北海道の幽霊ホテル(怪談vol.3)

怖くない怪談vol.3

わたしは20代の頃、北海道を電車で一周した経験があります。


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「川湯温泉」という温泉街に泊まった時のこと。
わたしは夕食を取るため、夜の町をぶらぶらしていました。

暗い、ひっそりした通りを歩いていると、あるホテルの前を通りかかりました。

それは4階建てのホテルで、建物はボロボロ。閉鎖されてから長い時間が経っているようです。

客室の窓は締め切られており、電気もついていないため、ホテルには誰もいません。明らかに廃墟です。

そんなホテルの1階に、小さなあかりが灯っているのを発見。
気になったので駐車場を通り抜けると、ガラス戸に顔をつけて中を覗いてみました。

中には卓上ランプの光がともっていて、誰もいないフロントをかすかに照らしています。
あまりにも暗いので、まるで暗闇の中をランプが浮かんでいるかのようです。

どうして無人のホテルに電気が通っているのだろう? ここは幽霊専用のホテルか?

そんなことを考えているうちに、急に寒気がしたので、逃げるようにしてその場を立ち去りました。

あれは結局なんだったのだろう。
廃墟なら電気が付いているわけがないし、営業しているなら、あんなボロボロの廃墟の訳がない。

わたしは今でも、あの薄暗いフロントの光景を思い出すことができます。


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