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漂流教室 No.31「教員の多忙化は誰のせい?」

この3月まで高等学校で教員をやっていました。
学校出てからずっと教員。
34年やりましたねえ。

で、定年で退職。
同僚の多くは「再任用」といって、仕事を続けています。
もちろんフルタイムで働く人もいれば、
「ハーフ」といって半分だけ働く人もいる。
1週間あたり、半日×5日分です。
2日間フルで働いて3日目は午前中だけ、なんていう働き方もある。
さまざまですね。

お給料はフルで現役時代の7割くらい。
ハーフは当然その半分。

で、私は再任用には手を挙げたんですが、
希望を全く聞いてもらえなかった。
実は定年前の何年間でも転勤希望を出していたんですが、
全く聞いてもらえなかった。

最後の最後の定年時の希望さえ無視されるということは、
「お前の希望なんか聞いてやらん。いやなら辞めちまえ」
と、教育委員会が言っているのと同じです。

だから、再任用は辞退申し上げました。
すると校長がこう言いました。
「あなたが赴任するはずだった学校に穴が開いてしまう。
この迷惑をどう考えますか?」

はあ?
向こうが辞めろと言ってるんだから辞めるんだ。
向こうが俺に迷惑ばっかりかけてきたんだ。
ふざけんじゃねえ!

ということでめでたく定年。

なんでも、公務員は定年が徐々に延長されるらしいですな。
ああ、60才で辞められてよかった。

さて、教員の多忙化。
もちろん文科省や都道府県の教育委員会がバカで恥知らずの腐れ外道だからというのは周知の事実です。
でもね、それだけじゃない。
教員の多忙化の一因には教員自身の「働きたがり病」もあると思います。
例えば、こんなことがありました。

私の勤めていた高校では夏休みに入るとすぐに英数国の補習授業があります。
あわせて、クラス担任による保護者懇談会もあります。
午前中が補習で、午後が懇談会。
懇談会って気を使います。
やっぱりねえ、いろんな方(いろんな意味でね)がいらっしゃるし、
こちらもいい話ばかり申し上げるわけでもない。
場合によってはちょっと言いにくいお話もせにゃならん。
つらい仕事でございました。

さて、英数国で担任をやってる教員は午前はずっと補習、
午後はずっと懇談会。
私、学年主任をしていて会議でこう言ったことが何度もあります。
「英数国の担任は休む間もない。昼飯も食えない場合もある。
どうか、補習を廃止してくれ。
せめて、補習と懇談会は別日程にしてくれ」

さて、みなさんどう反応したか。
「補習はやめられん」
「懇談会とセットなら3日で済むが、別日程にすると最低でも6日かかる」
「3日の辛抱だ」

結局、私の意見なんか通らない。
英数国の担任だけがひどい目にあい続ける。

「じゃあ、補習は担任以外で担当してくれ」
と言うと、
「担任以外で回すとなると人が足らん」
理科や社会ははじめから補習をする気なんかない。
自分がしんどくないから、他人のしんどさなんか気づきもしない。

でもね、その英数国の担任の中でも
「たった3日の辛抱だ」と言う方々もいた。
ひどい目にあうことを「やりがい」だったり、「充実感」として捉えてるんですかねえ。

私、定年前の数年間はなんとか仕事量を減らそうと会議ではいろいろと提案しました。
「保護者懇談会は年に1回でいいんじゃない?」
「夏休みの前期補習を廃止しようよ」
「冬休みの学習会、要らなくない?」
「土曜の補習減らしましょう」
「文化の日の代休日、新人戦の終了後に設定できませんか?」
(文化の日に、学校公開といって保護者が学校を見に来るんです。
で、どこかで代休日を設けるんですが、新人戦前に代休日があっても結局部活動の日になって休めません。だから新人戦後を提案したんです。)

この中で実現したのは文化の日の代休だけ。
みなさん、補習や学習会を減らすのが怖いんです。
たかが補習を減らしたぐらいで学力は落ちません。
だいたい、
「補習をやめたら生徒が勉強しなくなる」
と考えるほうが、生徒をバカにしている。
本当に進学したければちゃんと勉強しますよ。

自分で自分の首を絞め続ける。
もうそろそろそんなことはやめなさい。
現役の先生方。

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