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物流2024年問題・レンタルパレットは増えているか?

JPR広報部の那須です。
物流2024年問題を背景に、パレット輸送を拡大する必要性が認識されています。このような中で、2024年5月30日、一般社団法人日本パレット協会が、レンタルパレット保有枚数(レンタルパレット会社の総保有枚数)の統計を発表しました。

レンタルパレットの普及枚数

この統計によれば、2023年時点でレンタルパレット各社が保有しているレンタルパレットの総数は、はじめて3,000万枚を超えました。前年比の増加率は約5%です。

日本パレット協会発表資料をもとにJPR作成

「もっと急速に増えているかと思った」との声

レンタルパレット業界の保有枚数は、過去10年でおよそ1.5倍に拡大してきました。ただ、昨年比では5%の伸び。物流2024年問題に対する認知が高まる中で、「もっと急速に増えているかと思った。」メディアの方からこのような感想を伺うことがあります。
2024年問題への関心の高まりと、それに対して緩やかに見えるレンタルパレットの普及。実際の現場はどうなっているでしょうか。

時間がかかるパレット輸送の導入

2024年問題への関心の高まりと連動するかたちで、製造業等の企業がパレット輸送を検討する機運は高まっています。ただ、導入する企業にとってパレット輸送の導入はいくつもの課題を乗り越えなければならない難しいプロジェクトでもあります。
課題として最もよく上がることの一つが、パレット輸送を行うためにトラックの積載率の低下が起きてしまう問題です。従来、パレットを使用しないバラ輸送を行っていた場合、パレットの容積・重量の分だけトラックの積載効率が低下します。また、積載商品のケースのサイズが11型と整合していない場合には、パレットの平面積に対して空間が生じてしまい(下図)、積載率には大きな影響を与えてしまいます。

ケースのサイズが11型と整合しない場合積載率が低下する

積載率の低下は1ケースあたりの運送コストを押し上げてしまうため、ときには商品そのもののデザインやケースの変更を行わなければならないことがあります。
レンタルパレットによってパレット輸送を導入しようとする企業では様々な工夫によってこの課題を克服しておられます。

積載率低下の影響をはじめとしたコスト面での課題は、パレット輸送の拡大の障壁となっていましたが、2024年問題に対する危機感から、ここ1~2年でパレット化検討に本格的に着手された企業が増えているというのが、レンタル会社に働く者としての肌感覚です。
ただ、今日決めて来月からスタート、とはいかないのがパレット輸送。2024年4月がゴール(導入のピーク)というよりは、これから数年に渡りパレット輸送を開始する企業が増えていくのではないかと思います。

今回は統計資料から、足もとでの需要に対する印象をまとめさせていただきました。

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