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岩嵜 博論氏講演「成長戦略としてのパーパス経営~『意義化』する経済とその先」から考えたこと

こんにちは。日本生産性本部事務局の松沢です。
本日は、トップエグゼクティブ朝食会4月例会 岩嵜博論氏の講演について考えたことを書いていきます。―――――――――――――――――――――――――――――
本ポストは、なかなか招聘できないゲストによる、大変貴重な講演を「勉強会の1コマとして終わらせるだけではもったいない!」と感じ、事務局(松沢)が講演内容から考えたことをお伝えします。―――――――――――――――――――――――――――――

1.パーパスとは

最近よく耳にするようになった「パーパス」、皆さんはどの程度ご存じだろうか。

“SDGs”は既にトレンドワードから常用ワードになったと思うが、パーパスもいずれ常用ワードになるだろうと感じている。

岩嵜氏の講演を聞き、また、書籍「パーパス 『意義化』する経済とその先」(岩嵜博論・佐々木康裕著,ニューズピックス,2021年)を読んだ上で、私の言葉でパーパスの説明をすると以下だ。

パーパス:社会にどのようなインパクトを与えられるかを自社のみでなく様々なステークホルダーを巻き込み、推進すること
これを経営に組み込むことで「パーパス経営」となる。

よくパーパスと混同されるミッション・ビジョンは
未来に向けて「こうありたい」という目指す姿や方向性のことを指す。

違いは一人称か三人称かだ。
ミッション・ビジョン: 自社がどうあるべきか
パーパス: 社会はどうあるべきか

「社会にどのようなインパクトを与えるか」という目的のために、共感する他社・消費者・競合も巻き込みながら推進すること。それがパーパスである。


2.日本にこそパーパス経営が求められている

この考え方はまさに日本企業で必要な考え方ではないか、と強く思う。
理由は以下だ。

人口減少が続き、イノベーションが起きない日本において、現在の資本主義・競争環境社会では今後も大きな経済成長は見込みづらい。

しかし、パーパス経営は今までの企業の在り方を変革する。

パーパスは、互いに競争していた企業が協力できる部分は協力し、共に社会課題の解決を目指す点で、今までにない考え方である。さらに、具体的にパーパスとして掲げられる社会課題の解決は世界中の人類に共通する課題であることが多い。

すなわち、世界の課題解決に日本が貢献することで、「日本の存在価値」を再び甦らせることができる可能性を秘めている。

例えば、外食企業がパーパスを「飢餓のない社会をつくる」としたらどうなるだろうか。

フードロスをなくす ための企業努力はもちろん、開発途上国の食料支援等に様々な企業と取り組むのではないだろうか。
また、1社では投資に見合わないかもしれないが、外食企業全てが協力し、取り組むことがパーパスを設定する意義である。
形だけのSDGsの取り組みアピールではないので、投資家や消費者からも選ばれる、そんな好循環もあり得るのではないだろうか。

日本は、SDGs等の環境面においても欧州やアメリカと比べて大幅に対応が遅れており、企業価値の算出に於いても環境対応の面でマイナス評価をされていると聞く。

ただ、「パーパス経営」はまだ間に合うはずである。
パーパスの設定やパーパスに協力する取り組みが進めばよいと思う。

3.私たちの消費が企業のパーパス実現を支え、社会を変える

岩嵜氏の講演では、海外のAllbirdsという靴メーカーが全ての商品に生産工程で排出したカーボン量を表示し、販売しているという事例が示された。品質も良く、業績を伸ばしているという。

これは、カーボン排出量の抑制が大きな購買要因になっており、消費者にとって付加価値として捉えられているということになる。

ここで考えるのは日本でも同じことが起こるか?ということだ。

日本における消費者の社会課題や環境に対する意識は欧州やアメリカに比べてまだまだ低い。
環境に配慮していない安い靴と環境に配慮した高い靴を並べると、大半の日本人は前者の方を選ぶのではないか。

企業任せではなく、私たち消費者一人ひとりの意識も変えていかなければ社会は変わらない。
消費者が環境に配慮した商品を選ばなければ企業もビジネスができない。
真面目、勤勉と言われていた日本人であれば社会課題に目を向け、真剣に取り組むこともできるのではないか、と思う。

そう考えると、レジ袋一つ受け取らないという小さなアクションも一人ひとりの行動が積み重なれば社会に大きなインパクトを与える。

皆さんも身の回りにできることから、社会課題や環境を考えた消費をし、社会を変えてみてはいかがだろうか。

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