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【いまさら訊けない中学受験】いまさらだけど、これって本当に子どものためになるの?誰にも訊けなかった肝心なところをちゃんと知りたい 【その3】

中学入試って、どうなっているの?ー過酷!トップ10の学校に受験生全体の約半数が集中!?

笠:笠原 紗由香 (「親子のための中等教育研究所」所員)
長:長さん(同研究所エグゼクティブアドバイザー)

笠:ところで、実際の中学入試ってどうなっているんですか? みんな、どんな学校を受けているんだろう?

長:志願校選びは「どんな教育か」で選ぶことが大切と言いましたが、そういう受験生保護者は少ないんじゃないかなって思います。例えば、最難関男子校の一つ開成の入試結果を見ていきます。学校のホームページに入試結果が出ています。

笠:東京・神奈川の入試スタート日の2月1日午前入試ですよね。

長:願書を出した人数が1,231名で、実際に受験した人数が1,159名。72名は出願したけど受験しなかったってこと。そして合格者数が396名で、入学者数は308名。

笠:88名は合格したけど入学しなかったってこと?

長:関西や九州の塾が開成の合格実績を作って塾の宣伝に使うために成績のいい生徒を連れてくるから、合格しても入らない。もしくは、筑波大駒場などに合格してそっちに入学したなどのケースが考えられるね。

笠:それにしても、763名も不合格ってのもすごいですね。私が受験生の立場だったら、こんな負け戦に挑戦するメンタルないなぁ…。辛すぎる…。

長:上の図は、東京の2月1日午前・4科目入試の男子受験生の動向を視覚化したものです。総受験者数は約11,000名強だから、約1割が開成を受験しているんだ。しかも、この日は東京だけで約40校の入試が行われているのに、受験者数が多いトップ10に56%もの受験生が集中している。

笠:つまり56%もの受験生がトップ10の学校に集中していて、44%の受験生は他の30校ぐらいの学校に散っているんですね。トップ10の学校ってどこだろう。麻布、開成……

長:麻布、早稲田中、武蔵、駒場東邦、芝、本郷、海城などの偏差値が高い男子校ばかり。しかも、トップ5に35%の受験生が集中している。

笠:偏差値が高い学校に受験生が集まるってことは、偏差値の高い学校がいい学校だと考えてる人が多いってことですね。

長:確かに意欲的な教育姿勢の学校が多いけれど、偏差値っていい学校かどうかの尺度じゃないよ。成績優秀で意識の高い生徒が多く集まっているという側面に注目すべきじゃないかな。

猛勉強して奇跡的に入学したとしても、子どもはコンプレックスを感じ続ける6年間ってことになりかねない。こうした学校には、授業を聞いているだけなのに理解してしまう生徒が一定程度(10数人ほど)いるそうです。そうした生徒の中で6年間を過ごすことで子どもは楽しいかなって思います。

笠:トップに人が集中するって、なんか時代の流れに反している気がする。だって「名門大学」とか「名門企業」とか、そういう概念って社会全体でいろいろ崩れてきているじゃないですか。サービスも個別最適化が進んで、個々の価値観で物も情報も判断していく時代ですよね。

そういう価値観は、中学受験には反映されていかないんですかね。

長:うん、従来型の受験観は変わっていくと思いますよ。運動会の徒競走で1等賞を目指すような受験観。でも、最近は受験生の強みと、どんなふうに成長していってほしいかで受験校を選んでいる保護者が増えつつあるように感じる。

笠:ところで話を戻すようですが、さきほどから受験者数のトップ校って要するにほぼ偏差値トップ校だって言ってますよね。従来型の受験観で絶大な価値基準になっている「偏差値」ってなんなのでしょう?そういうもんだと思って学校選びの基準にしているけど、そもそも、なんなのでしょう。

長:偏差値についてきちんと理解している人は意外と少ないと思います。それを知ると、学校を見る目が変わりますよ。それは次回話しましょう。

(所員:笠原 沙由香)

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