児童養護施設看護師の雑記:必要物品 次亜塩素酸ナトリウム編

お詫び

えー、はい。
お久しぶりです。
前回の記事から気付いたら1月以上経過してしまいました。
貴方は誰? という方は是非下記の記事をご覧になってください。
概要は題名の通りに児童養護施設で働いている看護師の雑記でございます。


毎週更新したいなぁ、と思っていたのが何故こんなにも期間が空いてしまったのか。
言い訳をさせてもらえるのなら、はい。
忙しかったです……。
夏休みに関しては下記をご覧ください。(挿入記事ばかりになってしまい申し訳ありません……)

と、まぁはい。
私は夏の業務に追われておりました。
予防接種、眼科、歯科受診。送迎。夏祭りに花火大会。さらには通院回数が先月比の2倍ほどに達しました。
しまいには夏休み終わりに検診の書類を持ってくる子もいたりして、夏休み内に間に合いませんでした。
あとは、プライベートでも少々ありまして。
こっちは『お仕事』ならぬ『推し事』なのですが……。
そんなわけでお詫びという名の言い訳ゾーンでした。
下記より本文が始まります。

児童養護施設で必要な物

 さて、児童養護施設に就職して一番変わった事は何だっただろうか、と考えてみました。
 前職は施設ではありましたが病院機能も持っていました。
 医師は居ますし薬局もありますし、呼吸器等の医療機器も使用していました。
 そのため変化のあった事は多いのですが、一番はやはり物品でしょうか。
 児童養護施設で使用する医療物品は少ないです。
 一般家庭でもある市販薬や応急セットのようなものです。(それぞれの児童の疾患で薬等があったりはします)
 ただ始めは以前の施設の感覚が抜けず、「○○が欲しい」と思ったりはしました。(冷静に考えるとそこまで必要無いんですがね……。滅菌ガーゼとか、生理食塩水とか)
 ただ、それでもやはりあって良かったという物はあります。
 それは『次亜塩素酸ナトリウム』です。
 これは私の必需品になっています。

次亜塩素酸ナトリウムって何?

 『次亜塩素酸ナトリウム』を知っている人は多いと思います。
 知ってます、よね? 
 医療関係者は往々にして世間の常識との乖離が発生しますので心配しています。

 例:DM
 世間の人「ダイレクトメール?」
 医療関係者「……糖尿病?」
 
 例:清潔な物
 世間の人「洗ったばかりの物?」
 医療関係者「滅菌物(細菌やウイルスを全て除去した物)」
 
 大体は会話の流れ等で理解できるのですけどね。
 たまに相手も知っている物と思って医療用語を使ってしまったりするのです。
 すいません、話がそれました。
 そんなわけで念のため『次亜塩素酸ナトリウム』の説明をします。
 『次亜塩素酸ナトリウム』とは塩素系殺菌漂白剤です。
 『ハイター』や『ミルトン』という商品名の方が有名かもしれません。
 また学校のプールや水道水の消毒にも使用されているので、匂いは分かるという人は多いのではないでしょうか。
 そのように幅広く消毒液として使用されているのが『次亜塩素酸ナトリウム』なのです。

 具体的にはどのように使うのか?
 以下例文です。
 子ども「せんせーい」
 私「はーい。どうしましたかー?」
 子ども「吐いたー」
 私「……すぐ行くから動かないでねー!!」
 いや、子どもって結構吐くんですよね。
 食後に暴れまわって嘔吐。少し体調が悪くて嘔吐。本当に胃腸炎で嘔吐。
 これの恐ろしい所が即座には原因が分からない所なんですよね……。
 例えばノロウイルスの診断がついていれば逆に助かります。
 しかしもともと嘔吐しやすい子が発熱などがあるのならば。あるいは胃腸炎でも症状が軽ければ。
 もう全ての吐瀉物を感染源として扱う必要が出てくるのです。
 そんな時に輝くのが『次亜塩素酸ナトリウム』なのです。
 まず手袋やマスク、ビニールエプロンを装着しハイタースプレーを用意。
 吐瀉物の上に飛散防止の新聞紙で覆い、ハイタースプレーを振り撒きます。それはもう大量に振り撒きます。(液体タイプの時は濃度を調節します。原液の使用は不幸を呼びます。この話は後で)
 そしてゴミ袋の中に新聞紙で広げないように掬い取り、吐瀉物を回収。
 仕上げに廊下にハイターです。追いプッシュです。
 廃棄する布切れや使い古された雑巾などで拭き上げます。
 もしぬめりが気になる場合は使った布を水で洗って拭き上げます。
 最後に使った物品を全て一つのゴミ袋にまとめて破棄しましょう。
 そして手を石鹸で念入りに洗います。
 具体的な処理方法は厚生労働省のノロウイルス対策等をご覧ください。
 ともかく嘔吐の処理に使用するのです。
 
 もう一つ。
 施設で感染者が出た際には隔離が必要になってきます。
 この時には使用します。
 隔離と言うのは別に新型コロナウイルスだけではありません。
 ノロウイルスやインフルエンザなど等。子どもの間で流行する感染症と言うには多岐にわたります。
 ここで部屋の消毒を行う必要が出てくるのです。
 こちらはかなり単純です。
 隔離が終了した後などに、ハイターを水で薄めた液を用意してそれで部屋の中を拭き上げます。
 こちらも室内の消毒用ですね。

 またハイターは浸け置きにも、ミルトン等は哺乳瓶や医療物品(ネブライザーという吸入器)の消毒にも使用できます。
 本当に『次亜塩素酸ナトリウム』様様です。ちなみに私の自宅にもあります。
 皆様のご自宅にも一本どうですか?(別に会社の回し者ではございませんので。また小さな子供が居るご家庭は注意してください)

 さてそんなハイターにも問題点があります。
 先に言った「ハイターの原液は不幸を呼ぶ」という物です。
 先ほど私は『次亜塩素酸ナトリウム』を塩素系殺菌漂白剤と言いました。
 はい、塩素系殺菌『漂白』剤なのです。
 私は一度、職場の床にこぼれていたハイターに気付かずにしゃがみこみました。
 そのズボンは2度と着る事ができなくなりました。
 すごいですよ、ハイターの漂白作用。
 黒のズボンがそこだけきれいに色が抜け落ちました。
 黒色って漂白するとオレンジに近い色になるのですね、知りませんでした ……知りたくありませんでした。
 ちなみに何かが付着している訳では無いので色は元に戻りません。
 以下回想。
 私「あのー、申し訳ありません……」
 他職員「どうしたの?」
 私「ハイターでズボンの色が抜けてしまって……」
 他職員「……おぉ!? 凄い!!」
 そういえばこれは前職場での話でした。
 話がずれましたね。
 そういうわけで私はハイターを使う際には細心の注意を払っています。
 特に施設では私服で仕事をしているので、やってしまったらもう、考えたくもありません。

 またハイターとは刺激が強い消毒液です。
 プールや水道水では濃度の調整がなされています。大体消毒に使うのが1000ppm程で、プールなどは0.4~1.0ppm程だそうです。その濃度差は約1000倍です。(ちなみに水道水が0.1~1.0ppm程だそうです。水道水とプールってほとんど同じ濃度だったんですね……。プールの方が濃いのかと思ってました)
 ですのでハイターは基本的に素手で使用する物ではありません。
 どれだけ肌の強さに自信があっても素手で触れるなどもっての他です。
 また先にも告げましたが、子どものいるご家庭では取り扱いに注意しましょう。
 大変危険です。

 とはいっても『次亜塩素酸ナトリウム』は使い方さえ間違えなければとても優秀な消毒液です。
 ノロウイルス等はアルコールでも消毒できないのですが、次亜塩素酸ナトリウムは効果があります。(石鹸は効果がありますので皆様石鹸での手洗いの徹底をしましょう)
 吐瀉物の処理に良し、部屋の掃除にも良し、物品の消毒にも良し。
 本当に物品の少ない施設での対応には重宝しています。
 そんな訳で今回は私の必要物品の話でした。
 ここまで読んでくださり、どうも有難うございました。


追伸
夏休みの報告。
小さい子には無事泣かれました。
現在も何人かの子には逃げられ続けています……。


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