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なぜ「工藤忍」は「努力のアイドル」を名乗るのか。《アイドルと努力と青い星》


1.はじめに

アイドルマスターシンデレラガールズ(デレマス)に登場するアイドル「工藤忍」は、自分を「努力のアイドル」と名乗っています。
現在、デレステで総選挙 Stage for Cinderellaの予選Cが行われていますが、「工藤忍」に投票すると、投票したプロデューサーやファンにも『工藤忍は努力のアイドルだ』と言って欲しいと、彼女は呼びかけています。
この言葉を受けたTwitterの反応は、こちらのTogetterが分かりやすいです。

なぜ「工藤忍」は「努力のアイドル」をキャッチコピーにしてるのだろうと、私は思っていました。
「お魚アイドル」や「りんごアイドル」のように分かりやすいものではない上に、「努力」は他のアイドルもしているため、キャッチコピーとしては弱いように思えたからです。
また、自分から「努力」をアピールするのは、決して格好の良いものではありません。どちらかと言えば、「カッコ悪くダサい」イメージです。

このnoteは、もしかしたら「工藤忍」のことをバカにした文章と受けとめられるかもしれないと思って、書くのを躊躇っていました。(上記の文章だけで、「努力のアイドル」「工藤忍」に対するネガキャンだと受けとった方もいるかもしれません)
しかし、「工藤忍」についての『何かが変わって見えてくれたらいいな』と思い、私の見解をnoteに書こうと思います。

長くなるかもしれませんが、よろしければ読んでいただけるとうれしいです。

2.「工藤忍」とは

「工藤忍」とは具体的にどんなアイドルなのかを書き始めると、本題に進むまでに文章量が多くなりすぎるので、私は書きません。
担当Pの「まちゃろー」さんが丁寧に紹介文を書かれたnoteがあるので、ぜひこちらを読んでほしいです。

とても良いnoteだと私は思いますが、「まちゃろー」さんのnoteを読んでみて「工藤忍」にどういう印象を持たれましたか。

「まちゃろー」さんは、「工藤忍」は「普通のアイドル」であることが魅力だと紹介されています。
私も、結果的には、「工藤忍」は「普通のアイドル」だと思っています。この点は「まちゃろー」さんと同じ見解です。

ただ、彼女は自分自身で『努力のアイドル、工藤忍ですっ!』と名乗っています。
この言葉を、「まちゃろー」さんは『努力しているのは他のアイドルも同じだから、これをあえて推すような普通らしさが最大の魅力だ』と解釈されています。

この点が、私の見解とは異なります。
「工藤忍」の「努力」は、「他のアイドルと同じ」ではありません。「工藤忍」は、「努力」なら誰にも負けないアイドルです。そのため、「工藤忍」は「努力のアイドル」を名乗っていると考えます。

3.「努力のアイドル」の言葉が持つ意味

プロの野球選手やサッカー選手に対して、周りが『あの人は努力の選手だ』と言うのは失礼だと思います。
この言葉の裏返しは『あの選手には才能は無いけど、努力して今の地位がある』です。プロにスカウトされるほどの選手に「才能」が無いわけがありません。

また、誰もが認める結果を残している選手が自分自身で『私は努力の選手だ』と言うのは、「謙遜の言葉」です。ファンに「向上心の塊だな」「天狗になっていない」と思わせる言葉だと思います。

「工藤忍」の個性を考察する中で、『工藤忍は努力のアイドルだ』という彼女の言葉はとても印象的です。
この言葉が持つ意味から、私は一つの見解に至りました。

「工藤忍」にはアイドルの「才能」が無い
つまり、
「工藤忍」のアイドルとしての「才能」は、デレマスにおける他のアイドルと比べて遥かに劣る
という見解です。

・ダンス力などアイドルに必要な能力が元々低い
・アイドルとして目立った個性を持たない
・容姿や見た目に優れたところがない
・お金持ちの家庭に生まれた子のような品の良さを持たない
・人から羨ましがられるような教養や趣味を持たない
・頭の機転が良いわけではない
など、劣る点をアラ探しすればキリがありません。

「努力のアイドル」とは、「努力」以外に「才能」の無いアイドルという意味と、私は解釈しています。

4.「努力のアイドル」は神様に愛されていない

デレマスにおいて「工藤忍」は「主人公」のポジションにありません。
ゲームの顔で3属性の象徴でもある「ニュージェネ」の3名を「主人公」と見なさなければ、『誰もがシンデレラ』のデレマスで「主人公」ポジションにいるアイドルはいません。(総選挙1位「シンデレラガール」となったアイドルは、その1年の主役なので、「主人公」と見なすことができるかもしれません)

デレマスの世界に「アイドルの神様」がいるのなら
「工藤忍」は神様に愛されたアイドルではない
と私は考えます。

神様から与えられた「才能」は無いにもかかわらず、「工藤忍」が「普通のアイドル」をできているのは、彼女自身が「努力」した結果以外にありません。

自分にはアイドルの「才能」が無いことを「工藤忍」自身がよく分かっているのではないかと、私は捉えています。
だからこそ、謙遜ではなく、素直な言葉として、『工藤忍は努力のアイドル』『努力のアイドルと言ってほしい』という言葉が出てくるのではないかと思います。(そもそも「工藤忍」は「謙遜の言葉」を言うような子ではなく、自分の気持ちに素直な言葉を言う子だと思います)

「工藤忍」がアイドル事務所に所属できた経緯を知るとよく分かるのではないかと思います。
『アイドルになりたい』という子供の頃からの「夢」を叶えるために家出して上京し、生活苦の中でオーディションを受けますが落選続きです。合格したオーディションでも貧血になって倒れる始末です。事務所に所属するだけで相当な「努力」が見えます。
また、合格を出したプロデューサーも『忍の夢を信じてみたくなった』と言っていますが、「才能」を評価したのではなく、「温情」のように見えます。

「才能」が無いのに「普通のアイドル」になったのは相当の「努力」によるものです。
「普通のアイドル」になった後、「工藤忍」は『トップアイドルになりたい』という発言をします。
この発言を素直に受けとれば、「向上心が高い」と思わせる言葉です。私も最初の頃はそう受けとっていました。
しかし、今では私は違う受けとめをしています。「普通のアイドル」になれたことに満足して「努力」を怠るようになれば、「普通のアイドル」ですらいられなくなることをよく理解した言葉でもあると受けとっています。

「努力」とは自分自身の「才能」との戦いです。
「工藤忍」は、たった一つの武器である「努力」し続けることを信じ貫いて、神様から与えられた自分自身の「才能」に抗って、「普通のアイドル」をしていると、私は考えています。

デレマスには頑張り屋なアイドルが多くいます。
しかし、「努力のアイドル」とは「工藤忍」のことだと言ってもよいのではないかと、私は思っています。


5.「工藤忍」の瞳に宿る「青い星」

見出し画像のとおり、「工藤忍」にポーズをとらせると、瞳に「星」が映ります。
また、「工藤忍」のカードには瞳の中に「星」が描かれたものが多くあります。

「辻野あかり」も瞳に「星」が映ることはあります。「辻野あかり」は『山形りんごバカ』ですが、「山形りんご」に重ねて自分がありたい「夢」を語る時、瞳に「星」が映ります。(「しいたけ目」とか言われてますが…)

他のアイドルの場合はよく知りませんが、『バカになって「夢」を語る時に瞳に「星」が映る』のかなと、私は考えていました。
そもそも『バカじゃないと「夢」は語れない』と私は考えています。「上には上がいる」とか世間の常識や現実の実態を知れば知るほど、「夢」を語ることは難しくなると思うからです。


「工藤忍」は「自分の理想とするアイドル」になりたいと強く思った時に、青い瞳に宿す「星」が映るのかなと、私は思っています。「工藤忍」が「夢」として語る「トップアイドル」という言葉を、私は「自分の理想とするアイドル」という意味に解釈しています。

「工藤忍」にはアイドルの「才能」がありませんが、デレステの3DMVでの「工藤忍」のダンスを見ると、他のアイドルに劣りません。他のアイドルと同じように、「普通」にダンスができています。
ただ、この「普通」レベルに至るまでに、相当な「努力」をしていると思います。ダンスの「才能」が低いため、他のアイドルよりもレッスンを重ねた上での成果だと思います。

「工藤忍」には優れた「才能」が無いため、相当の「努力」を重ねても、アイドルとしては「普通」レベルです。
それでも「自分の理想とするアイドル」になるために、自分の「才能」とかを無視して、諦めず「努力」し続ける『アイドルバカ』です。
『アイドルバカ』な『夢追い人』だから、「工藤忍」の瞳には「星」が宿り、アイドルとしての自分を語る時や理想のアイドルのように振る舞えた時には、瞳に宿す「星」が映る
のだと、私は考えています。

Stay Hungry,Stay Foolish!
(ハングリーなままでいろ、
 バカなままでいろ!)

スティーブ・ジョブズの言葉より

「工藤忍」の性格で、私が尊敬しているところがあります。それは、彼女は他のアイドルを妬まないところです。
持たざる者は持つ者に「嫉妬」するのが普通です。
しかし、「工藤忍」は、「才能」に恵まれたアイドルに「嫉妬」して邪魔するようなことはしません。
なぜなら、「工藤忍」が目指すアイドルの理想は高いからです。「自分の理想とするアイドル」になるためには、自分自身の「努力」が何より大切だと信じているからです。他のアイドルに「嫉妬」して嫌がらせをしても「自分の理想とするアイドル」にはなれないからです。

また、「工藤忍」は他のアイドルに「自分の理想とするアイドル」のイメージを押しつけるようなこともしません。「工藤忍」が理想とするアイドルになれる者は、「工藤忍」だけだからです。

「工藤忍」の瞳に「星」が宿る理由として、こういった一途で真面目な性格もあるのかもしれません。

いいか、おまえは戦う者ではなく、生み出す者にしかすぎん。

余計なことなど考えるな。
おまえに出来ることは一つだけだろう。
ならば、その一つを極めてみろ。

現実では敵わない相手ならば、想像の中で勝て。
自身が勝てないのなら、勝てるモノを幻想しろ。

忘れるな。
イメージするものは常に最強の自分だ。
外敵など要らぬ。
おまえにとって戦う相手とは、自身のイメージに他ならない。

  【 Fate/stay night:アーチャーの発言より 】


6. おわりに

以上のとおり、なぜ「工藤忍」は「努力のアイドル」を名乗るのかを考えて、noteに書いてみました。
「工藤忍」に考えがあって自分を「努力のアイドル」と言い続けているのなら、その言葉には何か意味が込められているはずだと思いました。
あくまで私の見解であり、人それぞれの見解があると思います。


話は変わりますが、私は『努力・友情・勝利』のテーマ性を持つ物語が好きです。

「工藤忍」は『努力の物語』を持っているのは、このnoteにも書いたとおりです。

また、「工藤忍」は『友情の物語』も持っていると思います。「工藤忍」が所属するユニット「フリルドスクエア」は第1回ドリームユニット決定戦で1位になりました。「#ユニット名募集中」が負けて悔しかったのですが、「フリルドスクエアは死んだ」というnoteを読んでいたので、フリスクが1位になったことに感動しました。

「工藤忍」に足りないのは『勝利の物語』です
フリスクの1位はあくまで『友情の物語』です。「工藤忍」個人の『勝利の物語』ではありません。
かつて「工藤忍」には『勝利の物語』に近づいた時がありました。その時は「勝ちアイドル」のレッテルが貼られていましたが、おそらく今は「負けアイドル」のレッテルが貼られていると思います。なぜそう思えるかは、note内を「工藤忍」で検索すれば多くの記事があるので分かると思います。

現在、デレステでSfC予選Cが行われています。投票の結果、上位5名に入れば本選に進めるとともに、その5人で歌とコミュがもらえます。15位までに入れば、名前が出てプレーオフに進めます。
「工藤忍」にはボイスが付いていませんが、上位5名に入ればボイスが付きます。

ただ、有志の集計によるTwitter出口調査では、「工藤忍」は現在18位です。予選AとBの傾向から、ボイスの無いアイドルの順位は、出口調査の順位よりも低くなるので15位以内に入るのは困難な状況です。
デレマスの総選挙で「勝ちアイドル」の道を歩んでいたはずが、足を踏み外して転落してしまうダメージは大きいと感じます。
しかし、どんなに困難でくじけそうな状況でも、夢を叶えるために「努力」して諦めないのが「工藤忍」というアイドルです。

ボイスが付いた場合、最初にソロで歌う曲は、デレマスの代表曲である「お願い!シンデレラ」です。
私は、「工藤忍」が勝ち取った自分の声で「おねシン」を歌って踊る時、彼女の瞳の「青い星」がどんなふうにキラめくのか見てみたいと思って、投票しています。

私一人の投票は塵芥です。ただ、塵芥でも集まれば、彼女を推し上げられる山になるかもしれないなと思って、このnoteを書きました。
1票5名の投票枠に余りがありましたら、よろしければ「工藤忍」に投票をお願いします。

空気を握って  空を殴るよ
何にも起きない   私は無力さ
だけどさ  この手で  この鉄を弾いたら
何かが変わって見えた…  ような。

眩しい  眩しい  そんなに光るなよ
わたしのダサい影が  より色濃くなってしまうだろ
なんでこんな熱くなちゃってんだ
止まんない
馬鹿なわたしは歌うだけ
うるさいんだって  心臓

「工藤忍」は故郷の青森にいる頃、アイドルになるため、海岸線に向かって歌の練習をしていました。青森弁も「自分の理想とするアイドル」には相応しくないと考え、関東のラジオを毎日聴くことで、上京する前から標準語を身につけて、訛りを消しました。
そして、周囲に無謀だと反対される中、逃げるように上京したところから、「工藤忍」のアイドル物語が始まります。

「努力」とは自分自身の「才能」との戦いです。
ある物事を達成するために、その「才能」に優れた者は少ない「努力」で足りますが、その「才能」に劣る者は多くの「努力」が必要になります。

アイドルの「才能」が無い「工藤忍」の「努力」は、「才能」がある「他のアイドルと同じ」ではありません。「工藤忍」は、持って生まれた「才能」では誰にも勝てないからこそ「努力」なら誰にも負けないアイドルです。そのため、「工藤忍」は「努力のアイドル」を名乗っていると考えます。

以上が私の見解です。このnoteを読んで、「工藤忍」についての『何かが変わって見えてくれたらいいな』と思います。

Stage for Cinderella公式ホームページより

私は、アイドル「工藤忍」の「才能」ではなく、夢を叶えようと「努力」し続ける彼女の「生き様」に、魅力を感じて応援しています。彼女に『勝利の物語』をプレゼントしてあげたいです(「負けアイドル」のレッテルを剥がしてあげたいです)。

「工藤忍」は、神様に愛されたアイドルではありません。「才能のない者はここから去れ」「才能もないのにトップを目指すなんてバカはいらない」と言う人もいるかもしれません。

けれど、「工藤忍」は多くのプロデューサーやファンに愛されるアイドルになってほしいと、私は願っています。


いつもどおりの駄文で、また長文にもなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

誰かに負けるのはいい。
でも、自分にだけは負けられない。

手も足もまだ動く。
負けていたのは、俺の心だ。
おまえを正しいと受け入れていた、俺の心が弱かった。
おまえの正しさは、ただ正しいだけのものだ。
そんなもの、俺はいらない。

確かに俺は何か間違えてる。
けどいいんだ。
だって、誰かの為になりたいという想いが、
間違いのはずがないのだから。

他人に負けるのは仕方がない。
けど、自分には勝てる。
諦めろと囁く自分にだけは、いつだって抗える。
誓ったのはその程度のことだ。
俺が信じたもの、信じたかったものは一つだけ。
そう、たとえ俺自身が間違えていたとしても、
それを信じたことに後悔だけはしないように。

  【 Fate/stay night:衛宮士郎の発言より 】

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