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教育現場で働き改革がなぜ進まない?

教育現場の中で働き方改革が求められてから何年が経つでしょうか。

教育現場で起きている問題について多くのメディアが取り上げてられ、多くの人が注目し始めています。

しかし、”じゃあ実際に何が問題なの?”という点においては、なかなかフォーカスされていないので、現場で働いている立場からいくつか例をあげてみたい思います。

人間関係から同調圧力

教育現場において、働き方改革を阻む一番大きな問題点は、「人間関係からくる同調圧力」です。

教員数は地域や学校によって異なりますが、簡単にいうと、教員数が多ければ多いほどこの問題は大きくなります。

私の勤める学校では、1学年が10クラス以上で教員数は100人以上になります。

授業に関しても1つの学年を担当するというより、複数の学年を担当することになります。

このような状況で何が起こるか。


それぞれの学年で担当する授業ごとに打ち合わせが入ります。

しかも、全く違う担当者が授業を受けもつため、それぞれが全く違う動きをします。

そしてそれぞれの学年に歩調を合わせて授業準備が必要なため、新たな業務が生まれるというわけです。

ここで大切なのは、それぞれの教員は志を持って提案していることです。

この【真面目が生む副作用】が、いろんな場面で多くの教員を追い込んでいるんです。


他にも新人の先生方に開いているワークショップ型の学びの機会があるのですが、ここでもこのワークショップを担当している先生は志を持って、一生懸命やっているんです。

そしてこのワークショップに取り組む中で、発表の準備や調べ学習などのさまざまなタスクが課されます。

ここでも真面目が生む副作用が、教員の時間を奪っていくという仕組みができてしまっているんです。


このように志ある教員が、学校をより良くしようとして人を巻き込んでいくわけですね。

その中で生まれる小さな業務が、少しずつ多くなり、いつの間にか膨大な業務になってしまうという仕組みなんです。

塵も積もれば山となるとは良く言ったものです。


この原因は、教育は形のないサービス提供する仕事であり、お金とは疎遠な仕事であるため、【効率化】が無視されます。

さらに、”良い事はみんなでやろう”という「同調圧力」も生まれるため、逃げ道もどんどんなくなっていきます。

そして、タスクを与えられた教員も真面目な人が多いので、疑いもなくそのタスクをこなそうとします。

気付いた時には、タスクに追われ時間外労働は当たり前になり、【生徒のため症候群】にかかって、自分という価値を搾取される結果になってしまうのです。


一般企業では当たり前である【効率化】が、教員は苦手というより、その概念がない人も多いというのが問題です。みんなで頑張ることは大事ですが、自分のすべき仕事を疎かにし、誰かのための作業に追われてしまう人が多いのが現実です。

自分の仕事を疎かにするって、普通の企業で考えたら使えない社員とみなされてしまいますよね。

さらに、他人の作業で時間外労働もしてるという悪循環です。

お金を生むことと直接的な関係がない教育現場では、このへんの当たり前が通用しないのです。


結果の不透明性

教育は形のないサービス提供する仕事であり、お金とは疎遠な仕事であるため、【結果】が不透明です。

誰かを評価をする基準が曖昧であるというのも大きな問題です。

1つの基準として、私立では子どもの進学結果や満足度を測って評価するということもありますが、これもあまり効果がありません。

なぜかというと、子どもの進学結果がよかったとしても、多くの人が関係している教育現場では、その因果関係が明確にはなりません。また、子どもの満足度調査といっても、「子どもから人気がある・ない」の実態が調査の結果になってしまうため、コンテンツやサービスの満足度は測れないというわけです。

結果をはっきり判断する指標がないと、どんな人が評価をされるかというと、時間外労働を多くし、管理職に良い顔ができる人です。

そうでない管理職はたくさんいますが、あくまでも傾向ですよ。

この辺は一般企業でも同じことだと思いますが、教育現場ではより難しい現状があるということです。

このような体制を崩そうとする教育者も出てきています。

工藤勇一先生の取り組みは面白いのでぜひみてください↓

https://toyokeizai.net/articles/-/382769


年功序列と終身雇用

この問題はおそらく教育現場だけではないかもしれませんが、教育現場でも色濃く残っている問題点です。

成果主義と年功序列に関しては以前特集したので、そちらをご覧ください↓

転職 【成果主義がグローバルスタンダード】今は転職が当たり前の時代になりました。いまの不安を抱えたまま生きるより、環境を変えることが許されているいまの時代に、転職をすることは当たり前です。...

サービスが曖昧な分、成果主義が通りにくいのが教育現場ですが、これからは専門性を持った人間がどんどん教育に関わる機会を用意すべきですが、年功序列が浸透した教育業界ではほぼ不可能です。

この状況が崩れるには、世代交代を待つか、工藤先生のような改革者を待つしかないのが現状です。

まとめ

今回は表面的な問題ではなく、根深い教育現場の問題を取り上げました。

  1. 人間関係から同調圧力:【同調圧力】から【効率化】が重視されるようになるには、サービスの明確化が必要ですが、サービスが曖昧で【評価】がしにくい教育現場では難しいというのが

  2. 結果の不透明性: サービスが曖昧で【結果】がわかりにくいの教育現場では、【評価】が難しいのが現状です。

  3. 年功序列と終身雇用: 年功序列は、年を重ねると安心を生みます。つまり、大きな問題は、実は変化を望んでない教員が多くいるということです。変化をせずに50代は安定な生活をしたいから、現状維持を望む人も少なくないのです。


もちろんこれらは一部の問題点で、本当はもっと多くの問題があり、より複雑な問題だと思います。しかしなぜ変わらないのかの1つの大きな要因は、教育の根本的なシステム異常に、現場の教員のマインドであることも事実です。

そして、世代交代が来るまで我慢するという現状に耐えるというのは現実的ではありません。


解決策の1つは、教育現場に一般企業の風を入れることです。

学校はサービス業だといって学校を変えた創成館高校の校長の話はとても参考になります。↓


経営者や専門性を持った人間がどんどん教育に入って行くことが、「現状維持」を変える手段になるかもしれません。

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