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授業てらすアンバサダー 岩本紅葉先生にインタビュー!!


はじめに

このたび図工チームのななん&もときは,東京都新宿区立富久小学校教諭の岩本紅葉先生にインタビューさせていただきました!

岩本先生は教育界のノーベル賞と言われる「Global Teacher Prize 2020」で最終候補者の50人に選ばれており,今年度の授業てらすにおいては,納見梢先生との「音楽×図工体験型ワークショップ」や「MIEE(マイクロソフト認定教育イノベーター)説明会」にも御登壇いただいておりますので,みなさんもよ~くご存じの先生かと思います。

いつもニコニコ笑顔ですてきな図工の実践をなさっている岩本先生って,どんな方なんだろう・・・
子ども達がワクワクするような図工の時間をつくりあげるため、日々どんな準備をなさっているんだろう・・・
一人の教師として,どんなことを大切になさっているのだろう・・・

そんなことを図工チームの二人で想像しながら、大変お忙しい最中,岩本先生より貴重なお時間を頂戴いたしました。


好きな食べものは○○塩!

チーム図工
岩本先生のお好きな食べ物や,今ハマっている食べ物などがあれば教えていただけますか?

岩本先生
好きな食べ物は焼肉ですね!
なんか「炭火のところに行きたいな~」っていうのがあります。自宅の近くにも炭火の焼肉屋さんがいくつかあるので、行きたくなっちゃいますね。
最近よくあるのは,夫と何か約束事をしたりした時でしょうか。
そんな時には「焼肉!」って決めてますね。


チーム図工
焼肉いいですね~!好きな部位はあるんですか?

岩本先生
もう本当にメジャーなんですけど,タン塩が好きですね!
タン塩にあの刻みネギをたくさんつけてレモンをたくさんつけて食べるのが好きです!
最初にネギをとっちゃって,焼いているお肉の表面に若干油がこう浮いてきた時にひっくり返し,またちょっと赤い時にひっくり返し,その瞬間にネギを乗せて食べてます。

チーム図工
こだわりの食べ方なんですね!でも,お肉を取る時に上手に巻けなくないですか?

岩本先生
あ~確かに!
でも,何かあの巻くのが私好きなんですよね。落とさないように、ちょっと緊張感があるんだけど,どれだけ落とさずにちゃんと上手に巻いて食べることができるか。

チーム図工
好きなものを食べてる時にも緊張感を持ってるんですね!そんなところからも岩本先生のチャレンジングな姿勢が感じられます!最近タン塩を食べたのはいつですか?

岩本先生
やっぱり娘がいるのでなかなか行けずにいますが,ホットプレートを出して,家でタン塩を食べます。レモン汁も買ってきて,ネギも,刻みネギ用意して・・・あ,用意してもらって(笑)

チーム図工
そこ,ちゃんと言い直しちゃうんですね(笑)


趣味≒食べる図工!?

チーム図工
岩本先生のご趣味や,ハマっていることを教えていただけますか?

岩本先生
私お菓子作りが大好きで,先週の金曜日と,今日もお菓子作りを習いに行ってきたんです。
アイシングとか,バタークリームとか,フラワーケーキとか。いろいろ好きで。

ちなみに,今日はこれを作ってきました!

すごく図工みたいな感じですよね(笑)
この教室は毎月・毎週あるんですよ。これなんかは特別レッスンで,マレーシアの練り切りの先生が来日するっていうので,申し込んで受けてきました。いろんな先生がいらっしゃり,先生によってお菓子の種類も違いうんです。バタークリームとかチョコレートのクリームとか生クリームとかあんこのクリームとか。先生によって材料も違うので,いろんなところに習いに行っています。

こんな感じのが趣味ですね。
ちなみに,このアイシングクッキーは10年くらいやってます!

小さな「コルネ」っていう手の平より小さいビニールに入れて,1ミリぐらいの先端を切って,枠を描いて流し込んだりとか絵を描いたりとかするんですよ。こういう,ちまちましたことが好きですねぇ。
グラデーションとかも,フードスプレーみたいなものがあるので,自分で色を作って,エアスプレーみたいな感じでかけて表現します。また,グラデーションを作った部分を,ここの色は取りたいからっていうので,料理用の本当に小さな繊細な筆を使ったりします。この鱗のところとかは色を取ったりしましたね。だから本当にもう図工ですね。食べる図工って感じです。材料が食べられるものになっているっていうだけです(笑)。
こういうのを作って,よく職場で配ったりしています。

アイディアが生まれるとき

チーム図工
ご自身の性格を一言で表すと,いかがですか?

岩本先生
あえて言うなれば・・・言うなれば,まずすごい大雑把でいい加減なんですよ。
普段は本当に大雑把で、なんとなく細かいことをあんまり気にせず,前向きな方ではありますね。あんまりネガティブなことは考えないです。何でも「なんとかなるかな」と思ってはいます。

チーム図工
指導案とか授業を考えたりするときも,思い切りのいい感じで決めていくんですか。

岩本先生
そうですね。
まずこれをやりたいなというアイディアが思いついて,そこから後付けのように,ちゃんと学習指導要領とか、ここを取ってくればできるとか,細かいことを後から付随していくと言いますか。自分がやりたいこと。アイディアとかそういうところからスタートしますね。

チーム図工
自分はあんまりアイディアが湧かない方だと思っているのですが,アイディアってどういうところから生まれてくると思われますか?

岩本先生
「ゼロからイチを生み出せる人はすごい」とかよく言いますが,そういう人も,絶対に今まで見てきたものとか経験したこととか,自分がインプットしたものの中から何かを組み合わせて新しいものを生み出していると思うんですよ。
だから,なるべくいろんなところに行っていろんなものを見てインプットしたいなと思っています。自分が授業を思いつくとき,「この授業を考えなきゃ」って思うよりは,普段リラックスしている時とかお風呂入っている時とか散歩している時とかに,「あっなんかあの先生がやってたあれとか,あの美術館で見たあれを組み合わせたら何か面白いことできそうだな」とか,そういうふとした瞬間に今まで自分がインプットしてきたものが合わさって新しいアイディアが生み出されていくのかなっていう気がしますね。

あとは,追い詰められてるとダメですね。
もう何度も追い詰められてますが。もう本当に(笑)
とは言え,この研究授業でこういう授業しなければならないとか,テーマが出されてこれをクリアしなきゃいけないっていうものもあるので,そういう時はあまり根を詰めてそれだけのことを考えないようにしています。
まず自分がいろんな材料のことについて知らないと新しい題材は考えられないですし。
ただただ図工が好きなので,そんなに題材を考えるときに悩んだりとかはしないかもしれないです。

チーム図工
やっぱり,美術館へもよく行かれますか?

岩本先生
美術館もまあ行きますね。でも他の図工専科と比べれば同じぐらいじゃないかなと思います。まあ一般的な人よりは行ってるかなと思いますけど。

岩本先生の2023年度は?

チーム図工
今年度はどんな毎日を過ごされていますか?

岩本先生
まあ,もう何と言っても娘ですよね。
あとは兼業兼職が割と通るので,いろいろ副業をやったりしています。例えば書籍の執筆だとか,大学の先生との題材の共同開発だとか。 授業てらすのようなセミナーだとか,そういうところですかね。

チーム図工
日中はお子さんのことで大変お忙しくされていると思うんですが,そういったお仕事はどんなタイミングで進められるんですか?

岩本先生
対面オンラインとかで大体できるので,絶対に娘が寝ている時間帯に進めたり,娘同席でもいいっていう方だと午前中比較的機嫌がいい時に娘を抱っこしながら打ち合わせをしたりですかね。
あとは,寝かしつけをしながら携帯片手に書いたりとか。

結構私スマホでやっちゃいますね。タイピングの方が好きなんですけれど,どうしても娘がいるとパソコンを打っている時間がないので,もう本当に片手でできるスマホでワードとかパワーポイントとか講演の資料は子供を寝かしつけながら片手でパワーポイントを作ったりとか,そんな感じです。
レイアウトはちょっと難しいですけど,内容については全然片手で大丈夫かなと思います。
あとは,娘の散歩してる時なんか,寝かしつけしてる時は声出すと起きちゃうんでできないんですけれど,散歩に連れて行っている時とか,そういう時はもうあの音声入力とかで喋って,それをあとで編集してますね。

チーム図工
育児をしながら図工のアイディアを思いつくようなことも,あったりしますか?

岩本先生
娘が生まれてから図工の授業をまだしてなくて,ワークショップぐらいしかしていませんが,子どもの行動から思いつくことは今後ありそうだなとは思いますね。
ベビージムでおもちゃを手で揺らしている様子を見て,こうやって動くのを楽しんで見てるんだなとか,
そういう動き,何か図工と組み合わせられるかもなぁとか,
そういうちょっとしたことは時々思います。

図工の授業で大切にしていること

チーム図工
図工の授業で大切にされていることは、どんなことですか?

岩本先生
一番大切にしているのは,ワクワクするかどうかですね。
子どもたちと私がワクワクするかどうか。
多分,私自身がワクワクしない授業だと絶対子どももワクワクしないと思うんですよ。発達段階に合わせてこの用具を使わなきゃいけないとか,学習指導要領に示されているこの内容をやらなければいけないとか,それは本当に大前提にはあるんですけれど。それを踏まえた上で,本当にちゃんと子どもたちがワクワクして,主体的にもっと作りたいとか,自分の個性をこういうふうに表現したいっていう,心を動かせるような授業をしたいなと思っています。

チーム図工
ぜひ私たちもそんなふうになりたいなと思います!
図工チームでも話をしている悩みなのですが,予算が合わなかったり,「持ってきてね」と言っても持ってこれない子がいたり,材料を全部揃えたくても揃わなかいなぁという時がけっこう多いのかなぁと思っています。
また,教材屋さんが売りに来て去年も使ってたからということで同じ教材を買うなどということもあり,なかなか担任という立場になると,そういう簡単な方に流れてしまいがちという先生もいらっしゃると思うのです。
材料集めに関して,どのようになさっていらっしゃいますか。

岩本先生
そうですねぇ。
割とちょっとした工夫でどうにかなることも意外とあります。
例えば,アクリル絵の具のいろんな色を使って絵を描かせたいけど材料が揃わない,教材費が高価で準備している予算だと足りない,そんな時は学年でアクリル絵の具をボトルで買ってしまって,それを人数で割ったりすると意外とリーズナブルに買えたりしますね。
あとは私が図工専科だからだと思うんですけれど,自分で海に行って流木拾ってきたり,山に行って松ぼっくり拾ってきたり,ちょっと変態(?)みたいなことをしているので,子どもたちにその材料の物語を話すと,「これ、大切に使いたいな」とか材料への食いつきも良くなってきます。
「先生さ,実はこのシーグラスを何時間もかけてみんなのことを思いながら,汗流して拾ったんだよね。このシーグラスにも物語があって,何十年とか何百年とかに割れたガラスの瓶とかが海の中で旅して旅して日本の海岸に辿り着いたんだよ」なんて話したりして。
また,近くの工場ではカッティングシートが廃端材で出るからそれをもらいに行ったりとか,洋服を作る時に出るプリーツ紙っていう大きなロールの紙とかも廃棄してしまうものをもらってきたりとか。
子どもたちが材料に思い入れを持って作っていくと,素敵な作品ができることが多い気がします。
そういう準備のところも楽しいなと思っています。

子どもたちのやる気スイッチを押したい!

岩本先生
あとは,子どもたちのやる気スイッチを押したいなと,常に思っています。
他教科にも山場っていろいろあると思うんですけれど,私は導入のところでまず一つ山を持っていきたいなと思ってるんですよ。子どもがその材料に出会った時に感動する仕掛けは何かなとか,よく考えていますね。やっぱり材料とどんな風に出会わせようかなとか,これをやってもらおうかなっていうところの出会いがやっぱりメインなんですね。それで「やりたい!」みたいな思いを持たせたいなって思います。
何か当たり前のような材料であっても,提示の仕方で結構盛り上がったりします。
ただお花紙で何かを作るっていう題材の時であっても,授業の導入の時に図工室の机全部に画板を敷いておいて,「実はね,もうみんなの手元に今日使う材料が届いているよ!」みたいな感じで語ります。そこから,そーっと「じゃあ画板を開けてごらん」て。すると画板の下から出てきた花紙を見て,子どもそれぞれに違う色をいれておくので,,,「こんな色があった!」みたいな。
もう本当に本当に些細な,それぐらいな感じのことです。「自分のところにはどんな色の材料が届いているのかな」とか。
あとは導入のときに,「今日先生は一言も喋りません。先生の手元だけ見たら今日やること全部わかるからね。」とか言って、一言も喋らずに導入してみたりとか。
とにかく,今日は何をするのかなっていうワクワクした顔で図工室に入ってきてほしいなっていう思いがあります。

私は人生においても「ワクワクするかしないか」「楽しいか楽しくないか」,それが全部だと思ってます。
だから大切にしたいのは、
 私が楽しいかどうか
 子どもが楽しいかどうか
 自分の家族が楽しいかどうか
そこが一番だなぁと思っています。

チーム図工
ここまで先生のお話をお伺いし,先生が大切になさっていることがひしひしと伝わってきました!

授業てらすに一言!

岩本先生
授業てらすさんでセミナーを何回かやらせていただいたんですけれども,いつもすごく価値あるフィードバックを得ることができるんです。
皆さん本当に熱量もありますし,すごくありがたい感想を書いてくださいます。あとは,疑問に感じたことも本当に的を得ているような感じ方をされているので,こちらも本当に勉強になっています。
私はもう授業てらすの方々とこれからもずっとお付き合いしていきたいなって考えています。
よろしくお願いします!


インタビューを終えて

岩本先生へのインタビューを終え,授業を考えるときには子どもたちも教師もいかにワクワクできるのか,出会いの演出はどんな教科においても大切になってくるなぁと感じました。
全ての授業において子どもたちのやる気スイッチを刺激できればベストなんだとは思いますが,一日のうちの1時間でも,一瞬でも,ワクワクしている子どもたちの姿が見られるようにしたい、そんな思いが湧き上がってきました。
子育てしながら働くための工夫についても,御示唆いただいた気がします。
今後も岩本先生からたくさんのことを学んでいきたいと思います。

岩本紅葉先生、ありがとうございました!


さて,岩本先生は8月11日(金)の「磨け、授業力。ALL HAPPY」にも御登壇予定です!
今からワクワクが止まりません!


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