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実は仲が悪かった両親、仲が良いと思い込んでいた私

私は、日々多くの入居者様とそのご家族に接する中で、家族の関係について深く考えることが増えました。

特に私自身の両親との関係が、大きな気づきを与えてくれた経験があります。今日は、そんな私の家族の話を通して、「家族の真実」について考えてみたいと思います。

両親は仲が良いと思い込んでいた私


私が子供の頃、両親はいつも私の前では、笑顔で接してくれました。家族で過ごす時間は楽しく、私は両親がとても仲が良いと信じて疑いませんでした。

学校行事にも一緒に参加してくれ、私の成長をいつも二人で見守ってくれていると感じていました。

両親が私の前で言い争いをすることもなく、むしろ穏やかで平和な家庭だと思っていたのです。私自身も、そんな両親を誇りに思っていましたし、「私の両親は理想的な夫婦だ」と信じていました。

しかし、大人になるにつれ、ある時ふと気づいたことがありました。表面上は穏やかに見える両親の関係が、実はそうではなかったのです。

真実に気づいた瞬間


私が20代になった頃、母親がぽつりと口にした言葉が、私の心に重く響きました。「実はお父さんと喧嘩ばかりしていたのよ。あなたが気づかないようにしていただけ。」その言葉を聞いた時、私は驚きと混乱が入り混じった感情を覚えました。

「どうして?」と思う反面、「ずっと騙されていたの?」という気持ちも湧いてきました。母親がさらに話すには、私が幼い頃から、父と母は度々衝突していたそうです。意見が食い違うことが多く、価値観の違いもあり、二人の間には見えない壁があったとのことです。

それでも、私の前では決してその姿を見せないようにと努めていたのです。「あなたを不安にさせたくなかったから」と母は語りましたが、私にとってはそれが大きなショックでした。

家族の真実は複雑


私が知っていた「両親の姿」と、実際の「両親の姿」は異なっていたことに、私は大きな戸惑いを感じました。

両親が私のために仲良く振る舞っていたことは理解できる反面、それが本当の家族の在り方だったのか疑問に感じました。

両親が抱えていた葛藤や衝突は、私には見えない場所で起こっていたことです。

しかし、その背後には「子供を守りたい」という強い愛情があったことも事実です。

介護の仕事をしている中で、私が関わる多くのご家族も、表面だけでは分からない複雑な関係を抱えていることがよくあります。

入居者様とご家族が表面上は仲が良さそうに見えても、実際には長年にわたる軋轢やすれ違いがあったという話を耳にすることがあるのです。

見えていなかったものを知ることの大切さ


両親の真実を知った時、私は少しだけ彼らを責める気持ちもありました。「もっと早く教えてほしかった」「隠さずにいてくれたら、自分も何かできたかもしれない」という思いが湧いてきたからです。

しかし、同時に彼らが選んだ道を理解しようと努めました。両親なりに私を不安にさせないようにと懸命に努力していたこと、そのために自分たちの関係を隠していたことは、彼らの愛情の一つの形だったのです。

家族というものは、必ずしも全てを共有する必要があるわけではなく、時には「知らない方がいいこと」もあるのかもしれません。

今振り返ると、私は彼らがどんなに衝突していても、私に対しては愛情を注いでくれていたことを強く感じます。それは、彼らが仲が良くても悪くても変わらない真実です。

介護の現場での家族関係


介護士として働く中で、私は多くの家族と接してきました。その中で一つ分かってきたのは、家族の関係は表面的なものだけではなく、深く複雑なものだということです。

表面上は冷たい関係に見えても、長年のわだかまりの中に隠された愛情があったり、逆に一見仲が良さそうに見えても、深い問題を抱えていることもあります。

家族が入居者様の面会に来るたびに、私はその家族の背景に何があるのかを想像することが増えました。

私たち介護士は、その家族の「真実」を全て知ることはできませんが、それでも入居者様とその家族の関係を尊重し、理解しようと努めることが大切だと感じています。

私が両親から学んだこと


私が両親から学んだ一番大切なことは、家族というのは完璧ではないということです。家族の間には、時に不和や衝突があっても、それでも家族であり続けることができるということです。

両親が私に見せなかった部分も、今では彼らなりの配慮と愛情であったと理解しています。そして、その愛情は彼らの仲がどうであれ、私にとってはかけがえのないものです。

介護士として働く私たちは、時に入居者様とその家族の関係に立ち会うことがあります。その時、表面的な言葉や態度だけで判断せず、その背後にある複雑な感情や歴史を理解しようとする姿勢が大切だと思います。

さいごに


両親の仲が良いと思い込んでいた私が、実はそうではなかったと知った時、その真実を受け入れるのに時間がかかりました。

しかし、今ではその真実を知ることで、両親の愛情をより深く理解することができました。

家族の関係は一筋縄ではいきませんが、それでも大切なのは、その関係の中にある愛情を見つけることです。

介護士として、私たちはその愛情を見つける手助けをすることができるかもしれません。家族の絆は、必ずしも完璧である必要はなく、その中にある温かさや優しさが本当の価値を持っているのです。

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