見出し画像

漂流教室 No.53 「『源氏物語』から「後継ぎ」」

ゴールデンウイークが終わってしまいました。
もっとも、ゴールデンウイークだからといって私は特にお休みが増えるわけでもありません。
でも、家族の仕事がお休み。
やっぱり、私の生活も影響を受けます。
普段行かないところへ遊びに行ったりしました。
どこへ行ったかや、何をしたかはまた別の機会にご報告します。

ゴールデンウイークが終われば、非日常から日常へ。
ちょっと悲しかったり、また反面ちょっとほっとしたり。

さて、『源氏物語』です。

一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて、寄せ重く、疑ひなきまうけの君と、世にもてかしづき聞こゆれど、この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君をば、わたくしものに思ほしかしづき給ふこと限りなし。

第一皇子は、右大臣家出身の女御のお産みになった方で、後ろ盾がしっかりしていて、疑いなく皇太子となる方であると、世間でも大切にお仕え申しあげているが、この宮の輝くばかりのお美しさには並びなされようもなかったので、帝は第一皇子をひととおりの大切な方との御思いで、この宮を秘蔵の子として大切になさることはこの上もない。
(訳…私)

この部分で前々から思っていたことなんですが、
「第一皇子はまあまあ大事で、この皇子はあまりにも美しいから秘蔵っ子!」
などと考える父親がおろうか?

光源氏という人物の造形上、
普通の人からは何もかもとびぬけている人物、を描く必要はある。
だから生まれた時から、こりゃすごい子だ!とせねばならない。
ということなんでしょうね。
現代人の感覚からするとちょっと違和感がありますが。

ところで第一皇子のお母さんは右大臣家出身。
つまり皇子は右大臣のお孫さん。
天皇家のお嫁さんの経済的バックアップは実家の掛かりだから、
これはもう最強のバックアップ。
もちろん天皇さんだって右大臣を軽んじることなんかできません。
しかも長男。
だから誰が見ても皇太子候補ナンバーワンです。

皇太子のことを「まうけの君」と表現しています。
「まうけ」は「設(まう)け」。
「設定する、準備する」という意味です。

「次期天皇として準備された皇子」ですね。

さて、現代では皇室典範なんていうのがあって、
「皇太子は誰にする?」なんていうのは決められているそうです。

先だってイギリスでは新国王が即位されましたが、
みなさんご存じの通り前国王はエリザベス女王でした。
そして、新国王であるチャールズさんの次男ヘンリー王子は、
「もう、やだ」と言って、王室から出て行っちゃった。

女性が王となり、王位継承権を持つ方が王室を離脱する。
日本では考えられない。
考えられないってことは正常なのか、異常なのか?

極めて政治的な問題でしょうけれど、当のご本人、皇室の皆さんはどうしたいのかな?
案外、後継ぎ問題で最も蚊帳の外に置かれているのは皇室の皆さんじゃないのかな?

『源氏物語』を読んでいると、
つい「天皇ってどういう存在なんだろう?」と思ってしまいます。

ということで、続きは次回。


さてさて、業務連絡。
もうすぐ、中学3年生や高校3年生の最後の試合やコンクールなんかがおこなわれます。
どうか皆さんが持っている力を存分に発揮できますように。
そして全力を尽くした後は、今度は受験に向けて学力を全開!
小松市役所裏、ひふみ塾がお手伝いします。
昨年度の志望校合格率、100%です。(ちょっと自慢)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?