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資源高でボーナス「500万円」超え!総合商社の懐事情。匿名座談会、総合商社の「リアル」と「裏側」

東洋経済オンラインより

平均年収は1500万円。就職先人気ランキングでは毎年上位に名を連ねるエリート集団の象徴が、総合商社だ。近年は資源価格の高騰で、業績連動の賞与(ボーナス)が急騰している。どこまでわが世の春は続くのか、現役商社員に仕事の裏側を聞いた(個別取材を座談会形式で構成)。

[参加者PROFILE]
Aさん(40代男性)金属部門。ワーク・ライフ・バランス重視で戦略的に窓際族を狙う
Bさん(50代男性)非財閥系商社のインフラ部門に勤務。海外事業立ち上げなどに従事
Cさん(20代男性)体育会系。自慢の体力が評価され鉄鋼のトレーディング部隊に配属
Dさん(20代女性)非財閥系。海外営業を希望して入社するも、国内向けIT部門に配属

──商社での経歴を簡単に教えてください。

A 入社以来、金属部門で働いてきた。自動車メーカーへの鋼材輸出や海外での事業投資を行ってきたが、最近、コーポレート部門に異動した。
B 私は、インフラ畑一筋。海外子会社への出向なども経験して、今は本社で海外子会社の事業管理を行っている。
C 体育会採用で商社に入社した。体力を見込まれて、鉄鋼部門でトレーディングを行っている。相手先が海外なので、トラブルがあれば夜も仕事をしている。忙しいときは朝9時から深夜2時ごろまで働いている。
D 国内の自動車メーカーなどを相手にIT機器の販売を行っている。留学の経験を生かして海外駐在できると思ったのに、担当が国内のため機会がなくて、正直なところがっかりしている。

ボーナスに差をつけてほしい

──4社が過去最高益予想で、ボーナスも高額だと聞きます。

A 資源価格が高騰したことで、世界各地に資源の権益を持っている商社はわが世の春を謳歌している状態だ。
C 私はまだ20代後半だが、今年のボーナスは年間400万円くらいになりそう。若手にしてはありがたい額をもらっているという認識はある。だけど、不満もある。若手のボーナスは全社業績連動の部分が非常に大きい。せっかく私が働いている部門が儲けているのに、ボーナスはほかの部門と一緒。激務をこなして稼いでいるのだからボーナスに差をつけてほしい。

D 私もCさんと同じくらいもらっている。最近、驚いたのは入社2年目の社員のボーナス。私が入社3年目のときと同じ額をもらっていた。
B ベテラン社員でも、ボーナスは間違いなく上がっている。私は出世が特別早いわけではなく、一般的なキャリアパスを歩んできたが、昨年の年収は2000万円を超えた。年次が上がれば、部門や個人の目標達成による差も出てくる。資源部門の優秀な人はもっともらっているのだろう。

三菱と伊藤忠が高給

──他商社と比較するとどうなのでしょうか?

C やっぱり給与が高いのは三菱商事。私の同期は、冬のボーナスだけで400万円をもらったと聞いている。年間では500万円を超えるだろう。
B 商社の年収ランキングとかよくネットや雑誌で見るが、あれは正しい。三菱商事と伊藤忠商事の給与水準が頭一つ抜けている。
D 仕事終わりに行く居酒屋でも差が出ている。住友商事の若手社員は神田、丸紅は神保町など比較的庶民的な飲み屋街に行くが、三菱商事の友人は丸の内か銀座の高級店で飲んでいる。

──いつまで好業績は続いていくのでしょうか?

A 商社の実態は権益ビジネス。資源価格が高い間は、商社の業績はよいと思う。ウクライナ問題や脱炭素によるエネルギー移行で資源価格は当面高止まりするだろう。
D 私の事業部も外部環境の影響が大きい。とくにドル円相場に左右される。今の為替水準なら業績好調がまだまだ続くと思う。また、うちの部署はほかの商社の同じ部署と比べて、上位の商社も食っていこう、という熱意と活気がある。業績はもっと伸びていくはずだ。
C 私は来年には資源価格は落ち着くと思っている。三菱商事と三井物産の業績は今がピークで、非資源が強い伊藤忠が巻き返すと思う。資源で得た潤沢なキャッシュをどのように配分していくかが、この先重要になるだろう。

──高給取りの商社ですが、働き方には満足していますか?

D 「配属ガチャ」の問題はある。私は最初の面談で、「ストレス耐性があります」と言ったばかりに、体育会系の男性ばかりの過酷な部署に配属されてしまった。毎日、ある国内大手メーカーからの過剰な要求に悩まされている。仕事がつらすぎて辞めたいと思うときがある。

A 部署によって働き方に差があるのが大きな問題だ。例えば、コーポレート部門や事業投資管理は決算前など特定の時期を除けばそこまで忙しくない。一方で、鉄鋼や化学品のトレーディングは販売先メーカーの過剰な要求に昼夜応えないといけないため、大変だと思う。私はワーク・ライフ・バランスを考えて、時にはあえて上司に口答えしたりして、戦略的に窓際族を狙っている。
B 海外の配属地問題は避けて通れない。うちの会社では3つの部署を経験して海外の事業会社に出向することが多いが、どこに行くかで今後の収入が変わる。東南アジアに行ければラッキー。物価が安く、運転手とメイド付きで暮らしぶりはよく、貯金も貯まる。一方で、欧米に行けば、商社員の給与は現地では決して高くない。最近の物価高により一般的な生活がやっと。貯金はほとんど貯まらない。
C 最近商社を辞めた知り合いがいる。彼女は、「誰が読むかもわからない社内向け資料作りばかりで、何のために仕事をしているかわからなくなった」と言っていた。私も転職を考えたことはあるが、ネックとなるのは待遇面。商社より待遇のいい会社は外資系金融機関くらいしかなく、結局転職は思いとどまった。

接待で上座に座る若手社員

──最近の若手はどうですか?

B 2020年以降に入社した世代は、在宅勤務で対面の仕事をする機会がなかったので、社会人としての基本的なスキルが欠落している。こちらが接待する飲み会で上座に座ってしまったり、名刺の渡し方がわからなかったりする若手が多くて心配だ。
A サステイナビリティーやESGなどへの関心が高い。興味があるのはいいことだが、実際のところ脱炭素関連の事業は、資源などと比べると儲からないと思う。商社は優秀な新卒を採用しているが、いま人気のコンサルティングやスタートアップ、出版業界などへ転職してしまうケースが増えている。

──若手からベテランに対して伝えたいことはありますか?

D ウィンドウズ2000(年収2000万円の窓際社員)問題はどうにかしてほしい。出世ルートを外れたベテランのために名ばかり管理職のポジションが用意されている。そうした方には申し訳ないが、辞めてほしいと思っている。
C 商社は投資事業へシフトしているのに、まだトレーディングを重視する部署が多い。トレーディングを専門としているベテランの中には、財務諸表をろくに読めない方もいる。もっと勉強をしていただきたい。

(構成 星出遼平)


筆者は芙蓉グループの伊藤忠商事と、その同根である丸紅には、個人的に大変お世話になり、感謝しかないのだが、激務の中、大変な改革を迫られていることは以前より聞いています。

また、丸の内勤務時代には三菱商事に赴くことも多々ありました。
もう、遥か彼方の時代ですが。

以前は日商岩井などの商社も存在していましたね。

総合商社はトップエリートの勝ち組企業で、花形産業ですが、生き残りを賭けて、アフターコロナを乗り切ることを切に願っております。



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