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バイト

中学を卒業してすぐ、バイトを始めた。

少しでもお金を貯めて、早く家を出たかったからだ。

携帯や定期代も自分のバイト代から出した。

そして母に言われる。

「家に金を入れろ。」

少ないバイト代の中から毎月1万を母に渡した。

ろくに貯金は出来なかった。



だが、小さい頃から散々、働くことは大変で辛くてしんどい事なんだ、と男と母に言われていた。

まだ働けない私達に向かって、働いていない、お金を稼いでないお前らはクズだ、とも。


でも違った。


バイト先の皆さんはすごく優しく、可愛がってくれ、働いていて楽しかった。

何も辛くなかった。

ひとつもしんどくなかった。


(外の世界はこんなにキラキラしていたんだ)





朝は早く起き、バスと地下鉄を乗り継ぎ学校に行き、夕方からはバイトをする生活。

家にあまり居なくなってはいたが、私が帰って来るのを見計らい、ここぞとばかりに男は罰ゲームを始める。



だが、外の世界を知った私は、以前ほどの恐怖は感じ無くなっていた。

代わりに憎悪が湧いてきた。

(こいつらのやっている事は全て間違っている!
一刻も早くこんな奴らから離れてやる!)





そんなある日、バイト先の2つ上の女先輩から

「ポロロンのこと紹介してほしいって人がいるんだけどメアド教えていい?」

と言われた。


特に深く考えず

「あっ、はい。どうぞ!」

と答えた。


しばらくしてメールが届く。

「(女先輩)に紹介してもらった〇〇だけど…」




ここから私の人生は大きく変わる。



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