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マラソン練習の組み立て方

これまでの投稿があまり陸上選手っぽくなかったので、今日は実際に行った練習を具体例にして、練習の組み立て方についてお話しをしてみようと思います。

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3000m×4本(rest: 2min)設定[3’12”/km]

コンディション
2022.12.17sat
10:00start
天候:晴れ、気温:7℃

結果
①3’11”5 - 3’12”4 - 3’11”8 = 9’35”8
②3’09”5 - 3’13”9 - 3’12”6 = 9’35”9
③3’13”8 - 3’09”7 - 3’11”5 = 9’34”9
④3’10”5 - 3’12”1 - 3’10”6 = 9’33”2

背景
大阪マラソン目標2時間17分(3’15/km)まで10週間。
4週間前の上尾ハーフでは67’37(3’12”3/km)。
その後シンスプリントを痛めて10日ほど休み、練習再開して2週間ちょっと。
1週間前のペーランでは8000m3’15/kmをなんとかこなす程度。

マラソン練習の組み方

このときの3000m×4はマラソン練習としてのメニューです。
10000mなどトラックを意識したときの3000mインターバルと比べるとペースはそこまで速くなく、リカバリーは短めです。同じ3000mインターバルでも全くの別物です。
(学生時代に行った3000m×3は設定が8'45でレストが5分くらいだった記憶があります。)

私がマラソン練習を組む時には2つの軸からアプローチをします。
①レースペースより遅いペースで距離を走る練習。30km〜40km走や140分間走(マラソンの走る時間)などがそれにあたります。
②マラソンペースでの練習。
8000m〜12000mのペーランやロングインターバルで、今回の練習はまさしくこれです。

目的としては、①は一度に使用できるエネルギーの総量を増やすイメージで、②は狙ったペースで走った時に使うエネルギーの燃費を良くするイメージです。結果、自分の体力ゲージマラソンに費やすエネルギーになれば目標をクリアできます。

練習初期段階では、①はペースを落とす、もしくは定めずに時間走とします。②は短めのペーランや1000m〜2000m程度のインターバルを頻度高く行います。頻度を上げて行うことでレースペースの走行時間を伸ばすイメージです。
レースが近づくにつれて①と②の差を小さくしていきます。①はマラソンペース+10秒程度の30km走を行ったり、変化走にして部分的にマラソンペースに近づけます。
②は16000m〜20000mのペーランや5kmのインターバルなどを行います。20000mPRは①と②の合流地点だと考えています。

3000m×4

さて今回のメニューは設定を3'12/kmとしていました。これはマラソンの目標ペース3'15/kmよりも3秒速いです。なぜこの設定かというと、3'15/kmでマラソンを走るなら"当然使い得るペース"だからです。
どういうことかというと、マラソンを2時間17分で走ろうと思ったら理論上は3'14"81/kmで走れれば良いですが、"大会"となればペース変動もあるということです。例えば上り坂や強風でペースが落ちたらどこかで取り返さなければならないし、集団に追いつくために瞬間的にオーバーペースにならざるを得ないこともあるでしょう。そして5km16分というのが往々にして発生し得るペースなので、3'12/kmなのです。
そしてこのペースは継続する必要はなく、あとで3'15/kmに戻れば回復できることが重要です。逆に言うと3'12/kmで走れてもそこで心拍数が上がり切ってしまって、ペースダウンしても回復できないようでは意味がありません。そういう観点からインターバルとし、リカバリーは短く心拍を落としきらない(ペースダウンして少し落ち着いた状態を想定)で行いました。
これは見方を変えると、"12000mを継続してはこなせないペース設定"を小分けにすることで実現するとも言えます。なので、トラック練習のインターバルとは根本的な目的が異なります。

また距離に関しては理想は5000m×4でした。なぜならマラソン中の5km16分を想定しているからです。もっと言うと私がマラソンを5kmごとに分けて判断しているからということになります。これは人によって3kmごとでも8kmごとでも構いません。ただ個人的には5kmを超えてオーバーペースになると回復できないダメージを受けてしまうのでこの距離に区切っています。(また多くのマラソン大会で5kmごとのラップタイムが計測されるからという側面もあります。)
しかし今回は3000mとしたのは、練習状況がまだ5000m16分×4に耐え得る段階でなかったからです。方法論としては"ペースを落とす"、"5000m×3にする"、"レストを長く取る"、なども考えられます。しかし"ペースを落とす"は練習意図からしてあり得ないですし、"5000m×3"にしたり"レストを伸ばす"という方法は心拍数を上げきってしっかり落とすという形になり、マラソン中に使用する3'12/kmとは意味合いが異なってしまいます。
なので3000m×4 (rest: 2min)設定[3’12”/km]というメニューにしました。

またマラソン前には5000m×4を同じペースで行えるようにしておきたいと考えています。その下準備として3000m×4を行っておくことで、本命の練習の成功率を上げるという意味もあります。

総評

結果としてはきっちり設定をクリアして行い、かつ余裕度も十分感じられました。心拍数もレストで十分に回復する範囲内に抑えられていました。レスト終了時点の心拍数が100〜110程度と少し回復させすぎた感はありますが、疾走区間に入ってなお回復が進む段階であったことを考えると許容範囲内でしょう。


終わってみれば4000m×4でもできたかもしれませんが、それは結果論であり、練習の成功率という観点からみれば妥当な判断だったかと思います。

全く同じ練習をする必要はありませんが、ご自身の目標にむけてマラソン練習を考える際の一つの指針になればと思います。

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