SIerは、課題解決を担うITのプロ集団。単なるシステム開発屋ではない!
私たちジョイゾーは、SIerです。SIerとは、システムインテグレーターを表す造語。システムを統合する、作り上げていく、という仕事を担うプレイヤーを指します。
SIerは「システム開発会社」とも言われ、「こういうシステムが作りたい」というお客様からの要望を受け、その通りに設計、開発、納品、保守をするのが役割だと思われがちです。
「ただ単にシステムを作る会社」と捉えられかねませんが、言われたままにシステムを作るのは、SIerの本質ではありません。
多重下請け構造によりお客様の顔が見えない
SIerが取り巻く現状には、課題がいくつもあります。
まず、SI業界でよく言われるのが「多重下請け構造の問題」。ほとんどの中小規模のSIerは、お客様さんとの直接契約ではなく、間に会社を挟んだ2次請け、3次請けで仕事をしています。
そうすると、エンドユーザーであるお客さんの課題を把握することはできません。元請けや元請けから仕事を受けている会社から降りてくる設計を、言われるままに作って納めるだけになります。
SIerとしては、「どうしてこういう設計なのか?」「この機能は要望に対して本当に必要な機能なのか?」といった、お客様と直接やりとりすることでわかる顧客要望の背景を知ることができません。だから、仕方がない面はあるのですが、SIerの本来の役割は、お客様が抱えている業務課題、経営課題の解決策として、システムを提案し、構築することです。
にもかかわらず、ずっと下請けの仕事をしていると、お客様の企業文化や、システムを使う人たちの特性などがわからないのが当たり前になります。
結果、お客様の課題を解決するというマインドには、ならなくなっていってしまいます。
発注者と受注者の上下関係意識により「同じ目標」に向かえない
2つ目の課題としては、発注者と受注者の間にある「上下関係意識」というものがあります。発注する企業が上で、受注するSIer側が下だという認識を双方が持ってしまうことが多いように思います。
私は、新卒からSI業界に身をおいています。
過去に在籍していた会社などでたびたび起こっていたのは、こういうシーンです。
「要望通りのシステムが出来上がっていない。この機能がなければ、システムの意味がない!」と発注者側からクレームがくる。SIer側は、そのシステムが本当に必要なのかを判断せず、しかも当初の要望にはなかった明らかな追加機能であったとしても発注者側の圧力に負けて徹夜で追加開発をする……。
SI業界の「あるある」だと思います。
本来であれば、業務のプロである発注側とITのプロであるSIerが1つのチームとなって、発注側が抱える業務課題の解決に向かうべきです。そこに上下関係などは存在しません。
最近、野村ホールディングス(以下、野村HD)と野村證券が、SIerである日本IBMに損害賠償を求めた裁判の控訴審判決が、IT業界で話題になりました(以下、参考記事)
昨年の一審では日本IBMが敗訴しましたが、今年の二審では逆転勝訴しています。野村HDと野村證券が仕様変更を繰り返したり、日本IBMの工数削減提案に十分に応じなかったというのが判決理由となりました。
これまで、こういった裁判ではSIerが負けるパターンがほとんどでした。ところが最近は、発注者側の責任も問われるようになってきました。少しずつですが、着実に流れは変わってきているように思えます。
工数で値段をつけると「本当の価値」が蔑ろになる
さらに、私がかねてより問題視しているのが、「人月」による見積もりの算出方法です。「人月」とは、業務の稼働時間(完了までに必要な作業量)を測る単位です。「1人のエンジニアが、1日8時間、1カ月働くと○○円ですよ」といった方法で算出します。
あるシステムを開発するときに、「月100万円のエンジニア1人が3カ月、もしくは3人で1カ月あればでき上がるので、300万円です」という見積もりになります。
一見すると、わかりやすい計算方法に見えます。しかし、ここに大きな問題点があります。
例えば、あるシステムが「月200万円の優秀なエンジニアが1人で1カ月」もしくは「月60万円の経験の浅いエンジニアが3人で3カ月」でできるとしたら、見積額は前者が200万円、後者は60万円 x 3人 x 3カ月で540万円となります。
優秀なエンジニアが作るシステムと、経験の浅いエンジニアが作るシステムとでは、出来上がる品質にも差が生まれるのは当然です。
にもかかわらず、エンジニアの能力差を鑑みることなく、人月で計算をすると、「質が高くて開発スピードが速いほうが安く」「質が低く納期が遅いほうが高く」なってしまいます。
そして、人月はエンジニアの稼働時間に対しての計算になるので、SIerからすると、機能が増えて開発工数が増えるほどお金が儲かります。
もちろん、すべてのSIerがこのような考えで仕事をしているわけではありません。人月のロジックとしては、こういう考え方もできるのです。
私たちジョイゾーは、人月ではなく、提案内容や使われるシステムの価値に対してお金をいただくようにしています。
弊社が提供している「システム39」は39万円で1回2時間の対面開発を3回行いますが、初回の2時間を無償で実施しています。
初回2時間の中で実際に動くシステムを目の前で開発することで、お客様は、私たちが提供する価値に対して判断をしていただけます。
「そのシステムが本当に自社の課題解決に役立つのか?」「残り2回の対面開発をお願いすることに、39万円に値する価値があるのか?」と。
小売店で買うような物理的なものは、見て触って価値を判断できます。一方で、システム開発は目に見えません。システム39の対面開発は、その場でシステムを見て触って、価値を判断していただけるというわけです。
大型案件でも譲れないポリシーは大事に
「価値にお金をいただく」という考えは創業以来、大事にしているポリシーです。
創業間もないころ、こんなことがありました。
お客様は誰でも知っているような企業で、見積額も1案件で当時の月の売上の3カ月分に相当する大きな金額でした。
もちろん見積を出す際は人月での算出はしていませんでしたが、契約窓口となる企業から「人月で出してもらわないと社内稟議が通らない」と言われたのです。
「見積書の内容を、人月計算に置き換えて出してもらえれば」とも言われました。
業界の慣例だからと仮に計算方法の置き換えだとしても、人月で見積額を出した時点で、価値に対してお金をいただくというポリシーに反します。私は、人月での提示はお断りをしました。
その結果、案件は失注しました(経営的なことを考えたらチョット悩んだことは正直に告白します。笑)。
数百万円クラスの案件を、見積もりの提示方法の違いだけで失いはしました。
ただ、今となっては、お断りして、本当に良かったと思っています。今、ジョイゾーのポリシーに共感して入ってきてくれた優秀な仲間が多くいます。あの時、人月で見積を提示していたら、仲間に言い訳ができません。笑
繰り返しますが、ただ単にシステム開発をしたり、プログラミングをしたりするのがSIerではありません。
お客様の課題を、ITのプロとしてお客様と一緒に解決していき、価値あるシステムを提供していくこと。それこそが、本来のSIerの姿だと思います。
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ジョイゾーは、エンジニアリングで新しい波を広げます
ジョイゾーは、サイボウズ社の「kintone」(キントーン)を専門にコンサルティングやシステム開発を行うSIerです。すべての人生を楽しくするために、SIerとしてエンジニアリングの可能性を追求しています。
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