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【12】でも先進医療が受けられない・・・~『がん保険』のトリセツ~

前回は、日本人に多い肺がんを例に、3大(標準)治療のひとつである手術と、先進医療に指定されている重粒子線治療を比較してみました。メリット・デメリットそれぞれですが、両方を見比べて、多くの人に選択をしてもらったとしたら、どのような違いになるでしょうか。

現実のはなしをすると、そもそも毎年あらたに100万人くらい発生するがん患者さんの多くは、選択自体をあまりしていません。選択の機会がないので、先進医療を受ける人が少ないということも、少なからずあると思います。

今回は、そのあたりのことを一緒にみていきたいと思います。

どれくらい受けられる可能性がある患者さんがいるのか?

まずは実績を確認しますが、国立がん研究センターによると、2018年度、あらたにがんの診断を受けられた方は、

約100万人

です。この方のすべてが、粒子線治療を選択するわけではないですし、そもそもがんの種類やステージなどで、対象外という方もたくさんいらっしゃると思います。それでも、早期で見つかる方もたくさんいらっしゃいますから、どうでしょうか?少なめに考えても

10%くらい、約10万人

は、もし希望すれば受けられる状態と考えてもいいのでは?と思います(これは統計に基づいたもとではありませんが)。

わずか2.5%・・・

では、2018年度にどれくらいの方が、粒子線治療(重粒子線治療と陽子線治療)を受けられたのか?厚生労働省「第81回先進医療専門家会議資料」によりますと、

重粒子線治療が:1,738件 陽子線治療:720件 合計:2,458件
約10万人のうちの、2,458件で、約2.5%

という数字だそうです。2.5%という数字を、少ないと決めつけてしまってはいけないとは思いますが、

こんなものか・・・?

という感じはします。5年生存率は、手術の方が高いので、そちらの方が高いことは不思議ではないですが、手術を避けたいという患者さんもそれなりにいらっしゃるのでは?とも思います。

お医者さんからは勧められません

今回のここからお伝えすることと、次回触れていくところが、実は非常に重要なところなのですが、

日本の医療のルールと仕組み

といったものがあります。それがこの数字になる大きな要因だと私は思っています。そもそも先進医療ですが、がんの告知をして治療のはなしをする主治医の先生から

勧めてくれることは基本的にない

ということです。一般的に、早期の肺がんであれば、お医者さんは、手術を勧める、そういうことになっています。

自らの強い意思がなければ受けられない

私自身も先進医療のことを知る前は、先生から

手術もあるし、粒子線治療という選択肢もあるけど、どうしますか?

というやりとりがあるのかと思っていました。ところが、実際はそうではない、もし先進医療を受けたければ、自ら『必ずこの治療を受けるんだ!』という強い意思がなければ受けられません。ただその前に、知らなければそのように思うこともできない。すなわち、

自分で情報を見つけなければならない

ということです。なぜお医者さんは教えてくれないのか?

知らないのか?いじわるしているのか?

もちろんそうではありません。次回は、そのあたりの、日本の医療のルールや仕組みについてみていきたいと思います。ちなみに著名人ですと、最近お亡くなりになられた作家のなかにし礼さんは、2012年に食道がんになり、自分で調べぬいて、陽子線治療にたどり着き、治療を受けています。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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