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練習のための練習

「練習のための練習になるな」
強豪校の監督さんなどがこの言葉を使うのをよく見かけます。けれど本当にそうなのでしょうか…?

この言葉は「本番で結果を出すために練習するのだから、いくら練習ばかりできるようになってもレースで走れなければ意味がない」とか、「目の前の練習ばかりを見てjogを疎かにしてると、次の大会でも同じ結果になる」とか、そんな文脈で使われる言葉かと思います。このこと自体は全くその通りだと思います。
練習では凄いメニューをこなしているのに、試合になると結果が出ないようなタイプの人は「練習番長」などと揶揄されます。かく言う私もよく「練習番長」だと言われてきた人間です。

ただ視点を変えてみると「練習のための練習」も使い方によっては重要だなと思います。
私は1つのレースに対して練習計画を立てる際
①こなしておきたい練習を並べる
②その練習完遂のために必要な練習を用意する
③それを補佐する練習と土台のjogを挟み込む
という形でメニューを組んでいます。
そしてレースで結果を出すには①の消化率をいかに上げるかが重要であり、そのためには③→②→①と順番に実施していく必要があります。
具体例を上げると、5000mを15'00"で走りたいので1000m×5を3'00"/kmで実施したが、どうしても後半失速してしまう。けれど600mまではペースをキープできた。このような場合、600m×8 → 800m×6 → 1000m×5と少しずつ3'00"/kmの持続時間を伸ばしていくことで目的の1000m×5の成功率を上げることが出来ます。
ここで1000m×5を完遂するために行った600m×8は、まさしく「練習のための練習」と言えるでしょう。しかしこれを「試合のための練習をしなければ意味がない」と言って頑なに1000m×5を行った場合、3回同じ練習をしても完遂できないということが往々にして起こり得るのです。

ではどのような練習がいけないのか…。
それは、繋がりの見えていない練習だと思います。
上記の600m×8はたしかに練習のための練習ではありますが、1000m×5という練習を経て5000mのレースに繋がっています。さらに言えば600m×8をやり切るための脚作りとしてのペース走や、そもそも3'00"/kmを維持するための体幹トレーニングなども最終的には試合のための練習であるとも言えるのです。
逆に、繋がりのない練習は多少質が高かろうが先に進むことができません。
極端な話、レースを意識して毎週5000mT.T. 3'00"/kmを行ったところで、毎回同じ距離でペースダウンしてしまい、いつまでたっても5000mのタイムが伸びないことでしょう。

これは弱小チームで競技をしてきた選手や市民ランナーとして優秀な結果を残してきたランナーにとっては当たり前のことだと思いますが、強豪チームでやってきた一流選手には意外と気づいてない人が多いように思います。なぜなら絶対的な指導者から与えられたメニューをひたむきにやり続けて成果を出してきた人々だからです。だから今日の練習がなぜこのタイム次の練習との関係はどうなのかなんて考える必要もないのです。
なので個人的には「この監督だから信頼してついていく」みたいなのはアホだなと思いつつ応援してます。笑

つまるところ、「練習のための練習」と言いつつも「試合に繋がる練習」が必要という至極当然の事をつらつらと書きましたが、意外と「練習の成功率を上げるための練習」という観点が結構重要というお話でした。

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