乳がんの再発を避けるには

 私は治療を終えてからしばらく、まだ残る抗がん剤の副作用を早く回復させようと、美味しいものを沢山食べていました。本当に美味しくて美味しくて仕方なくて、とにかく体が欲していたようにも思いますが、残念ながら3ヶ月後の血液検査では、血糖値も中性脂肪も、通常値よりかなり高い数字を叩き出しました。

 がんは多因子疾患であり、がんになった原因を探しても仕方ありません。しかし乳がんに関して述べると、初発時肥満は治療効果を下がる原因になり得る、治療後においては再発や死亡リスクを上げる、というエビデンスが出ています。

【乳がんと診断されたときの肥満について】
乳がんと診断されたときに肥満であったかどうかが,乳がん再発リスクと関連するかどうかを調べた報告はたくさんあります。ほとんどの研究で肥満の患者さんの乳がん再発リスクは1.4~1.8倍高いことが示されています。その原因としては,肥満の患者さんではホルモン療法のアロマターゼ阻害薬の効果が劣る可能性があること,化学療法の効果が劣ることなどが考えられています。この分野は非常に研究が盛んで,患った乳がんのタイプや受けた薬物療法の種類によっては肥満と再発・死亡リスクは関連がないとする報告もされるようになりました。しかし,いまだ確定的ではないので今後の研究成果が待たれます。

【乳がんと診断された後の肥満について】
乳がんと診断された後に体重が増加した患者さんで,乳がん再発リスク,死亡リスクを調べた報告はわずかしかありません。ただ,その中の信頼性の高い報告では,体重がおおむね5kg以上増加すると乳がん死亡リスクが1.6倍程度増加することが示されています。以上より,すべての乳がん患者さんで,適切なカロリー摂取と適度な運動により肥満を避けることが強く勧められます。また,今現在肥満の患者さんには,健康維持の観点から体重のコントロールをお勧めします。

『患者さんのための乳癌診療ガイドライン』より

 なお、上記の日本乳癌学会のガイドラインは2016年版です。2018年版はまだ書籍にしかなっていないのですが、運動に関しては下記の通りしっかり謳われています。

「乳がんと診断された後の運動(身体活動)は、乳がん死亡、全死亡を優位に減少させる。」 

「運動の量と死亡率減少の割合には強い相関関係がある。」

『患者さんのための乳癌診療ガイドライン2018年版』より

 再発転移だけでなく、生活習慣病の主な原因も肥満です。バランスの良い食事と適度な運動で、適正体重を心がけたいですね。

 さて、血糖値と中性脂肪が高かった私ですが、そのさらに3ヶ月後、無事通常値に戻りました。食事は炭水化物を少し避けるくらいで、主にやったことは次の二つです。

 1日1万歩のウォーキング と、週2〜3回のホットヨガ 

 ヨガに関しては次回書くとして、1日1万歩のウォーキングってどんな感じかと言うと、「意識して歩かないとなかなか届かない数字だけれど、毎日続けるのは時間的にも運動量としてもそんな苦にはならないレベル。」でしょうか。

 主婦の方なら歩いてスーパーまで行ってお買い物して帰ってくるのが3千歩くらい、電車で都心にお勤めの方なら7千歩くらい、ざっくりそんな感じです。

 大切なのは、隣町まで買い物に行ってみるとか、ランチついでに10~20分お散歩するとか、ひと駅前で降りてみるとか、ちょっとしたプラスアルファの積み重ね。

 いつも通らない道や、行ったことのない場所へ訪れると、新たな発見もありますし、心も清々しく晴れやかな気持ちになりますよ。お試しあれ✩

#乳がん #再発 #再発防止 #闘病 #ウォーキング #抗がん剤 #日記

 

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