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漂流教室 No.36 「古典を少々 『源氏物語』から」

紫式部のブームがやってくるそうです。
きっかけはNHKの2024大河ドラマ。
吉高由里子さんが主人公の紫式部役で、柄本佑さんが藤原道長役。
紫式部は「まひろ」という名で登場するとか。

私にとって吉高さんはTVドラマ「ガリレオ」の刑事さん。
「ガリレオ」は柴咲コウさんもよかったなあ。
「蛇にピアス」も見たけれど、なんだかよくわからなかった。
小説はおもしろかったですね。
ヒロミさんはNHKの「花子とアン」がよかったぞと、言うておりました。

紫式部の本名については藤原香子(かおるこ、かおりこ、たかこ)説が有力らしいですが、本当のところはなかなかわからない。
なにせ、千年も前のことですから。

さて、せっかく紫式部ご執筆の『源氏物語』が注目されるんだから、
私も便乗したいと思います。
とはいえ、私ごときが『源氏物語』を解説したり、紫式部を詳しく紹介したりしてはいかん。
なによりそれほどの見識は持ってはおりません。

では何をするつもりかというと、
『源氏物語』をボツボツと読んでいきながら、
そのときどきにつぶやきたいことをつぶやき、
脱線したいほうへ脱線していく、
というスタンスでやっていきたい。

それじゃあ現役時代の授業と同じじゃないか、と私の生徒であった方は思うだろうなあ。
その通りでございます。
以前やってた授業みたいなことを、もっと無意味・乱雑にやっていこうという趣向です。

こんな具合に…

「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際きわにはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。」

「いったいどちらの帝の御代であったろうか、女御や更衣がおおぜいお仕えなさっていた中に、さほどのご身分ではないおかたであって、たいそう帝のご寵愛を受けなさった方がおいでであった。   
訳…私(以下、現代語訳は私の拙いものでごかんべん)」

『源氏物語』の冒頭部分です。

女御も更衣も天皇の妻です。
身分は女御のほうが上。
更衣とはもともと天皇の衣服の管理をしていたので、「更衣」。

「あまた」つまり大勢いたということですが、どれくらいいたのでしょうか?
更衣の定員は10人とも12人ともいわれますが、そんなにいたのかな?

紀貫之らに『古今和歌集』を作らせた醍醐天皇には、わかっているだけでも女御が5~6人、更衣は10人ほどいたそうです。
更衣以下の妻もいたそうですから、20人以上かな?
そりゃ、「あまた」ですね。

さて、天皇の后といえば「中宮」という方がいらっしゃる。
「中宮定子」とか「中宮彰子」ですね。
「中宮」とは本来、天皇の正妃が住む建物です。だって「宮」ですからね。
「宮殿」です。
で、そこに住む人、つまり正妃が「中宮」と呼ばれるようになります。

「皇后」さまもいらっしゃる。
身分としては「中宮」とほぼ同等。
先程、例に挙げた「定子」も「彰子」も同じ一条天皇の妃です。
おふたりとも「中宮」さん。
いろいろあって、最終的には定子さんが「皇后」、彰子さんが「中宮」です。
ちょうど『源氏物語』が執筆された時代のことです。
紫式部は彰子さんに仕えていましたから、このややこしいうえにもややこしい状況を間近で見ていたんです。

いまでは天皇の妃は「皇后」さまですね。
シンプルでよろしい。
『源氏物語』の時代はお妃一つとっても複雑です。

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