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家次 恒氏 講演を聞いて考えたこと(シスメックス株式会社 代表取締役会長兼社長)

こんにちは。日本生産性本部事務局の松沢です。
本日は、トップエグゼクティブ朝食会 家次 恒氏の講演について考えたことを書いていきます。―――――――――――――――――――――――――――――
本ポストは、なかなか招聘できないゲストによる、大変貴重な講演を「勉強会の1コマとして終わらせるだけではもったいない!」と感じ、事務局(松沢)が講演内容から考えたことをお伝えします。―――――――――――――――――――――――――――――

1.真の顧客満足とは


多くの会社や個人が、「顧客満足」や「顧客主義」などをスローガンに掲げて日々行動していると思う。今回の講演で「顧客満足」について改めて考えさせられた。

思い出したのは、新卒の頃に、顧客から値引きを求められた経験だ。上司に相談したが、値引きの了承を得ることができず、「『顧客満足』が我々の掲げる方針ではないんですか!」と反論した。詳細は覚えていないが、上司の説明に納得し、どのように顧客に交渉すれば良いか悩んだ記憶がある。

あの時、もし値引きを了承すれば、一時的な顧客満足を得ることはできたと思う。良い悪いは別として、世の中で使われている「顧客満足」には、このような例もあるのではないだろうか。


シスメックス社では、時代や環境の変化を予測し、顧客が求める商品・サービスを提供できるよう柔軟に人員体制や組織を変えてきた。これにより、競合よりも先に顧客の求めるものの提供が可能となり、継続的な顧客満足を獲得してきた。

私の経験のように顧客の求めに応じて値引きする場合も、シスメックス社の場合も、どちらも同じ「顧客満足」だが、明らかに違うことは感覚的にもわかる。シスメックス社の方が、継続的な顧客満足と利益が得られる「真の顧客満足」と言えそうである。

では、シスメックス社のような「真の顧客満足」を得るために必要な要素は何か。

キーワードは「ベクトル」と「顧客情報の管理体制」ではないだろうか。

2.ベクトル

「ベクトル」が顧客と同じ方向に向いているか、違う方向に向いているか。これが一つの大きな違いだと考える。

真の顧客満足を得るためには当然、顧客と同じ方向にベクトルが向いていなければならない。しかし、実際には、顧客と同じ方向を向いていないのに、「顧客満足」という言葉を使っているケースは多いと思う。

シスメックス社は環境変化を予測し、顧客が必要になるであろうサービスを予測し会社を変える。つまり、顧客の未来にベクトルが向いている。

一方、私の値引き交渉の例では、ベクトルは値引きがYesかNoかの問題にのみ向いている。顧客のベクトルに合わせるなら、値引きが顧客にとってなぜ必要か、値引きが顧客の未来にどのようにつながるのか、他に顧客が満足する最良の選択肢があるのではないか等についてヒアリングした上で、顧客に値引き以外の選択肢も含めた提案をすべきだったと思う。

真の顧客満足を得るためには事象そのものだけではなく、顧客の未来にまでベクトルを向けて、それに合う選択肢を考える必要性を感じた。

3.顧客情報の管理体制 

もう一つの違いは「顧客情報の管理体制」だと考える。

シスメックス社のように、顧客を取り巻く環境変化を予測し、サービスや体制を整えるためには、

・環境変化を予測する力
・豊富な顧客情報
・情報を取捨選択する仕組み

の3つ、つまり「顧客情報の管理体制」が必要となるのではないだろうか。

残念ながら、シスメックス社の顧客情報管理の詳細については講演ではお話いただけなかったが、同社にこの3点が備わっている様子を講演から伺うことができた。

シスメックス社では顧客の要望により専用のショールーム等も設けているという。

顧客の要望を最初にヒアリングするのは、経営層を始めとした管理部門ではなく、現場の営業や技術者のはずである。

そして顧客の様々な要望の中には、自身で解決できるものもあれば、上長による判断が必要なもの、また、社内の仕組みを変えなければ対応できないものなど様々な要望がある。

経営層や管理部門が、顧客の要望を満たすためにサービスや体制を整える必要があると判断するには、現場が得た顧客情報を取捨選択し、必要な情報が経営層や管理部門に届く仕組みが機能していると推測する。

このような顧客情報を取捨選択し、実際の行動に移す仕組みは見習うべき点であると思う。

顧客情報管理は時間やコストがかかるかもしれないが、ベクトルを顧客と同じ方向に向けることは今の私にもできる。少しずつでも、真の顧客満足を目指していきたい。

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