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酒販小売免許を自力で取得するには

こんにちは。ジューシーアートの河原です。
ジューシーアートでは、季節のフルーツビールを通して「親しい人との親密な会話をデザイン」しています。
このプロジェクトに込めた思いは、下エントリーにて纏めておりますのでご覧ください。
https://note.com/juicy__art__/n/nb84506827bf9


このエントリーでは、酒類の販売経験がない我々が、一般酒類小売業免許、及び通信販売酒類小売業免許を取得するまでの過程をまとめました。

通常、酒類小売業免許を取得する際は、行政書士にお願いをして申請書類を作ってもらう事が一般的な様です。しかし、行政書士に依頼をすると登録料を合わせて20~30万ほどの費用がかかる事。また税務署の免許申請の書類を眺めてみると、意外と自分でも出来そうな気がしたので、全て我々でチャレンジしてみました。

結果的に、申請後に1度差し戻されてしまい、免許が降りるのに余分に1週間かかってしまいましたが、費用を節約しつつ、プロセスを学ぶ事が出来ました。今後取り扱い酒類が増えた場合に、また行政書士に頼る事なく、すぐにノーコストで申請に移る事ができると思います。

このエントリーでは、新規で酒販小売免許を取ろうとする方が自力で取れるように、今回私が学んだ事を纏めておくのでぜひ参考にして下さい。

基本情報

酒類販売免許は大きく分けて
- 小売免許
- 卸免許
に分類されます。小売免許は以下二つに分かれます。

一般小売免許・・・酒類を仕入れて一般顧客に販売可能です。飲食店に販売することはできますが、他の小売店に販売することはできません。この場合、卸免許が必要となります。通信販売はその免許が申請されている税務署が存在する都道府県内のみ可能です。

通信販売小売免許・・・カタログやチラシ、HPを通して2県以上を跨いでの酒類の販売が可能になります。

それ以外の細かい分類の違いについてはこちらのサイトに詳しく纏まっているのでご覧ください。

それぞれの申請書類は、国税局の酒類販売免許手引きのPDFの末尾に必要用紙があるので、こちらを印刷の上、記入する必要があります。
一般小売免許
通信販売小売免許


期間


受理されてから2ヶ月以内に免許が降りるという事を言われてましたが、受理されてから、フルで2ヶ月かかりました。もともと申請に問題がなかったら、すぐに免許は降りるだろうと鷹を括っていましたが、そんなことはありませんでした。早く終わるという希望は儚くも散ります。
書類の確認に民間で2ヶ月かかったら、他企業に即刻スイッチですが、残念ながらここはお役所。販売スケジュールには申請から2ヶ月後をみておきましょう。
醸造所の方の話を聞くと、あえて予想期間ギリギリまで引き伸ばす事により、ちゃんと審査しているという印象を与えているようです。
酒税というのは国税の少なくない比重を占めているという事もあり、税務署もかなりしっかりと審査するようです。

場所・人の要件


酒販免許を申請する場合は以下の要件を満たしている必要があります。
1.人的要件
2.場所的要件
3.経営基礎要件
4.需給調整要件
酒販未経験で新規で事業を立ち上げる場合、特に関門となるのが1と2に人的要件と場所的要件です。

人的要件について
人的要件は二つの側面で評価されます。
- 酒販経験があるか
事業を開始するにあたり、少なくとも3年間は酒販に携わった人間が必要となります。創業者の誰も酒販経験がない場合は、酒販免許講習を受ける事でその代用とすることが可能です。免許申請前に受けた受講書を申請書類に添付する事で、証明とします。
自分は、講習料が安く、最も講習時間の選択肢が多かったボランタリーチェーン協会で受けました。

- 経営経験があるか
経歴でこれまで会社の経営経験がある人が、取締役内に必要です。
現時点で取締役に他会社の経営経験がある人がいない場合は、取締役の構成変更が必要となります。
これを証明するため、取締役全員の経歴書を資料として申請書類に添付しました。


場所的要件について
無店舗でインターネットを主軸に酒類販売する際にも、免許申請のための場所が必要です。場所はどこでも良いわけでなく、その事業運営主体に対する専用のスペースが必要です。したがって、バーチャルオフィスやシェアオフィスでの申請はできません。シェアオフィスでも、その会社や個人に対して区切られた区画が存在する場合は、申請場所として使える可能性があります。
SOHO可能な物件を使用する場合は、大家さんに事前に酒販免許の申請に使用する旨を伝えておいた方が良いです。また、申請時において、税務署の方が現地調査にくる事があるとのことなので、営業が認められているところを正しく申請書に記載する事が必要です。
賃貸オフィスとして使用できるところであれば、原則問題ありません。


必要書類


我々は主にインターネットを介して、一般消費者への販売と、飲食店への販売を行っております。そのため、一般小売免許と通信販売小売免許を同時に取得する必要がありました。
それぞれの免許は一度に申請可能で、両方合わせて3万円で行う事が可能です。

基本情報の章に記載されている、申請書類手引きPDFの後半部分に申請書類が添付されているので、これを印刷し、申請書類を作成します。
E-Taxにより、法人/免許申請物件の登記事項証明書や住民票、納税証明書などは電子データで申請できますが、それ以外の項目に関しては印刷で別途提出が求められるとのことだったので、現時点で完全オンライン申請はできないようです。
まず最初のページの部分には、一般小売免許と通信販売小売免許を取得する旨を書いておけばOKです。

通信販売申請書抜粋_TOPrintのコピー

ここで地番と住居表示が異なっていますが、地番は登記申請する建物の登記事項証明書履歴証明全部事項などに記載されています。ちなみにこの申請した物件は、実際には一つでありますが、建築されたときは別々の建物として立てて後で真ん中を繋げたらしく、登記上は17番地2-1と17番地2-2となっており、実際のオフィスが1と2のどちらに当たるのかという事を、昔の地図を引っ張り出して役所の方が確認されており、特定に15分くらいかかりました。。。

次に、販売所の敷地の状況ですが、PDFの例では地図をパワポで書いて貼り付けていますが、これはGOOGLE MAPのスクショを貼り付けるだけでOKです。
建物等の配置図では、まずそのフロアのどこにオフィスがあるのかがわかる見取り図を添付します。また記載例では倉庫を書いていますが、オフィスは倉庫目的で借りていないので、倉庫の記載はせず、保管場所という名目でスペースを記載しておきました。

事業の概要は、賃貸契約書に記載されている平米数を転記します。また収支見積もりは、少なすぎないよう、利益が出る前提で記載します。ここは鉛筆ナメナメのざっくりとしたもので大丈夫です。

「酒類の販売管理の方法」に関する取組計画書では、ネットショップのような24時間営業している業務形態では、酒類販売管理者の氏名だけでなく、酒類販売管理者に変わる責任者も記載する必要があります。

一般小売免許と通信販売小売免許では、免許申請書チェック表のみが異なっているので、その差異部分のみを追加で提出する事で、重複部分を省略する事が可能でした。

またWEB上での販売をする際は、サイトの想定画面が必要です。
実際にサイトができていない場合がほとんどだと思うので、AdobeXDのようなもので簡単にモックを作ります。特に注意しなければいけないのが、
- 酒類販売管理者の記載がある事
- カート部分に、二十歳未満に酒類を販売しない旨がある事
- カート部分に、明示的に年齢を入力する部分がある事
です。

詳細は割愛しますが、以上のような事に気をつけておけば、差戻しなくできるのではないでしょうか。


差戻しされた理由


申請から1ヶ月以上過ぎた後、税務署から電話があり書類の不備を指摘されました。
経験がないとつまづくところだと思うので、参考としてください。
納品書のテンプレが必要だった
実際に納品メールにて納品書の代わりとする運用を想定しており、納品メールのサンプルは添付していました。しかし、納品書のテンプレを要求され、想定サンプルを追加提出しました。

サイトのチェックアウト部分において、「20才未満は購入できない」旨のフォントが商品名と同じサイズ以上になる必要がある
Storesの酒販オプションをONにすると、上記要求に準拠する注意文が挿入されるが、サンプルとして提出したモックでは満たされてませんでした。
なぜStoresを使用したかについてはまた別のエントリーで紹介します。

賃貸物件の場合、委任されている賃貸代理人だけでなく、賃貸人の押印が必要
賃貸物件は賃貸人である大家と直接やりとりすることはほぼなく、委任された賃貸代理人である管理会社がと対峙するのが一般的です。契約も、賃貸代理人を通して行われます。
我々のケースでは、賃貸契約書に賃貸人・賃貸代理人・賃借人の名前が記載されており、賃貸人が権利を賃貸代理人に完全委任してある旨が記してありました。しかし、契約締結書類においては、賃貸代理人と賃借人である我々の押印しかされていなかったため、賃貸代理人と賃貸人の関係性が正当なものである事を証明する事を要求されました。
そのため、賃貸代理人と賃貸人の委任関係を証明する2者の押印がされた書類を再提出する必要があり、酒販免許申請のための書類を準備して頂きました。
(賃貸人が2法人であった為、非常に時間がかかりました)


免許が降りてからのやりとり

以下、酒税担当官と我々のやりとりの抜粋です。
倉庫を借りようとしたときはまた免許申請が必要なのか?
免許申請は必要ない。保管場所としての申請は必要となるが、申請したその日から効力を発揮する。

海外でビールを作って輸入販売をしたいのだが?
通信販売では取り扱いできる酒類に申請が必要な為、免許の再申請(2ヶ月)が必要となる。一方小売免許で飲食店に販売するぶんには既に輸入酒類の販売は含まれているので、通信販売免許が更新される前に販売ができる。

年度毎に仕入れ量と販売量を報告するとあるが、自己消費・賞味期限切れで処分したものはどうなるのか?
消費した分、賞味期限が切れた分は計上しなくて良い。あくまで、仕入れ分と販売分を書く必要がある。税務署として把握したいのは、酒販免許を持っている事業者が、酒販事業を行っているかである。


などなどあり、いろいろな廻り道をしましたが、酒販免許を取得し、晴れてビール・発泡酒を売る事ができるようになりました!

我々のInstagram↓
https://www.instagram.com/juicy__art__/
我々のビール↓
https://juicyart.shop/


またこれからお酒の販売を考えており、
・行政書士に頼まず自分でやりたい
・コストを押させて酒販免許を取得したい
という方。格安でコンサルティング業務・酒販免許の申請書類準備を請負いますので、ご興味ありましたら
keisuke@juicyart.jp
までご連絡ください!


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