ロンドンのコーヒーについて所感【おまけ編】

前後編でまとめるのを忘れていた「コモンウェルス」の話です。

6,コモンウェルスという関係性

オーストラリアやニュージランドなどは、独立した国家でありながら、どちらもイギリスの女王を連邦の長とする連邦国家です(これをコモンウェルスといいます)。
この連邦に加盟しているため、ビザの発給やワーキングホリデーに関して様々な優遇措置があります。有名なものでは Ancestry visa(祖父母が英国で産まれていれば、英国に住む権利を5年間有する→ビザの延長、定住も可能)というビザがあります。
(おことわり:イギリスは歴史的に様々な国から労働力を連れてきたり、新大陸のオーストラリアやニュージーランドに無理やり移送してきました。現在コモンウェルスの国々に優遇措置を認めている背景にはこのような歴史もあります)


ということでイギリスに住んでいるオーストラリア・ニュージーランド出身の人はとても多く、したがってこれらの国々から持ち込まれるコーヒー文化が、北欧やヨーロッパの大陸の国々から持ち込まれる文化よりも主流になっているように感じられました。


例えば、オーストラリア・ニュージーランドのコーヒー文化で一般的な「フラットホワイト Flat White」は、ロンドンではどこのカフェでもメニューに乗っています。コルタードCortadoも比較的一般的で、ピッコロPiccoloという表記はあまり見なかったように思います。マキアートにはロングとショートがあって、ベビチーノもあって、カプチーノにはココアパウダーを振ります、という感じ。あとはバッチブリュー(マシンブリュー)V60のドリップコーヒー、たまにエアロプレスというラインナップです。つまり、だいたいコーヒー文化的には同じだと思います。

しかし、オーストラリアのコーヒーをやっています!と声高な店は少なく、どちらかというとニュージーランドのコーヒーです!と謳う店が多いように感じました。これはおそらく本国での市場規模の大きさの違いだと思います。
イギリスの人口はおよそ6643万人、オーストラリアの人口はおよそ2520万人、ニュージーランドの人口はおよそ500万人です(ウィキペディア情報なので誤っている可能性有)から、ニュージーランドで商売をするよりもイギリスに行って商売をしたほうがよりビジネスチャンスがあると考えるのは自然なことで、ニュージーランドからより多くのコーヒープロフェッショナルがイギリス、ロンドンに渡ってビジネスを行っているのだと思います。

かくいう私が働いていたのもニュージーランド系の企業で、ローストも「昔はニュージーランドのスタイルに合わせてもっと焙煎が深かった」という話を聞いたことがあるので、ニュージーランドスタイルに合わせた歴史的な深め焙煎の流れがイギリスにも持ち込まれているのではないかと思います。

大企業のチェーンカフェではない、ローストも行う一般のスペシャルティコーヒーチェーンが最近になってようやく増えてくるなど、イギリスのスペシャルティコーヒーはまだまだ発展期にあります。これから更に盛り上がっていくことが予想されますし、これからも注目して見ていきたいなと思います。

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長々と個人の旅の総括にお付き合いくださり、どうもありがとうございました。次回からまたニュース記事翻訳に戻ります!

junko