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伊藤邦雄氏講演 (一橋大学CFO教育研究センター)「人的資本経営で日本企業は蘇る」から考えたこと

こんにちは。日本生産性本部事務局の松沢です。
本日は、トップエグゼクティブ朝食会  伊藤邦雄氏の講演について考えたことを書いていきます。―――――――――――――――――――――――――――――
本ポストは、なかなか招聘できないゲストによる、大変貴重な講演を「勉強会の1コマとして終わらせるだけではもったいない!」と感じ、事務局(松沢)が講演内容から考えたことをお伝えします。―――――――――――――――――――――――――――――


1. 日本企業の現在

顧客から、「モチベーション強化」や「離職防止」を目的とした研修の相談をよく受ける。
社員が辞めてしまう理由を聞くと、会社の方向性や現在の仕事と、自身のキャリアビジョンややりたいことが合わない、上司と合わない等が多く、仕事を通じて身に着けたスキルを武器に巣立っていくケースは少ない。

伊藤先生の講演を伺い、これは、「人材戦略の欠如・軽視」が招いたことではないだろうかとの思いに至った。つまり、「これまで会社のビジョンやパーパスと経営戦略・人材戦略を連動してこなかったのではないか」、また、「どうすれば会社のビジョンやパーパスと個人のやりたいことが重なるかを、社員一人ひとりが見てこなかった結果ではないか」ということだ。

ただ、一部の企業ではこの流れが変わり始めているように思う。当コンサルティング部では、1 on 1ミーティングやコーチングなど社員一人ひとりに向き合うための仕組みやスキルの導入に関する相談が、数年前と比べてかなり増えている。
一方で、社長や人事部が1 on 1ミーティングの導入を決定しても、現場で指導する上司や面接者が、実施する意義を理解していなかったり、会社のビジョンやパーパスと個人のキャリアビジョンややりたいことを重ねるという目的を持って実施できなかったりといったケースが多いように思う。

2.どうすれば日本企業は変われるか


では、どうすればいいのか。伊藤先生の講演にヒントがあった。「経営と現場の一体感」だ。経営が掲げたビジョンを現場が体現する。当然経営はそのビジョンを基に行動するわけだが、経営は、現場がどう考えているか、常に聞く耳を持ち、ビジョンを浸透させるプロセスを考える必要がある。
たとえば、経営から新たに「1 on 1ミーティングをビジョンを踏まえて取り組む」という方針が出されたとする。現場では、「なぜ急に今までにない方針を経営は言い出すのか」等、腹落ちしないまま取り組む社員も少なからずいるだろう。しかし、普段から対話を重ね、現場からの意見に耳を傾けていれば、経営の意図が伝わらず、現場での行動が伴わないという問題が解消できる可能性がぐっと上がる。
Googleでは、企業文化である心理的安全性について、現場レベルで議論が行われるそうだ。
このようにビジョンや企業文化を①経営が設定し、②経営と現場で往復しながら浸透させ、③現場レベルでも企業文化を話し合って深める、という取り組みが今後は重要になってくるのではないだろうか。

3.最後にー多様性やDXへのヒント


「多様性」は最近のトレンドワードだが、多様性がある組織のメリットを答えられるだろうか。
私は、「多様性がある組織だと様々な見方から意見が出るのでイノベーティブが生まれやすい 」など教科書の文言のように答えることはできるが、実際にそのような場面を経験したことはない。
コーポレートガバナンス・コードでKPIの設定が明記されたことにより、いくつかの上場企業では、多様性、女性活躍の数値は上がっている。
しかし、コーポレートガバナンス・コードに明記されたから、あるいは、投資家の目線が最近のトレンドに敏感だから推進する、ということでは、現場はなぜ多様性や女性活躍を推進するのか納得できない。
現場で多様性のある環境を整えるためには、社員全員が「多様性があると働きやすい」「多様性は必要だ」と心から思えることが重要なのだ。

伊藤先生の講演から、経営戦略と人材戦略、そして企業文化が同期化することで強い日本企業が生まれることを学んだ。
コンサルティング部として、そのようなサポートをしていきたいと強く思う。

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