内田樹「農業を株式会社化するという無理」感想
私は田舎の農家さんで農業の修行をしています。*写真の畑
語弊があるかもしれないな、私が農業の修行をして目指す場所は「農家としての独立」ではなく、
「土壌研究を通じて、自然栽培が誰でもできるようになる方法を模索する」
これです、これ。
本業は“農業と土”の研究です。
*自然栽培ってなに?
ってよく聞かれますが明確な定義がなく、
「農薬と肥料を使わない、自然循環を模範とした農業」
くらいに思ってもらえたら良いです。
私が大切にしている“自然栽培”という農業もいつか紹介できたらいいな〜。
その修行先の農家さんが先日、株式会社化しました。
いやいやいや、
「農業を株式会社化するという無理」
内田樹さんは個人的に尊敬している方です。
文章を書く以外にも教育現場や武道の道でも活躍されていて、総じて「生きる力がある方」だなと感じています。
そんな尊敬する人物が、私の修行先の未来を「無理」
と一刀両断されてしまっては理由を読まざるを得ない…。
超テンション低めに読みました。
結論から言うと、
「株式会社化した農家は成り立たない」
と言う意味ではなく、
「“農業の経済的な成功”を目指すこと自体がナンセンス」
確かに、株式会社化させるということは資本主義経済の中で成功、つまり売上の継続的な成長を見込んでいる節がある。
そもそも農業という産業の本質的な意味を理解せずに他産業同様に経済的な成功ばかりを追い求めることは危険である。
そんなことが言いたかったみたいです。
確かに、私もこの約2年半農業に従事してみて感じたことがある。
「野菜を作って売るだけで何千万も売り上げることを目指したら究極プランテーション農業をすることになるな。」
「経済成長ばかりを求めた農業にすると、そのあり方があらゆる方面において持続可能じゃないことが容易に想像つく。」
農業ってそもそも何のために存在しているんだろう。
農業をしてみて私の中で浮かんだ答えは
シンプルに「生きるため」だったんです。
農業が始まった起源を考えても「人が確実に生きていくための生存戦略」生きるためだったんだよなあ。
内田さんも同じようなことを感じていたらしく、
・農業を経済面のみの重要性を考えて切り捨て海外輸入に依存してはいけない
海外に自分たちの命を預けることになる
・ある意味日本特有の強みである「耕作放棄地を借りる」ことを利用して積極的に農に参入するべきだ
・農業を他産業と同じように営利目的のみで行わないこと
地域や周りの環境との調和を大切に、利益が発生しないところこそ大切にすることで初めて成り立つ
・日本人の胃袋の数は決まっている。永久的な経済成長はそもそも見込めない
その通りだと思う。
なんか私今日堅苦しいこと言っているかなあ、、、?
もっと本当にシンプルで、私の場合は
地に足つけた生き方したいなって思ったら、農業をするご縁をいただいて
自分たちが居心地のいい方法を模索していたら、地域の中で循環できるような農業が一つの答えに出てきた。
そしてこの農法は初心者には難しいことがたくさんあるから、少しでも新規就農する人の役に立てたらいいなって、研究を始めた。
循環型農業が経済的な大成功をするためじゃなくて「経済的に成り立つ職業」にするために。
多くの人が希望を持って就ける職業になればいいなって思うのです。
そういう農業が今後は増えていくと確信しているし実際多くの若者が参入しています。
内田さんもこの現象には注目してて、
「若者が就活の時に他の職種を選ぶように農業を選ぶようになってきた」
って書いていた。
かくいう私もその一人で、そんな大層な野望とかがあったわけでもなく、
「この先、生きていくならこういう暮らし超良いなあ〜。」
っていう理由でこの田舎に越して参りました。
まあ、同級生に話す時にはちょっとカッコつけて大きな口を叩いたこともあったけど、
ただただ本能に従ったまでです、、、。
でも、2年が過ぎてたくさんのつながりもできて、毎日コツコツ自分にできることを見つけて、そういう生活が本当に楽しいし生きている実感がある。
「4年制大学わざわざ出たのにこんなところに来ていいの!?」
って千度言われましたし、農業現場にガッツリ入っていた季節もあったので男性との体力の差を実感して「ここじゃないな〜。」って思ったこともあった。
でもこういう“生きること”を大切にしたコミュニティーに入ると何かしら自分の役割がわかってくるような気がします。
あー、まずい、深夜テンションでまとまらなくなってきた。
つまり、、、。
私の修行先は訳あって「株式会社化」しました。
このあり方が成り立たないってことはないんだけれど、
別にあえて株式会社にはしなくてよかったということです。(?)
会社を建てるときは、というか自分の人生の決断をするときはもっともっといろんな情報を自分から取りに行かないといけないな。
そんなことを考える深夜2時…。
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