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土木の魅力向上に向けての会長メッセージ

土木学会事務局です。
田中茂義第111代土木学会会長が、2023年6月の会長就任以来取り組んできた「土木の魅力向上プロジェクト」の成果を公表するにあたり、「会長メッセージ」を発信いたしました。

より多くの方に目にしていただけるよう、全文を転載いたします。
「土木の魅力向上プロジェクト」の成果は、土木の魅力向上特別委員会のページにて公開しています。あわせてご参照ください。


2024年6月
公益社団法人 土木学会
第111代会長 田 中 茂 義

2023年6月の会長就任以来、会長特別プロジェクトとして「土木の魅力向上プロジェクト」 を立ち上げ、①魅力ある土木の世界の発信、②土木のステイタスアップに向けた取り組み、を2つの小委員会のもとで活動してまいりました。各小委員会の取組み内容や提案内容を踏まえ、下記の通り「会長メッセージ」 を発信いたします。

私がこの活動を通じて再認識したのは、土木に関係する皆様が働きがいを感じ、いきいきと活躍 できるような環境を整備することが会長としての使命ではないか、ということです。土木がその役割と重要性を社会から認知され、自分達もこのような魅力に富んだ土木の世界に入りたいとリスペクトされるような状況になったとき、土木技術者のやる気と働きがいはより大きなものとなり、土木のステイタスアップも実現するのだと思います。

1 土木の魅力発信は「全員リレー」で

あらゆる立場の方が、「自分の言葉で」 土木の魅力をいきいきと発信するようにしましょう。そうすることで、土木の魅力をより広く社会に発信することができ、多くの担い手により、「技術のバトン」 をつなぐことができると確信します。

2 土木史に学び、技術と志を伝承する

過去の優れた歴史的なプロジェクトや事例に学び、それらの技術と志を伝承し、次世代につなげていくことが重要です。新たな知見を得たり変革を実現するためには、過去の技術や技術者の歩みに注目することも必要と思います。現在の視点で過去の取組みを再評価し、次世代のイノベーションにつなげていきましょう。

3 個人の能力と業績を評価し、明示する

土木事業は匿名性が高く、なかなか個々の土木技術者の業績が見えづらい状況にあります。そこで、土木技術者個人に着目し、個人の能力と業績を世の中に示す方法を検討する必要があります。土木技術者個人が評価されること、また、土木技術者が相互承認できる場を作ることで、土木技術者個人のステイタスアップが実現できるような制度を作りましょう。

4 教育現場への参画

次世代の土木技術者を育てるためには、教育現場において土木の認知度を上げることが必要です。 また、将来の土木界をリードする人材を発掘するための環境づくりが重要と考えます。教育現場に様々な立場の土木に関係する方々が参画することを通じて、次世代や地域の方々などに「土木の魅力と凄さ」 を伝え、土木のステイタスアップと担い手確保が実現できるように取組みましょう。

5 イノベーションで未来を創造する

自動化・無人化・リモート化やAIの活用により、建設の世界は変革の途上にあります。建設システム全体の変革により生産性向上と付加価値増大を図り、さらにはDXでイノベーションを達成して未来を 創造してまいりましょう。また、土木はカーボンニュートラル(CN)やネイチャーポジティブへの貢献でも期待されており、土木の将来は大変明るいものと考えます。

おわりに

土木技術者は初代土木学会会長 古市公威先生のお言葉にある通り「将に将たる人」 であり、皆様にはこの矜持を胸に土木の使命を存分に発揮していただきたいと思います。土木技術者としての志を持ち、総合工学としてのマネジメント力を生かして、将来にわたり人々のウェルビーイングに貢献していただきたいと思っています。

皆様には、イノベーションの先頭に立ち、未来を創造 すべく活躍されんことを期待します。


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国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/