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そごう・西武売却で取り残される社員のいら立ち 売り場は疲弊、池袋本店の余波が広島店にも

東洋経済オンラインより

混乱の長期化で従業員は疲弊している。

業績は絶好調のセブン&アイ。しかし物言う株主から揺さぶられて袋小路から抜け出せない。『週刊東洋経済5月15日(月)発売号では「漂流するセブン&アイ」を特集。イトーヨーカ堂の改革やそごう・西武売却の舞台裏を徹底取材、なぜ構造改革を進められないのかその理由を探る。

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「西武池袋本店を守る署名活動にぜひご協力をお願いします」──。

4月下旬、JR池袋駅にある西武池袋本店(池袋西武)の地下入り口では、そごう・西武の労働組合の有志約10人による署名活動が行われていた。

現行のそごう・西武売却計画では、池袋西武の主要フロアに家電量販店ヨドバシカメラの出店が検討されている。仮にヨドバシの大型出店が現実化すれば、池袋西武は百貨店としての特徴を失ってしまう。現在進められている池袋駅東口の再開発計画にも影響を及ぼすとして、来店客などに対して署名を募っていたのだ。

当事者にもかかわらず何も知らされない


足を止めて署名に応じた女性は、「仕事帰りに池袋西武に寄るのが日々の癒やし。池袋には西武の活気が必要だと思う」と話し、別の男性も「池袋が地元。なじみ深い池袋西武はなくなってほしくない」と述べるなど、多くの人が池袋西武に対する思いを口にした。

こうした署名活動は5日間にわたって行われ、友好労組からのものも合わせると合計約1万5000筆の署名が集まったという。

労組有志を突き動かしたのは、当事者にもかかわらず何も知らされず取り残されている現実だ。

「売却は親会社のセブン&アイ・ホールディングスの主導で、そごう・西武の経営陣もすべてを把握しておらず、何を聞いても教えてもらえない。売却すると言われて1年が経過し、不安や困惑はいら立ちへと変わっている。しかし従業員は怒りをぶつける先もなく、やりきれない思いだ」とそごう・西武関係者は顔を曇らせる。

いつになっても売却される時期が見通せないことで、店舗の営業にも影響が出ている。

議論の渦中にある池袋西武は、約10年ぶりの店舗改装の真っ最中。しかし、ヨドバシの出店計画が急浮上し、改装工事は一時中断せざるをえない状況になっている。

「ルイ・ヴィトン」といった海外高級ブランドなどが入居する本館北エリアの2階の一部は、少し前まで改修工事に向けた仮囲いで覆われていた。

だが、工事再開のメドが立たないことから、これ以上の機会損失を防ごうと今は仮設売り場で営業を再開している。売り場に行くと、もともとあった壁の前に「仮の壁」が設置され、そこに什器を搬入して営業しているのがわかる。

店頭に立つ従業員も苦しい。時計などの高級品について、「今後もメンテナンスができるのか」、「オーダーメイドの品を頼んでも、受け取るときに店は残っているのか」といった声が顧客から寄せられているからだ。しかし従業員もその答えを持ち合わせておらず、困惑が広がっている。

池袋西武が直面している困難は店舗での販売にとどまらない。百貨店の中でも限られた上得意客向けのサービスである「外商」も危機にさらされている。もともと池袋西武は都内や埼玉県の富裕層の顧客が多く、外商に強い百貨店との評判だった。

だがその顧客基盤も揺らぎ始めている。ライバル百貨店で、「西武の客を狙えと号令がかかっている」(都心百貨店の幹部)からだ。長年かけて培った池袋西武の外商は、今や草刈り場になってしまっているのだ。

池袋の余波が他店舗にも

広島市の中心部に店を構えるそごう広島店も今年、20年ぶりのリニューアルが予定されている。現状の本館・新館の2館体制から、本館にテナントを集約して運営を効率化する計画だ。

しかし、そごう・西武の顔ともいえる池袋西武の混乱は、そごう・西武自体のブランド力低下を招き、そごう広島店にも波及。改装後に再出店するか決めかねているテナントが多数あるといい、リニューアルオープンに向けた準備は思うように進んでいない。

そごう・西武の売却をめぐる混乱が長引くにつれ、顧客や取引先の間には不信感が広がり、従業員と店舗は疲弊していく一方だ。セブン&アイは、地域行政を含むすべてのステークホルダーに誠実な対応を取り、事態の早期収拾を図るべきではないだろうか。


まとめ


この記事では、そごう・西武売却の行方について深く掘り下げてきました。結論として、イトーヨーカ堂の改革や業界の統廃合などで大きな波風が立ちつつある中、そごう・西武売却がどうなるのかは未だ見通せません。

しかしながら、経営の健全化を目指す企業の決断が必要であり、構造改革は避けて通れない課題と言えます。 そこで、この記事では、なぜ構造改革を進められないのかその理由を探りました。負債や固定費の圧迫、経営陣の意識の低さや経営方針の錯綜など、さまざまな要因が挙げられます。

しかし、改革の意思があれば、救済措置もあることを示しました。そごう・西武は今後、経営統合や新たな出店戦略などを模索する必要があるでしょう。このような売却の話題が浮上するのは厳しい状況下にあるということでもありますが、様々な方策を模索し、復活を目指したいものです。


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