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ゴキブリ屋敷兼ゴミ屋敷を素人が掃除してみた結果③

①と②はこちらからも飛んで見ることができます。

退院してきた義両親に夫が体をいたわりつつも説教をしたが、舅は

「俺は一切こういうの気にしない性格だから」

「臭いも鼻が昔からバカだから全然わかんないし」

「歳とって目も見えなくなってきたから、小さい虫なんかみえねーし」

姑は

「ゴキブリが家にたくさんいることはわかってたの。でも、特にどうしようってことでもなくてね、きにしてなかったわ」

「私の実家も、ゴキブリなんて当たり前のようにいたし、うちばっかじゃないでしょう?」

…という考えの2人だった。

夫は親にさらにブチギレていた。

私は自分の家に戻ってきて泣いた。

泣いていた私に夫はすまんと謝ってきた。

ゴキブリが増えようがウジがわこうが本人たちは全く気にしておらず、きれいになった我が家は居心地が悪くなったと言わんばかりに、数日後には処分した食べ物と同じものを買い直し、洋服はまた部屋のあちこちに置き始めた。

良かれと思ってやったことは、ありがた迷惑だったかのようにあっという間に元通り。

私が住んでいる地域にも、過去にそれなりにメディアで有名になったゴミ屋敷があって、

「ごみの量が違うだけでこの家の様子とお義父さんとお義母さんの家は変わらないよね」

と冗談ぽく言ったら、特に姑が一緒にするなと逆ギレしていた。
逆ギレする意味がわからない。

ゴミ屋敷に住む人間が、業者を頼むなり誰かに助けてもらってきれいにしてもそれは一時的なことで、またすぐに元通りかそれ以上になってしまう場合は、私のこれまでの経験から、この人達はかなり思考に偏りがある状態だと考える。

本人の思考が変わらなければ他人にはどうすることもできないし、あっという間に部屋の状態は元通りかそれ以上になると考えたほうがいいと思う。

私は医者ではない。だから、これは精神的な病気を抱えているからとか発達障害の疑いがあるからだなどとは言えないので、あくまで「思考に偏りがある」という表現でとどめておく。

ただ姑の場合は精神疾患があり服薬もしているので、一筋縄ではいかない。

こういう人が身内にいる場合は、家族が良かれと思って片づけに前のめりになると、家族側の精神的ダメージが大きいのでやらないほうがいいということを体感した。

そうはいっても、業者に頼むことに抵抗があってそれでも片づけを強行したいと思う場合には、手伝う側は決して

「きれいを維持し続けてくれるだろう」などと期待はしないこと。
未来のことは考えない。

「とにかく今、この場所が汚いから私自身がきれいにしたいと思うから片付けるのだ」

という思いだけで作業をすること。

すぐ元通りになってしまってもそれはあなたが悪いわけでもないし、片付けが無駄になったと思うことでもない。

仏教の「中今」の精神がこういうところにも役に立つ。


この騒動から数年たつ。

こんな状態では義両親宅の片づけはできないため、あきらめた。

いまだに夫と私は自宅へのゴキブリの侵入に頭を悩ませている。

それでも毎日玄関周辺にゴキジェットを噴射して外と中との結界を作るようにしてからは、玄関のドアを開けると、ポーチでひっくり返っている子供のゴキブリは見るが、家の中で見かけるゴキブリはかなり数が減った。

ただ0ではないことが残念でならない。

ブラックキャップをエコキュート付近や室外機付近に数個置いたり、隣の義両親宅の敷地にもブラックキャップを仕掛けていることも、ゴキブリの数が少なくなったと感じる理由かもしれない。

でも、義両親宅を掃除した時の光景は忘れることができず、粉砕する前のコーヒー豆が床に落ちていると卵鞘に見えてしまい毎回ビクッとするし、黒いごみがすべてゴキブリに見えてしまうくらい。

風か何かの影響で室内に入ってきた枯葉もゴキブリに見えて、おびえる。

ちょっとしたことでもゴキブリを想像してしまい、冷や汗をかいていしまうような状態が現在も続く。

それでもなお怖いもの見たさみたいな感じで、ごみ屋敷清掃動画をyoutubeで見ることがやめられない。

業者がお金をもらってやっているようなことを、自分たちはノーギャラでやったのだということに対して、自分で自分をほめる意味も込めて見ている感じだ。

もし業者に依頼をしたのならば、片付けだけでなくゴキブリ駆除もお願いしたと思うので、軽く30万円は超えていたのではないだろうかなどと勝手に思っている。

業者の方々がゴキブリやウジが大量に出てきても発狂せずに作業をしている姿は、どのチャンネルを見ても尊敬する。
他人の家だから、仕事だからと割り切れるのかもしれないがすごい。


専門業者が片づけや買取を依頼されて引き取られた品物の数々が、今日も全国の古物市場で取引されている。

ゴキブリの件で散々嫌な思いをしてきたのに、私は古物市場でゴキブリがいた形跡のある商品を競り落として家に持ち帰ってメンテナンスをして販売している。

生きているか死んでいるかはわからないが、時にはゴキブリごと競りにかけられている品物もある。
昭和のおもちゃにしてはよくできたおもちゃだなぁと感心していたら、本物だった。

あれだけ義両親の家の片づけで気分が悪くなるくらいの経験をしているのに、矛盾しているよなぁと自分で思いつつ、物に罪はないので、利益を得つつも物の新しい持ち主を探すつもりでこんな商売を楽しくやっている。

特に古い本や紙ものは、ゴキブリの糞尿のような形跡のほかにネズミにかじられてギザギザになったようなもの、虫食いで穴ぼこだらけのものも多く市場に流れてくる。

でも、実はそれがヤフオクで高値になったりするケースが多い。
ゴキブリやネズミの形跡、穴ぼこさえなければもっと高値になったかもしれないのにと思うものも多数扱ってきた。

家具だって、そういう形跡があるものがメンテナンスされて人気のアンティークショップで売られていたりするわけで、ゴキブリは大嫌いだけどアンティーク好きな方の家には、そういうものが実はしれっと置いてあったりするかもしれない。

古着だってそう。
実はレアものなんていう古着も、もともとはどういう環境から発掘されたのかはバイヤーですら知らないことかもしれないし。

実家の片づけは今回の義両親宅のようにコミュニケーションに問題があってスムーズに進まないこともあるし、長年空き家になっていると虫や小動物との戦いもセットであるかもしれない。

新しい物に価値をつけるのも、古い物に価値をつけるのも、これは捨ててもいいだろうと判断するのも、粗末にするのも大切にするのもみんな私たち人間。

家そのものも大きな簡単に捨てることができない物。

義両親宅はもちろんだけれど、実家のことや空き家の祖父母宅のことなど、考えなくてはならないことはたくさんある。

AIだメタバースだなんていう時代が本格的に来る前に、そして何より自分たちが元気なうちに、何とかしたいものである。


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