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音楽鑑賞の指示・発問の工夫 (3年 ビゼー「アルルの女」より かねの授業実践と 筑波大附属小学校 高倉弘光先生の著書から)

 音楽(3年生・教育芸術社)の授業で、ジョルジュ・ビゼーの『アルルの女』を扱いました。
 この単元は、『音の重なりをかんじて合わせよう』。
 楽曲の雰囲気や曲想を感じ取って聴いたり、旋律の反復、変化や重なりに気を付けて聴いたりして曲の特徴や構造を捉え、楽曲のよさや面白さを味わうことがねらいです。

1.授業で行ったこと

A.初めて聴いた感想・感じ方の違いをPadlet入力で共有

 ホルンと弦楽器で演奏される主題(A)や、フルート・オーボエの(B)を、児童がどのようなイメージを持って聞けたか確認したく、

① 聴いた曲にタイトル(題名)をつけるとしたらどうする?
② 曲を聴いて、どう感じたかを、以下の「音楽の木」の言葉を参考にして書こう。

 と問い、オンラインの掲示板プラットフォーム、Padletをつかって自由に記入させました。ノートに書いて、挙手を求めて発表という形が多くなりがちだと思うのですが、みんなが見ることができる共有掲示板に全員に記入させること、それぞれが楽しく考えられるような問いを工夫することで、全員が思い思いの聞き方をし、それを共有することができました。

 その後、旋律の反復、つまりA→B→Aの繰り返しに注意して何度か聞かせてみました。
 繋ぎ目部分がどこかに注意をして聴かせたかったので、ホルンの【ラ→ファ→ソ】の反復のメロディーが消えるところはどこか、また再び現れるところはどこか、気をつけてきいて、変わったと思ったところで手を挙げさせました
 みんなで感覚を共有したかったのでこのような方法をとってみましたが、周りを見てあげるだけの児童もやっぱりいたので、やり方の工夫が必要だなと思いました。
 この、周りを見て挙手をすることしかできない子のために、Padletを使って、曲を繰り返し視聴できるツールを作って共有してみました。

 Padletの掲示板の種類のうち、タイムラインというものがあります。
 時系列に物ごとを整理してまとめることができるため、歴史の年代ごとの出来事をまとめる形で使えたらなと思ったのですが、今回、曲の繋ぎ目をYoutubeの音源でポイントで示し、つなぎ目を聞くことができるようにしました。

↓実際に使ったPadletリンク

Youtubeで、時間を指定してそこから試聴させるようにするには、取得したリンクの後ろに “?t=120 ” (指定秒数、120とうてば2分から)という文字列を入れてあげればOKです。

 無音ですが動画でいじってみたので、こういうふうにしてみて下さい。


(今やってみましたが、簡単に選択するだけで時間指定ができるようになったんですね!)

 個別最適な学びに少し結びついたかなと思います。何度か聴いてもらった上で、またみんなで挙手を合わせる活動を行いましたが、みんなバッチリでした。

B.指示や発問の工夫 〜筑波大附属小 高倉先生の著書から〜

 手を挙げさせて、曲想の変化が見とれているかを確認する、など、音楽での指示発問の工夫を意識したのは、夏休みに読んだ、筑波大学附属小学校の高倉弘光先生の影響です。
 “必ず身につけたい テッパン指導スキル55”です。

 鑑賞における指示・発問の工夫については、以下のように書かれています。

 では,どんなふうに音楽を聴かせるといいのでしょうか。教師の指示や発問について考えましょう。例えば,「これからトライアングルが活躍する音楽を聴きますよ。どんなところで活躍するかな?トライアングルの音色が聞こえたらパッと手を挙げましょう」と指示します。すると、どの子どもも「トライアングルの音色を聴き取るぞ!」と明確な目的をもって音楽に向き合うことになりますね。このように,聴き取るべき事柄を教師が示してから鑑賞させるという方法,これがもっともオーソドックスかつ効果的な聴かせ方だと思われます。この方法だと,鑑賞と同時にどの子が聴き取れているのか、あるいはいないのかを見取ることもできます。
 また,音楽がどんどん速くなる「カリンカ」(ロシア民謡)の冒頭を聴くとき,「先生と一緒に指揮の動作をしながら聴きましょう」と指示します。
すると,どんどん音楽が速くなって、正確な動作ができなくなってきて子どもたちはキャーキャー言います。そのときに「どうしてキャーキャー言ってるの?」と発問します。「だって,速くなるんだもん!」…..。こうして「速度の変化」という学習内容に迫っていくことができるのです。
必ず身につけたい テッパン指導スキル55    P103より

 手を挙げる、指揮をするという内容。実際に体を動かして表現することに共通点がありそうです。さすがリトミックのプロ、高倉先生。
 教師側も、それぞれの子が、迫るべき【共通事項】によく迫れているかどうかを見取ることが可能です。

 鑑賞で子どもたちがすることについて、ワークシートに記入することだけで済ませている状態が、以前の私には間違いなくありました。ワークシートに記入させて一見外に出させているように見えますが、子どもたちの主体的な姿は見えなかったですし、指導すべき事項にしっかり迫れていたかというと、そうではなかったと思います。

 ICTの普及や、高倉先生の著書などで学んだことで、多様な『アウトプット』、表現のさせ方を知ることができました。子どもたちも、非常にイキイキした様子です。
 これからも、さまざまな方法で学んでいけたらと思いますし、授業てらすでも、音楽も含めさまざまな教科で、『指導観のアップデート』ができるようなセミナーを企画していきたいと考えています。

 ぜひ、先生方どんどんご参加下さい。

2.高倉先生のセミナー開催!「見方・考え方を働かせる」音楽指導

 新学習指導要領で、重要視されている、各教科の『見方・考え方』。皆さんは指導時に意識できていますか。
今週末3月18日(土)に、先ほど著書をご紹介した筑波大学附属小学校の音楽科、高倉弘光先生をお迎えし、 「見方・考え方」を働かせる音楽指導と題したセミナーを開催します。
 ニューヨーク・ダルクローズ音楽学校を卒業し、リトミック指導者国際ライセンス取得したリトミック教育の第一人者の高倉先生から、音楽の「見方・考え方」を分かりやすく学びましょう。

 皆さんのご参加、お待ちしています。

授業てらす 第2期 よう先生(佐藤 陽介)

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