【易】意味が分かると怖い話_初めての一人暮らし

春の日が差し込む部屋の中、少年は一人呟く。

「ふう〜、ようやく準備完了か」

今年の4月から高校生になる 河野 淳(かわの   じゅん)は今日から念願の一人暮らしを始める。先ほど荷解きが完了し、なんとかこれから生活できる部屋が仕上がったところだ。

幼いころに両親を亡くして、親戚の家で引き取られた淳にとって家庭というのは決して気が休まる場所ではなくむしろ窮屈な場所であった。育ての親と仲が悪かったというわけではないが、双方ともどこか遠慮しがちな雰囲気に馴染めず、義務教育が終わると同時に一人暮らしを始めたのである。
高校生の淳にはお金はなかったため、家賃はここら一帯で一番安いアパートを借り、物も多くは望まずに必要最低限にしている。
一番安いといっても中々の物件で家賃は3万前後で1LDK、部屋の前は屋根つきの廊下で雨は凌げ、下はグレーの絨毯が引かれており景観もよい。正面には隣人さんの部屋にがあり、アパートというよりはマンションである。どうしてこのスペックで3万なのかだが、事故物件で過去に人が亡くなっているそうだ。それでも多くの猛者が価格の安さに釣られて入居しているが、その度に幽霊が出る・誰かに見られている気がする・変な音が聞こえる・ものが勝手に動くでどんどん退去していっている。夜眠れずに時間の感覚が狂い仕事に支障を来すという人もいたらしい。そんなこんなで済むと変なことが起きると噂になり、入居者がおらず格安物件となっていたのである。実際このアパートに住んでいるのは淳を含め4人だけらしい。
ただいくら安いとはいえ生活にはお金がかかり、高校生の貯金では賄えない。だからどうしてもお金を稼ぐ必要はあり、休日はアルバイト三昧になりそうである。
決して楽な生活では無いだろうが、それでも家の居心地の悪さから逃げられたこと、これから自分一人の力で生きていくことに若干の楽しみを感じており決してネガティブな気分ではなかった。
とまあそんな感じでこれから念願の一人暮らしなのだが、一先ずお腹が減ってきた。あまり贅沢ができるわけでは無いが、引っ越しも終えたばかりで今日は疲れた。バイト探しも兼ねて今日は外食をすることにしよう。

そう思い外にでると既にもう外は暗かった。
引っ越しで時間の感覚がなかったが、どうりでお腹が空くわけである。


【回答】
外はもう夜なのに冒頭では部屋に春の日が差し込んでいるのである。
この部屋の中では外との時間の感覚がずれているみたいだ。
高校生というスケジュールがきっちりしている生活の中、初めての一人暮らしで彼はこれからやっていけるのかが不安である...



【作者から】
初めまして、Jumpと申します。
まずはこの短編小説(?)を最後までご拝読頂きありがとうございます。
作者は昔からアニメを見たり、漫画や小説を読むのがとても大好きでいつか自分でも何か作品を作ってみたいと思いこの超短編の「意味が分かるとシリーズ」を書くことにしました。
始めは1冊小説を書こうとしていたのですが、やはり丸々1本書こうと思うと時間が掛かりすぎること、そして作者は小説を書くための専門的な勉強をしていないため、完璧な1冊を書くことよりも拙くても下手でも沢山の作品を書いた方が力になると思い今回ノートに作品を投稿することしました。
さて先ほどこちら「意味が分かるとシリーズ」と書きましたが、今回は「奇妙な話」として投稿しております。これからは作品に合わせて「怖い話」、「笑える話」、「にやける話」、「泣ける話」などの投稿を考えております(まだプロットもないですがw)。
是非今後とも主人公の淳を中心にこの奇妙なアパートで起きる様々な話を描いていこうと思います。
投稿ペースですが、まずは無理ない範囲で週1日を目標にし、徐々にペースを上げていきたいと思っております。

最後にまだまだ駆け出しの粋にも届いてないともいえない私ですが、今後も作品を描いていこうと思います。
皆さんの感想等がありますと作品作りの励みになりますので、是非コメントなども気軽に頂ければと思います。
では今後とも淳を中心にした奇妙な生活にお付き合い頂ければと思います。


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