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11/11(日)本と僕

僕は今まであまり本を読まずに生きてきた。
ネット上では、アカデミックな方法論で政治や社会問題について語ったりしている人が多くていつも勉強になるし、文学や芸術について深い知識を持つ人の評論も同様だ。
そういう人たちはきっと今までたくさん本を読んできて、図書館に通ったり、自宅にちゃんと本棚があったりして、ずっと知識を蓄積してきたのだなと思うと、本当に頭が下がる。

僕は今までどんな本を読んできただろうか。
思い起こすと、一番古い思い出は椎名誠さんの「アド・バード」だった。
まだ小学校高学年だった頃、2歳年上の兄が古本屋で買ってきたその本を、僕は兄の部屋で見つけて読み始めたのだった。

「アド・バード」は、今風に言えば「ディストピアSF小説」というジャンルになるのだと思う。
崩壊した未来の世界で兄弟が失踪した父を探して旅に出るのだが、その前には、得体のしれない獰猛な新生物や暴走した機械が待ち受ける・・・といったストーリーだったが、この作品の特徴はその世界観の不思議さだった。
滅びる前の世界では資本主義と科学技術が極限まで進歩していて、特に二大企業による「広告合戦」がエスカレートした結果、バイオ技術によって改造された様々な生物を使って企業の広告活動がおこなわれ、さらに、相手企業の広告を妨害・破壊する新たな生物が生み出され・・・というような事態にまで発展していた。
崩壊後の世界でも彼らは活動を続けていて、ある者は世界が滅びたことが分からないまま、既に存在しない商品の宣伝をしながら廃墟を歩き回り、
またある生物は崩壊後の世界に適応進化し、人間に害をなす危険生物となっていた。
当時の僕には難しく、そして長い作品だった。
何度も読むのを諦め、しかし続きが気になり始めてまた読み始め・・・を繰り返しながら最後まで読んだ。それが僕の初めての読書だった。

それ以来、僕は何冊か椎名誠さんの本を読んだ。
しかし、それから僕が熱中していったのはマンガばかりで、活字の文章は学校で読む教科書くらい、という生活が大人になっても続いた。
お金が無かったというのもあるけれど、図書館にも全く縁がないまま過ごしてきたということは、おそらく僕は活字の本や読書が別に好きではないのだなと思う。

こうしてnoteに文章を書くようになって思うのは、やはりもっといろんな本を読んで生きてくるべきだったな、ということだ。
さっき書いたように僕は文学作品をほとんど読んでいないので、表現力の無さや文章構成の難しさを感じることが多い。
また、大学を途中で辞めてしまい学術書もほとんど読んだことが無いので、専門的な知識も持ち合わせていない。
京都市の自転車撤去に関する記事も、ヒーヒー言いながら条例やら運用計画やらの情報をググってなんとか書き上げたものだった。

直感的に「これについて書きたい」と思っても、それをひとつの文章として構成し、順序立てて説明することはとても難しい。
そんな時助けになるのが、本だと思う。
僕も自分の読書不足に気づいてからは意識的に(主にネットで)他人の文章をたくさん読むようにしている。そこで「こういう表現の仕方いいな」とか「こういう順序で説明されると分かりやすいな」とか、色々学ばせてもらって今も文章を書いている。
今の時代、「本を読め!」とは言わないけれど、他人の書いた文章を読むということは、とても大事な経験だと思う。
noteを書き始めてもうすぐ一か月になり、ようやく少しは自分が納得できる文章を書けるようになってきたが、時間をおいて読み返してみると「ヘタクソだなぁ」と感じることも多い。
そう思えるのは自分が成長している証しでもあると思うので、致命的な間違いや誤字脱字が無い限りは修正せずそのままにしておこうと思う。

起きだして来た凛ちゃんの接待に時間をとられ、文章が中断してしまった。
ここ数日は暖かい日が続いていたが、それでも確実に冬に向かっていることが凛ちゃんにも分かっているようで、最近布団で過ごす時間が増えてきた。
起きている間は僕の膝の上か、座椅子の隣のスペースに控えていることが多い。なぜか今はまだ気づいていないが、コタツの中が温かいということを知ったらきっと籠りっきりになるのだろう。
本格的な冬を迎える前に、僕ももう少し生活の質を向上させたい。
アルバイトを始めるのがその早道なのだが、果たしてできるだろうか。不安なのはアルバイトそのものというより、アルバイトを始めることで必要になる「それなりにきちんとした生活」だ。
決まった時間に起き、食事をし、洗濯や入浴をして、外に出る。相変わらずだが、当たり前にできる自信が持てないまま時間だけが過ぎている。

ふと携帯を見て気がついたが、そういえば今日は日曜日だ。
自分で決めた休日なので、とりあえず考えるのは後回しにしよう。まさにクズ人間の常套手段、ダメ人間の面目躍如という感じだが、仕方ない。
今夜はゆっくりTwitterを眺めたり、noteを読んで過ごしたいと思う。

こんな生活なのでサポートして頂けると少額でもとても大きな助けになります。もしこのノートを気に入っていただけたら、ぜひよろしくお願いします。羊肉