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延期と聞いて裁判所に行かなかったら、実は行われていてビックリした一日の話

2022年12月12日です。今日は衝撃的な一日でした。記憶が鮮明なうちに、出来事を書き出して記録しようと思うのですが、いきなりキレイにまとめることができないほど興奮していますので、自分を落ち着かせるためにもこのような語り口調で記録をとっていきたいと思います。

本日は、私が暴行・傷害の被害を受けた事件についての第1回公判(刑事裁判)の日でした。検事さんから「裁判がスムーズに進めば、この日に被害者意見陳述と論告求刑までやって結審するかもしれない」と聞いていましたので、私は仕事を休みにして裁判所に出向く準備をしていました。

土日であった昨日まで、私は自分の意見を整理して述べられるように、自分で書いた陳述書を綿密に読み直していました。文字数にして4,000字、A4用紙4枚分の分量で、読み上げると10分近くかかるほどになりました。

本日、朝から身支度を整えて、そろそろ出ようかというときに、職場から連絡がありました。検察庁から連絡があり、「検事がコロナの濃厚接触になったので今日の裁判は延期する」という趣旨でした。心の準備も十分だったところで拍子抜けしたところですが、仕方ないと思いました。

裁判所に行って夕方まで時間が取られると思っていたので、裁判がキャンセルとなって時間ができました。私はいつもの時間よりは遅いですが、職場に行くことにして、11時ごろ着きました。事務仕事をしていたときに、職場の電話に検察庁から電話がありました。私が電話に出ると、「今日は予定していただいていたのにすいませんでした。実は今日、急に裁判をやることになりました。」と検察事務官から聞かされました。私は驚いて、「今から行っても間に合わないです。」と言いました。すると、検察事務官は「今日は被害者意見陳述まではいかない見込みです。」と言いました。

私は意見陳述の準備を一応していましたが、起訴状の内容を知りたいと思っていましたので、「起訴状の公訴事実の内容を知る手段はないですか?」と聞きました。検察事務官は「検事から後ほど電話するようにします。とのことでした。この時、次回の日程を決めるとしたら希望の日時はあるかと聞かれましたので、都合の悪い日を言いました。

その後、裁判が終わったころの時間でしょうか、再び検察から職場に電話がありました。別の検事からで「今日はすいませんでした。来週の火曜日13:30から次回の裁判があります。その日に被害者意見陳述と求刑までやって、結審する予定です。」とのことでした。私はこの検事に、「被害者は罪を認めていますか?」と聞きました。すると、検事は「概ね認めています。詳しくは、次回の被告人本人尋問で聞くことになります。」と言いました。

私は「意見陳述のために起訴状の内容を知りたかったのだが、今回行くつもりだったのに行けなくなって残念です。」と言いました。すると検事は、「容疑者が、被害者である先生の首元、胸もとをおさえつけたという暴行について認めています。」といいました。私は「えっ??」と不思議な感覚に陥りました。「私が足を蹴られてケガをしたということは公訴事実にないのですか?」と聞いたところ、検事は「ないです。」と答えました。私はこの時はじめて、公訴事実に私が足を蹴られて、ケガをしたという事実が含まれていないことを知りました。

私は、写真資料の通り、全治2週間の診断、実質的には1ヶ月間に渡って生活が不自由になったケガについて、被告人が法の裁きを受けるものと思っていました。起訴前に捜査担当の検事が「暴行で起訴する」ということは聞いていましたが、まさか足のケガについてまったく含めないどころか、蹴った事実は一切なく、その前にもみ合った際の首元、胸元を押さえたという事実のみで起訴していたとは、私にはまったく予想できませんでした。

1か月ほど前に公判担当の検事から「意見陳述の原稿を事前に送って欲しい」と言われていました。この際「通訳のこともあるので、日本語学校の先生に言うのもおこがましいですが、主語述語をはっきりと書き、複文をさけて記述してください。」とのアドバイスをもらっていました。また、内容についても「暴行事件について述べてください」ということで、暴行事件に至る前の被告人の日本語学校女性学生へのDV行為についてあまり偏らないようにという注意もありました。私は準備した陳述書の中で、なぜこの暴行事件が起こったかについての事情を裁判所に知って欲しいと考えて、この事件がいかに重大であるかをアピールしたいと思ったところです。

ところが、蓋を開けてみると、私がケガをしたということは全く関係のない起訴事実でしたので、このまま裁判所で述べても、完全に<的外れな陳述>だったかもしれません。仕方ありません。傷害ではないとは聞いていましたが、まさか蹴ったことがなかったことになっているとは普通思いません。今思えば、傷害は結果犯ですから、暴行→傷害のセットです。傷害が論点になっていないということは、そもそもその前件の暴行も論点になっていないのであって、また別の暴行行為についての起訴だったのです。

私が傍聴席でこの起訴事実の朗読を聞いていれば、その場で意見を変えたことでしょう。「そもそも訴因について疑問がある」という意見も言えます。証拠を提示して、私は蹴られ、ケガをした。診断書もある。対質尋問で被告人に、「あなたは私を蹴って怪我させたこと認めますか?」と聞きたいとも思ったはずです。しかし、検察庁からの謎のコロナによる公判延期連絡後の、急遽開廷という連絡に、私は怒りを通り越して脱力したのであります。

電話をくれた検事のご厚意でしょうか、起訴状の内容を知ることはかろうじてできました。裁判所に起訴状の謄写申請を夕方してきましたが、裁判所の刑事部の職員(書記官?)によれば、「謄写許可は、裁判官が検察官の意見を聞きながら決定します。実際には、謄写する専門の業者から連絡がいくことになります。ただ、来週の公判日までには間に合わないかもしれません。」ということでした。

私が率直に抱いた疑問は、「意見陳述をしようにも、いったい何を元にして意見を言えばいいのか?」ということです。もともと裁判所に行く予定を入れ、今から出ようという時に延期という連絡を受けました。この時にそれでも開廷されるかもしれないと疑って裁判所に行く人などいません。素直に話を受け取っていたら、今度は傍聴する機会を失いました。資料を謄写してもらおうにも、次の日程には間に合いません・・・。今回の件は、誰か一人が悪いとか、責任があるというものではないのでしょうが、「被害者の立場なんてちっぽけなんだなぁ」と、肌身に染みて感じるところです。

私はかろうじて、疑問を検事にぶつけ、裁判所に電話をかけてでも手続きを聞き出すことができました。刑事事件において、裁判官、弁護士、検事警察以外は、素人です。素人なりに、できることを尽くしても、ここまでです。世の中には、まさに泣き寝入りしている人がたくさんいるのではないかと思ってしまいます。

私は、目の前におきた事象に対してはありのままに受け止めつつ、しかし、できる限りの対処は引き続きやっていこうと思います。現在は、なんとかして起訴状、公訴事実の内容を知ることができました。これにより、私の意見は変わりました。この意見を再びまとめて、検事に事前に提出しつつ、来週の公判で、思う存分に述べたいと思っています。

もし、本日、予定通りに出廷していたとして、準備していた内容を話そうとすると、裁判長が「公訴事実に関係のあることを述べてください」と、陳述を遮ったかもしれません。私が「私は足を蹴られ、ケガをした。殺されるかと思うくらいの経験をした。日本語学校としても重大な事件です。」と述べても、裁判所や弁護人的には「起訴状にないことを議論できません。」と一蹴されていたはずです。速く言えば、恥をかかずに済んだというころです。

長くなりましたが、今日一日の動きでした。なんともモヤモヤした気持ちで、これから明日の授業の準備をします。


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