずか24万人に。2022年になっても382万人にとどまっていた。国内に居住している外国人の代理購買を考慮したとしても、この間の売り上げのほとんどは内需によるものだと言っていいだろう。

が、その内需を“特需”に変えたのは、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の“富裕層”、そして5億円以上の“超富裕層”である。

野村総合研究所によると、2021年の日本の富裕層の純金融資産保有額と世帯数は259兆円、139.5万世帯で、超富裕層は105兆円、9万世帯。両者を合わせると364兆円、148.5万世帯となる。

富裕層・超富裕層の純金融資産保有総額と世帯数は、2013 年以降は一貫して増加を続けており、それはコロナ禍でさらに加速。2019年から2021年にかけて、富裕層・超富裕層の純金融資産保有額の合計額は9.3%(333兆円から364兆円)増加し、超富裕層は3000世帯、富裕層は15.5万世帯も増えている。

伊勢丹新宿本店は、こうした超富裕層・富裕層、なかでも30〜40代の“新富裕層”の囲い込みに成功したとみられる。実際、伊勢丹新宿本店の2021年度の買い上げ上位顧客5%による買い上げシェアは50.9%(2020年度は47.7%)に上昇。さらには49歳以下の外商購買額シェアが5.3ポイント増の28.9%(2020年度は23.6%)となり、外商顧客の若返りも進んでいるのだ。

同社が3月15日に発表した2月の売上高(確報値)によると、「伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店では、引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く、時計・宝飾・ハンドバッグに加え、ラグジュアリーブランドの春物衣料も好調に推移している」としている。

なぜ新富裕層の囲い込みに成功したのか?

成功の第1の理由は、個人外商改革にある。同社は2022年4月から外商統括部を本格稼働し、三越と伊勢丹の暖簾で分けるのは止め、場や店舗にとらわれない外商サービスを強化。具体的な施策として、①AIを活用した営業の強化、②接客の場を店舗の外へ拡大、③これまで百貨店が扱ってこなかった商品供給体制の構築、④プラチナ顧客数の拡大――を推進した。

①に関しては、外商担当者やバイヤーの知見や経験に加え、定量データを活用したデータマーケティングを実施。そのデータをMD、バイヤーと共有することで、顧客の期待を上回る商品を供給できる仕組みの構築を推進している。

また、駐在員によるパリコレのファッションショーへのアテンド、海外での挙式やオートクチュールのオーダーなど、店舗外の新しい顧客体験価値の提供もトライアルで実施している。さらには旅、投資、自動車購入、プライベートジェットのチャーターなど、外商の品揃えを拡充。こちらは日本橋三越外商部で先行している事例で、そのノウハウを伊勢丹新宿本店にも広げているという。

さらに、三越伊勢丹グループのクレジットカード「エムアイカード」の年間購入額が300万円以上のプラチナ顧客の拡大を推進。年間購入額が100万円以上のゴールドカード以上で10%のポイントが貯まるほか、プラチナ顧客には外商部に属するストアアテンダントが、店舗内の買い物を、フロアを超えてサポートするサービスも実施している。

超富裕層・富裕層へのアプローチ強化は2021年度から好結果が出ており、外商統括部が本格的に稼働した2022年度の外商総扱高は、三越伊勢丹全体で860億円を見込んでいるが、大幅に上回ってくるのは間違いないだろう。

名実ともに日本一感度の高い館に

成功の第2の理由として、名実ともに日本一高感度なファッションの品揃えを実現していることが挙げられる。

百貨店は終わったと言われるようになった1990年代から2000年代にかけて、高感度層に響くファッションを供給してきたのは、ビームスやユナイテッドアローズ、ベイクルーズなどの大手セレクトショップだった。しかし、年を重ねるごとに利益率の高いオリジナル商品の比率が増え、強みとしていた世界中から集めたセレクト商品の品揃えが縮小。現地でのバイイングができなかったコロナ禍でその流れはさらに加速した。

伊勢丹新宿本店は、世間から百貨店はダサいと言われるようになった1990年代から、地道に高感度化に取り組んできた。百貨店の自主編集売り場の先駆けとなった「TOKYO解放区」、世界中の尖ったブランドをセレクトしてきた「リ・スタイル」が代表例で、そこから大きく巣立ったブランドも枚挙にいとまがない。

パリ・ファッションウィークの公式スケジュールに名を連ねる日本のファッションブランド「マメ クロゴウチ」は、そんな出世組の代表例だ。ブランド設立当初からリ・スタイルで販売し、シーズンを重ねるごとに着実にファンを増やしてきた。

2021年からは定期的なコラボレーションプロジェクトを実施。2月には常設店をリ・スタイル内に設け、3月29日〜4月4日にかけて開催した本館1階「ザ・ステージ」で開催したポップアップショップも大盛況だったという。

こうした国内ブランドの育成は、これまで大手セレクトショップが担ってきた部分が大きかったが、セレクトという性格上、ブランドのフルラインナップを揃えることができず、点でしか見せられないという弱点を抱えていた。

でも伊勢丹なら掛け率などの条件は厳しくても、ブランドの世界観をしっかり見せることができる。マメ クロゴウチは今、日本発のラグジュアリーブランドとしての階段を着実に上っているが、伊勢丹新宿本店が果たした役割は決して小さくないだろう。

もちろん、売り上げの多くを欧米のトップメゾンの服、時計、宝飾品が占めるのは間違いない。でも、こうした国内ブランドの育成をはじめとした小さな積み重ねが、伊勢丹新宿本店を“日本一のファッションの館”に押し上げ、ファッション感度の高い層、新富裕層を惹きつけているのである。

富裕層の“特需”を維持できるかがカギ

今後の課題を挙げるなら、ECのさらなる強化と、コロナ禍の超富裕層・富裕層による“特需”を維持できるかどうかだろう。三越伊勢丹の2021年度のEC売上高は372億円(前期比18.1%増)で、三越伊勢丹オンラインストアのEC売上高は120億円(前期比17.6%増)。コロナ禍で大きく伸びたものの、依然としてEC化率は10%以下で、大手アパレルやセレクトショップに大きく水を開けられている。

また、コロナ禍の超富裕層、富裕層の高額品消費は、通常なら海外旅行や飲食にかけていたぶんが回ってきたという側面もあり、海外渡航制限がなくなれば、この2年の特需を維持していくのは難しいとの見方もある。

しかし、3月、4月の東京を少し歩けばわかるように、外国人観光客がコロナ以前かそれ以上に戻ってきている。2023年2月の訪日外客数は147万人で、2019年比で43.4%減(中国は95%減)まで回復してきており、昨今の勢いを見るかぎり下期には2019年度並みの水準まで戻ってくることが予測される。さらに中国の訪日客が戻ってくれば、国内の富裕層による特需が減少したとしても十分カバーできるのではないだろうか。

国内百貨店主要5社の前年同月比の3月度売上高は、三越伊勢丹が22.9%増(2019年3月比で9.2%増)、高島屋が9.1%増(同5.7%増)、大丸松坂屋百貨店が18.0%増(同5.7%減)、そごう・西武が9.7%増(同6.2%減)、阪急阪神百貨店が20.8%増(同約6%増)となった。5社とも前年を上回っているものの、大丸松坂屋百貨店とそごう・西武は2019年比ではマイナスとなった。

各社の数字を見ると、三越伊勢丹と同様に都心の旗艦店が好調なのが分かる。三越伊勢丹は三越銀座店が39.7%増、三越日本橋本店が18.3%増で、エイチ・ツー・オー リテイリングは阪急うめだ本店が14.9%増、阪神本店は80.4%増。高島屋は新宿店が21.7%増、大阪店が15.1%増で、J.フロントリテイリングは大丸東京店が37.2%増、大丸心斎橋店が32.5%増となった。

地方百貨店の復活も不可能ではない

なかでも好調が目立つのが阪神本店。ファッションやギフト需要が好調で、大型催事の連打も奏功したという。阪急うめだ本店も好調で、①世界に通用するスペシャルコンテンツの拡充、②オンライン・オフラインの区別のない価値ある顧客体験の提供、③サステナビリティの推進――を重点課題として掲げ、劇場型百貨店を目指す同店は、“西の横綱”として伊勢丹新宿本店と同様に百貨店業界をリードする存在と言えるだろう。

一方で地方店は各社とも厳しい状況で、今後も閉店が続くことが予測される。でも、成功している都心旗艦店のノウハウを上手に活かしつつ、地方ならでは特色を加えることができれば、復活も不可能ではないと思うのだ。都心旗艦店と地方都市の百貨店の両方がうまく回り始めた時、はじめて百貨店は復活したと言えるのではないだろうか。


筆者感想

わたしは、以前、下記の百貨店の外商部と取引していました。

銀座和光、銀座三越、銀座松坂屋、銀座松屋、日本橋高島屋、新宿伊勢丹、東急百貨店、東武百貨店、西武百貨店、そごう。などです。

外商担当から、また、総合商社役員の奥方からも聞いておりましたが、

富裕層の方のご自宅へと黒塗りの車で、リクエストされた貴金属や、お洋服を何点か持ってご訪問。

数千万のダイヤから数10万、数百万の服などをお勧めします。

お客様は値段も聞かずに、まとめて年でツケ払い。

その支払額は数百万~数千万。

ユーチューバーで、スタイリストのMBさんも「服は、年間2000万くらいは買ってます」と言っていました。氏の年収は2~3億だったかと。

年間で宝石類などを含めて、億以上買われる方もいました。

庶民に安くで多数販売するより、効率も良く、リピーター率も高い。

今後は、富裕層に、ハイブランドやラグジュアリーブランドをまとめ売りしていくことと思われます。

庶民は、ユニクロ、ジーユー、SHEIN、ZOZOTOWN、メルカリで我慢しますかねー😅😅😅

最後まで、お読み下さり、ありがとうございました。よかったらスキ、フォローよろしくお願いします😉


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