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知ることで変わる世界

御大層なタイトルを付けたけど難しい話ではないです。タイトルが思い付かなかっただけです。

両親が共働き&色々あったので小さい頃はいつもお婆ちゃんと一緒にいた。お婆ちゃんと一緒にいるとどうなるかと言うと好みが似てくる。その最たるものだったのがテレビ番組の好み。うちのお婆ちゃんが見るテレビは時代劇、刑事もの、二時間ドラマあたり。

その中で一番、好きだったのが時代劇。特に“ 暴れん坊将軍 ”が好きだった。暴れん坊将軍に限らず時代劇の基本はシンプルな勧善懲悪。途中から観ても内容が分かるし子供だった僕にはチャンバラが観ていて面白かった。

けど、一つ分からないことがあった。暴れん坊将軍だとクライマックスで上様が戦うとき、刀を構えると“ チャッ ”という効果音と共に刃の部分を自分の方にくるよう持ち直す。そこで音楽が鳴り敵が襲い掛かってくるお約束のシーン。
上様は常に日本刀の刃の部分ではなく反対側の刃がない部分でみねうちして敵を気絶させていた。そして、最後に残る一番の悪にみねうちした後、

『成敗!』

の声を合図にお庭番の忍びに斬らせる。他の時代劇だと主役は容赦なく敵を斬り捨てているのに。( 遠山の金さんと大岡越前はお奉行様。今でいう警察と教えてもらっていたので殺さず捕まえてたのは理解してました )
お婆ちゃんに訊いても分からず、自分なりに考えた結果、

『お前のような者は私が手を下す価値もない』

って、感じなのかな。と勝手に思っていた。それから20年以上経った2年くらい前、明け方に目が覚めてテレビをつけると暴れん坊将軍がやっていた。番組表を見たら朝の4時から毎日、再放送をしていた。何となく眺めながら、

『そういえば、何で上様は悪者を自分で斬らないんだろう…?』

この疑問が再燃した。今は便利でスマホやタブレットで検索すると答えがすぐ出てくる。20年越しの謎が解けた。上様自身が斬らない理由は、

武士が自分よりも身分が低い武士を手にかけると、“ あなたは私が直接、手にかけるだけの価値がある人です ”という“ 名誉 ”になるらしい。しかも武士の最高位である将軍が自ら斬ってしまえば悪者に最高の名誉を与えることになる。
そのため、武士ではないお庭番の忍びに斬らせることで、

“ 武士でもない者に斬られた恥さらし ”

という名誉を重んじる武士にとって最大級の屈辱を与えることで命と尊厳、両方を罰として奪うことが目的のようだ。数年に一回、上様自ら悪者を斬ることがあるけど、それは武士のしきたり、決まり事を超えて人として許せない者。という上様の怒りを表現しているのだと思う。

ちなみに時代劇や、るろうに剣心等のマンガとかだと、
“ お庭番=忍者 ”
のイメージが強いけど、実際のお庭番は吉宗自らが創設した組織で人員は忍者ではなく武士が務め情報収集等も行うが、どちらかと言うと監察官的な役割が強かったらしい。

上様が斬らないのは、そういう理由だったんと長年の謎が解けてちょっと感動した。作中で上様自ら斬らない説明が一切なかったので分からなかったから。理由を知ったことで暴れん坊将軍の面白みが増した。

この辺を調べてたら時代劇でよく見る他のことにも興味が湧いて調べてみた。時代劇だと悪者側の武士が町人に難癖付けて斬り殺す“ 無礼討ち ”があり時代劇だと、主役が悪者を成敗するきっかけとなるが実際には細かいルールがある。

・無礼討ち後、すぐに役所に届け出ること
・無礼討ちを行った本人は一定期間、自宅謹慎
・使用した刀は証拠品として一時押収
・自らの正当性を証明する証人を用意する


他にもあるけど、これらの条件を満たす必要があり4番目の証人は武士階級の人間だと認められない。または信頼性が低くなる。裁かれる者、裁く者、その証人。すべてが武士だと公平に裁いて、無罪だとしても町人から見ればグルになって仲間をかばっている。と思われる可能性がある。どの国でも支配者層は数の面で少数派。支配される側の不満を溜めるようなことは控えたい。

それが理由なのか証人は武士ではない町人から見つけるようだ。探すと言っても本人は自宅謹慎のため、家族や親せき知人が代わって町で証人を探すが武士の味方となる証人を町人から見つけるのは困難で、絶望してか処分が家族にも及ばないようにするためか裁きを受ける前に自ら切腹して果てた人もいたみたいだ。もしも、裁きの日までに証人が見つからず無礼討ちの正当性が立証できないと、

・武士の身分の剥奪
・お家断絶

・資産没収

・切腹、もしくは斬首

等、懲罰は状況次第で変わる。この他に、

・いかに無礼な行動を取られても丸腰の相手を斬ったら無礼討ちの対象外

読んだ本に書かれてあった。武士は名誉を重んじる。その武士が自身は武器を持ちながら丸腰の相手を斬って誰にその行為を誇るのか。ということなのかと。この場合は武士としてでなくただの“ 殺人犯 ”として裁きを受けることになる。他にも、

“無礼討ちをしようとしたら相手に逃げられました”

も、“ 武士の恥 ”ということで何かしらの処分が下るらしい。
ここに書いたことは一応、調べたものだけど間違って記憶してたり情報自体が間違っている可能性があるので読んで興味が湧いた方がいたら、ご自分でも調べて頂くともっと色々、面白いことが分かると思う。知らなかったことを知ることで見える世界が変わることはどんな分野でもある。ここに書いたこと以外でも興味を持っていることを改めて調べてみると、

『こういうことだったの?』

と、さらに興味が湧く情報が沢山あると思う。調べる楽しさ。知る楽しさ。双方を感じてもらえるきっかけになれば。

ジュースが飲みたいです('ω')ノ