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【ショート】朱夏の約束☀️🌿早川怜

 初夏の朱夏を舞台にした青春コメディの短い物語をお届けします。


「朱夏の約束」

 初夏の風が、鎌倉市の小さな町を優しく包んでいた。朱夏という名の少女は、友達との約束を思い出しながら、学校の帰り道を歩いていた。

 「今日は絶対、笑わせてみせるから!」と宣言したのは、いつもクールな隣の席の男の子、陽一だった。朱夏はその言葉を信じていなかった。だって、陽一は笑顔を見せることがほとんどないから。

 しかし、公園に着くと、陽一はすでに待っていて、何やら大きな箱を持っていた。

「何それ?」朱夏が尋ねると、陽一はニヤリと笑って、箱を開けた。

 中から飛び出したのは、カラフルな風船と、手作りのパペット。陽一は風船を膨らませ、パペットショーを始めた。不器用ながらも一生懸命に演じる陽一の姿に、朱夏は思わず笑い出した。

 「約束、果たしたな!」陽一が得意げに言うと、朱夏は頷いた。

「うん、ありがとう。今日は本当に楽しかったよ。」

二人は夕日が沈むまで、その場でずっと笑い合っていた。初夏の朱夏は、忘れられない思い出となった。



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