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胡瓜(きゅうり)草、手折ってみれば、そのまんま 。


高校の生物の時間、なんでもいいから一種類の植物についてレポートせよと課題が出た。
春だった。


菜の花、チューリップ、パンジーが教室の外に
咲いていて無難な植物だろう。

無難過ぎて楽しくない。
読む教師もつまらんだろうし、
…要らぬお節介か。


帰り道、ずっとうなだれた姿のまま歩き、
近所の畦道で小さすぎる
青い花を見つけた。

なんだろこの雑草。花の真ん中がちょい黄色だ。
紫蘇の実の部分を、目一杯縦に引っ張ったみたいな
華奢で可憐で、清楚系だ。


ソレを一目惚れって言うんだろ?
ハイ 大正解です。

あったかな こんな草。
アクがあったら嫌だな…
でも 連れてくか。
(この頃にスマホは無い)

ムラサキ科 キュウリグサ属 キュウリグサ(胡瓜草)
日本在来の草だった。

花が咲けば咲くほど茎が長く伸びるという
可愛い変化もする。
なぜキュウリか。
葉を揉んだりして刺激するときに、キュウリの匂いがするからだと。

似た草で「わすれな草」って子がいるけど、
別物だ。手折って嗅ぐなよ。


提出したレポートは、思いのほか評価された。
教師自身がこの草が好きだそうだ。
「こんな小さな花に気がついてくれて…」


先生ごめん、つまんないだろうなと思ったんだよ、
40通以上もレポート読む「先生」がさ。
今でも好きで、見つけながら歩くんだ。

先生、久しぶりに顔、思い出したよ。


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