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「普通がいいという病」読書記録②ー“あなたのためを思って”の罪

今回は、主に本の中の第4講、「捻じ曲げられる人間ーコントロールとう病」を中心に感想と自分なりの解釈を書く。

頭が、心と体に対して強力なコントロールをかけることで、さまざまな病が生じる。

例として、強迫神経症、拒食症、不登校などが挙げられている。
中でも、不登校、引きこもりについての項目が興味深かった。

親自身の人生で果たせなかった願望が、「あなたのために〜しなさい」という形で子供に押し付けられます。親の欲望による、子供のコントロールです。しかし親は、自分ではそれが子供への愛情であると思い込んでいます。

「普通がいいという病」第4講 

子供はまだ判断能力に乏しいから、絶対的な存在である親に「あなたのためよ」と言われたら受け入れるしかない。
え?なんか違うくない??なんて思っても、「あなたのために言ってるのよ!!」と押し切られたら反論のしようがない。
「いや、あなたそれは願望の押し付けで、私をコントロールしたいだけでしょ?」なんて言える子供はいない。

子供は、窮屈さを感じたとしても、親の言うことを聞いていれば褒められるわけで、そうすると自分で自分をコントロールし始める。「いい子」の出来上がりだ。子供は「心」を「頭」でコントロールしていい子として振る舞う。

ところかわある時、子供の心は限界を迎える。頭への隷属をやめたいと反乱を起こす。
そして、「あなたのため」が実は「親のため」だったと気づいた時、引きこもり、不登校、家庭内暴力等の問題となるー。


前記事にも書いたが、この本において、頭と心は以下のように定義されている。(自分なりのまとめです。)この本を読むにあたり、著者の「頭」「心」の定義はぜひ理解したい。

「頭」は理性。
すべき、すべきでない、と言う思考をする。
情報処理を司る。時間軸は過去と未来。過去の出来事から未来をシミュレーションする。頭は、心を制御、コントロールする。だから、頭の判断には必ず理由がある。頭の働きが、動物と人間の違いである。

「心」は感情。したい、したくないという気持ち。時間軸は今。理由や意味などはくっつけずにいきなり判断だけを言ってくるもの。心は体とつながっている。だから心が元気ないと体にも不調が現れる。

頭の働きの有無が人間と動物の違いだという。なるほど。動物に癒されたくなるのは、動物が心のままに生きていて、そこに癒しを見出すからかもしれない。
なお、「癒し」についてもこの本で言及があるので、別記事にしたい。


「あなたのため」という呪いの言葉の罪がこの本には書かれている。

愛情から出た言葉かと思いきや、実態は子供をコントロールしたいという欲望から出た言葉なのだ。そしてそれに無自覚だというのがタチが悪い。

「あなたのため」に発せられるのはきっと大概、普通でいることを求める言葉である。
このようにして、「普通じゃなきゃいけない」と思い込む。

うっすら心の中で思っていたことが、この本において納得のいく説明がされていて嬉しい。
心の中のモヤモヤを文字にしてもらえるとそれだけで共感されたような、「君の思ったことは間違いではないよ」と言ってもらえたような気がするのだ。

この本は本当に色々なことを考えさせられる。
読んだらスッキリしておしまい!ではない。
まだまだ消化に時間がかかりそうである。

それにしても、「普通教」は恐ろしい。
「普通」に勉強し、進学し、結婚して、子供を産み、当然今時は「仕事するのが普通」だから出産後もバリバリ働く…。この道から外れることは許されない…。としたら、なんと息苦しいことか。
進学も、結婚も、親の喜ぶような職業に就くことも、産後もバリバリキャリアを積むことも、普通じゃない。それは、選択肢の一つに過ぎない。

普通を要求するのは「あなたが将来困らないように、幸せでいられるように」と言われたとしても、
本当はあなたのためではなく、「普通」の子を育てた自分を通して、親が自己実現したいだけなのではないか?

子の幸せを願うなら、無闇に親の普通を押し付けないことだ。無関心に「好きにしなさい」「勝手にすれば」と突き放すことは違うが、「あなたが心からこうしたいと思うことをすればいいのだ」と見守ることが、愛に裏付けされた行動なのではないかと思う。

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