【13】診療ガイドラインと標準治療の存在~『がん保険』のトリセツ~
前回は『でも先進医療が受けられない・・・』というタイトルで、主治医の先生からは基本的に先進医療を勧められることはなく、もし受けたいならば自分で情報を取りにいかなければならないといったことをお伝えいたしました。
今回は、その理由と日本の医療のルールについて、一緒にみていきたいと思います。
日本の医療の現場には、診療ガイドラインがある
まず、この言葉とその存在を知っておくべきものとして、
診療ガイドライン
があります。正確な定義は厚生労働省のHPなどをご確認いただければと思いますが、私たち医療に従事していない人間にとっては、お医者さんたちが使用する
医療のマニュアル
と思っておけば良いと思います。こういった病気で、こういった症状の方には、こういった治療をすることが推奨されるといったことが書かれており、そこに書かれている治療が
標準治療
と言われ、前にも少し触れましたが、その『標準』という言葉のイメージとは裏腹に、
科学的根拠に基づいた、最良の治療
ということになります。ですから、一般的なお医者さんは、診療ガイドラインに記載されている治療を提案してくれます。ちなみに、この診療ガイドラインですが、ネットで見ることができます。医師向けのものと患者さん向けに易しい言葉で作成されたものがあります。
がんに関して言うと・・・
では、がんに関してはどのようなことが書かれているのか?がんの種類ごとに診療ガイドラインは作成されていますが、基本的に
手術、放射線、抗がん剤(3大治療)といった、健康保険が適用となる治療
でその中身は構成されています。もう一度、整理してお伝えします。
①日本の医療の現場には、診療ガイドラインが存在します。
②お医者んは、診療ガイドラインに書かれた『標準治療』を提案します。
③がんに関しては、3大治療を中心とした治療が記載されています。
ということです。
だから先進医療は勧められない
つまり、診療ガイドラインには、
先進医療という言葉は書いていない
ということなのです。ですから、主治医の先生から先進医療が勧められることは基本的にありません。例え、こちらから先進医療はどうですか?と聞いたとしても、
まだ科学的根拠に乏しい
といった回答が来ると思います。
善し悪しではなく、それが日本の医療のルール
例えば、がんの手術を受けた後に、テレビなどで先進医療の特集をたまたま見たら、
こういう治療があるなら自分も検討したかった・・・なぜ先生は教えてくれないのだろう・・・
と思うかもしれません。ただ、主治医の先生は、国の方針や科学的根拠に基づいた、最良の治療を患者さんに提案しただけのはなしで、いじわるしているわけではないということです。
情報ぐらい教えてくれても・・・と納得できない方も出るかもしれませんが、
これが日本の医療のルール
だということ、これを私たちが知っておく必要はあると思います。
ちなみに、私の知り合いのがん患者さんですが、主治医の先生から
『抗がん剤治療が基本だけど、今の状態なら重粒子線治療もできるかもしれない。もし希望するなら紹介状書きますよ』
と言ってくれたそうです。中にはそういったお医者さんもいると思いますが、言ってくれることが当たり前だとは思わず、自分で情報を探すということを覚えておいていただきたいと思います。
次回は、『保険適用外のがん治療』というタイトルで、日本におけるがん治療の選択肢について触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?