成長の決め手はアウトプット! これから求められるSEとは?
私は新卒からSIerの会社で勤め、独立後もSIをメインビジネスとしています。近年、kintoneのようにWebブラウザを使ってその場で開発できるビジネス系のSaaSサービスが台頭してきたことで、SI企業で働くシステムエンジニア(以下、SE)のあり方が変化しています。
スクラッチでイチから開発する方法しかなかった時代は、開発手法はほぼウォーターフォールで、要件定義や設計やSE、開発はプログラマなどと、フェーズごとに担当者が分かれていました。
いまでも、このような役割分担が主流ではないかと思います。しかし、様々なクラウドサービスを活用してスピーディーにシステムを開発できるようになり、設計はSE、開発はプログラマーといった分け方をするのはものすごく非効率で、あまり意味があるとは思えません。
これからは、要件定義から設計、開発までをこなし、全体を包括した働き方ができるSEが求められます。
前回のnote『SIerは、課題解決を担うITのプロ集団。単なるシステム開発屋ではない!』では、「SIerの本質」について書かせていただきました。
今回は、SIer(SI企業)で働くSEに求められるスキルに焦点を当て、お伝えしていきます。
”謎のヒエラルキー”が無意味な時代が加速
「要件定義や設計ができて、さらに開発までできるようなスーパーエンジニアなんて、いつの時代だって求められるし、そもそもそんな人材いるわけがない」
こんな声が聞こえて来そうです(笑)。
ところが、kintoneやSalesforceといったビジネス系のSaaSサービスが登場し、コードを書かなくても開発ができるようになり、スーパーエンジニアではなくても、ゼネラル的に要件定義から開発までできるエンジニアとして成長できる時代になりました。
とはいえ、コーディングを行うプログラマーがいらないというわけではありません。いくらノーコードツールが充実しても、すべてをノーコードツールだけで作り上げられるわけではないからです。
要件によって、コーディングをしてカスタマイズしていく必要性、重要性がある案件は多々ありますので、そこはプログラマーの出番となります。
旧来からSI業界には、謎のキャリアパスがあります。
「まずはプログラマを5~6年経験してSEになり、SEを数年経験してからマネージャーになる」というようなものです。
ここにはプログラマー < SE < マネージャーといった価値観でヒエラルキー的に語られていて、まったくもって本質的ではありません。
それぞれは、「役割」であって、キャリアパスではありません。
プログラミングを何十年極めてもいいし、最初からゼネラリスト的なSEを目指して成長していくのもいい。成長していく中でマネジメントに適正があればマネジメントすればいい。
それだけの話で、上下はありません。
もちろん、すべての役割にベースとなる知識や経験は必要です。
ピッチャーでもキャッチャーでも外野手でも、しっかりとキャッチボールができないとだめなのと同じです。そして、「キャッチャーを経験してからでないとピッチャーができない」という理屈は成り立ちません。基本スキルと役割は、分けて考える必要があります。
アウトプットが成長を助ける
もちろん、ゼネラル的なSEが楽な道というわけではありません。
例えば、我々のようにkintoneを専業にビジネスを行っていたとしても、他社のSaaSサービスがどのようなものかを知り、研究しなければいけません。
コーディングができないとしても、フローチャートやDB構造についての知識は必要です。
「(あらゆる情報はインターネット上にあるのに)知らなかった」という言い訳は、通用しません。自分の仕事に直接かかわりのあることだけでなく、能動的な情報収集をしていくくせをつけるのは、とても重要です。
そして、情報収集スキルを高めるには、最初はとにかく量を増やしていくのが大事です。
結果的に役に立たなくても、まずはとにかく目についたものからインプットしていくことをおすすめします。
インプット量を増やしていけば、自然と自分の中でノイズ情報をカットできるようになり、気づいたら情報収集スキルが上がっていると感じられると思います。
さらに大事なのが、インプットした情報をアウトプットとするということです。
ジョイゾーでは、新卒の新入社員には日報で「気になるニュース」と「感じること」を書いてもらっています。情報を集めて、自分の中でかみ砕いて理解し、アウトプットするという工程が大切だと考えているからです。
アウトプットするには、アウトプットしたい情報を自分自身がしっかりと理解しなくてはなりません。理解するためには自分でいろいろと情報を集めて調べなければならず、それがまた自身の情報収集スキル向上に役立っていきます。
例えば、kintoneのエンジニアとしてプロフェッショナルになりたいという若い方がいたら、「毎日kintoneに関する記事を書いて、それを100日続けなさい」とアドバイスします。
毎日記事を書くのは、苦しいしつらい。いやになるかもしれませんが、100日後には、kintoneについては誰にも負けないくらい詳しくなっているはずです。
そして、おそらく、100日毎日と言われるとネタが持たなくなります。そうするとkintoneに関連した連携サービスや、他のクラウドサービスとの比較記事などを書くようになり、kintone以外のクラウド関連の知識も身につけられます。
そうして続けた100日分の知識量が自分の基礎になり、将来のスキルの土台になります。
エンジニアとしての技術は、自分で身につけるしかありません。それには経験と量が必要なので、努力が差として現れます。「これだけやっていればいい」「これをやれば早く成長できる」という楽な道はありません。
本を読み続け、インターネットで情報を集め、ブログなどでアウトプットを続ける。愚直に継続するのが、結果的に一番の近道です。
ジョイゾーで実践する「アウトプットと成長」サポート
ジョイゾーでは、新卒の3ヶ月間研修のゴールとして、お客様向けウェビナーを実施してもらいました。新入社員3人で企画、集客、当日の運営、プレゼンテーションなどすべてを担当します。
これが、アウトプットの大きな経験となります。
社内で何度かプレゼン内容のレビューをしますが、最初の出来は正直、世に出せる内容にはなっていません。
「自分たちが知っていることを伝えるのではなく、聞き手が求めている内容にしないとただの自己満足のセミナーで終わってしまうよ」と伝えると、必死になって情報収集し、2回目からはかなりクオリティが上がっていきました。
メルマガやSNSを使って自ら集客し、結果、ウェビナーには30名以上の参加がありました。開催後のアンケートには様々な感想をいただき、それらのフィードバックも、新卒メンバーとって大きな成長につながるはずです。
実際のプロジェクトでも、「お客様の求めているもの」を探るのは簡単ではありません。「お客様に寄り添いながら、ITのプロとして最適解を考え、作り上げていく」というジョイゾーのスタンスは、今回のウェビナー準備を通して、学んでいってもらえたんじゃないかなと思います。
組織や先輩の役割は、あくまでも考え方を伝えること。
やり方を考えるのは、本人です。
そうして考えていけば、先輩よりももっと優れたやり方を見つけることもある。そんな風にして、考えるエンジニアとして育ってほしいと考えています。
(▲)コロナ前に社内メンバーと沖縄でワーケーション。海岸沿いでオンライン会議中。
四宮靖隆(しのみや・やすたか)
(株)ジョイゾー代表取締役社長。サイボウズのkintoneビジネスにコミットし、Mr.kintoneとの呼び名も。SIを再定義し、仕事も人生も「楽しい」世界を実践中。
(▼)kintone導入検討中の方へ「結局何ができるの?」
ジョイゾーは、エンジニアリングで新しい波を広げます
ジョイゾーは、サイボウズ社の「kintone」(キントーン)を専門にコンサルティングやシステム開発を行うSIerです。すべての人生を楽しくするために、SIerとしてエンジニアリングの可能性を追求しています。
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