185. 聞いてないよ!
ダチョウ倶楽部
上島竜兵さん
1961年1月20日 - 2022年5月11日 61歳
一番そんな死に方をしちゃいけない人だ。
「芸人は笑っていくのが理想であって、のたれ死ぬのが最高だと教えてきたのに、どんなことがあっても笑って死んで行かなきゃいけないのに、非常に悔しくて悲しい」
(ビートたけし)
①絶対に選んではいけない選択
細かいことは一般人には分からない。
本人にしか分からない苦悩、経験・・・そういったものがちりつもになっていたのかもしれない。
だが周りに本当に愛してくれる芸人さんの後輩がいて
連れ添ってくれてる奥さんがいて
20年以上支えてくれているマネージャーがいて・・・
いくらでも選択肢はある中でなぜその選択を選んでしまったのか・・・
②どうぞどうぞ
「どうぞどうぞ」のネタ。
私はこのネタが本当に大好きだ。
何度見ても笑ってしまう。
オチがどうなるか見えるのに。
色んなところで広まってダチョウ俱楽部さんがいない所でも、一般人がノリでやっちゃうような国民的ネタだった。
だが見返してみると、本人達3人でやっているほうがテンポも間合いも抜群に面白い。
まさに古典落語のような「古典お笑い」になっていた。
③後輩方の内心とプロ意識
5月15日
昼間には「土田晃之の日曜のへそ」にて土田さんが
夜は「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」にて有吉さんが
コメントをした。
これらのラジオを聴いて笑わせるプロというのは本当にすごいと思った。
訃報を聞き、病院に駆けつけ、状況を実感し、葬儀を取り行う。
たった3日程で進んでいく目まぐるしすぎる日々。
まだまだ心は整理されないまま普段のしゃべるという仕事に取り組まなくてはならない。
それがプロだから。
それで飯食ってるから。
簡単にそういうのかもしれない。
でもそれは本当にすごいことだと思う。
一体この期間何があったのか、自分は何を感じたのか。
長く話すのではなく、簡潔に話す。
でもそういった暗い話だけではなく、ボケを入れて笑いにする。
そしていつものラジオの雰囲気にしていく・・・
笑いのプロだからこそ出来ることだと感じた。
④「つらい」と「わらい」
辛いことと笑うこと。
一見真逆の感情に見えて意外と近しい距離感なのかもしれない。
笑いは「緊張」と「緩和」だと言われるが、人が死ぬ時この「緊張」と「緩和」という関係性が最上級になるのかもしれない。
それを突き詰めてきたからこそ、昨日の土田さん、有吉さんのラジオは特別な回になったのだろうと思う。
有吉さんが「放送事故になるかも」と言うほど、あんなに言葉を詰まらせている姿は今まで見たことがなかった。
上島さんが亡くなったことを噛み締めると同時に、それに向き合いお笑いのプロとしてどうにか笑いにしようと葛藤する二人の姿が本当にかっこよく見えた。
⑤上島さん聞いてないよ!
冒頭にも書いたが
本当にこんな死に方してはいけない人だった。
それは今まで約40年間磨き上げられ、作り上げられた素晴らしい芸をこれから笑えなくなってしまう可能性があるからだ。
これから過去の映像で振り返ることがあっても、笑いよりも悲しみが先に来てしまう。
それは何とも辛い。
そしてあれだけ愛情をもった後輩の皆さん、そして、肥後さん、ジモンさんがこれから一生背負わなければならないからだ。
どんだけすべったって笑えるスベリはあるのに
絶対に笑えないオチをしてしまっては本当に笑えない。
だから本当にこのニュースは個人的に辛かった。
どうか残された周りの方々の精神状態が悪くなってしまいませんようにと願います。
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