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りゅうちぇるさんの報告から考える「個性」の不安定性

 いつも通りTwitterを見ていたら、りゅうちぇるさんへの批判のつぶやきが散見されて、何事かと思って調べました。ぺこさんと新しい形のパートナーになるみたいですね。

これからは"夫"と"妻"ではなく、人生のパートナー、そしてかけがえのない息子の親として、家族で人生を過ごしていこうね。という形になりました。

ryuchellさんの投稿の抜粋

 私個人としては、この決断を批判する理由が全然わからなかったです。批判しているつぶやきが何万もいいねされているのを見て、驚いたし、正直しんどいと思いました。なんだかいつも、忘れたころに世間との認識の違いを思い知らされて、勝手にショックを受けているような気がします。

これまで皆さまに多様な生き方を呼びかけてきた僕なのに、
実は僕自身は、"夫"らしく生きていかないといけないと自分に対して強く思ってしまっていました。

ryuchellさんの投稿の抜粋

抜粋部分に類似したことに関して、個人的に切実な思いを抱えてきました。批判している人を馬鹿にしたいわけでもないです。でもりゅうちぇるさんの言うこの感覚がわかるような気がするから、書き留めておこうと思います。

「個性」の不安定性


わたしのバックグラウンド

 私は自分の身体的性に関して「違和感」というほどのものはありませんが、身体的性を誇張するようなものを身に纏うことをとてもストレスに感じます。性自認としては、男女どっちでもないし、寧ろ決めなくていいし、あえて言うなら男:女 = 4:6とかかな、というくらい。身体的性としては女性だけど、スカートは不快感があったりそうでなかったり、胸が強調されるのがとても不快だったりします。逆に「男性っぽい」恰好をしないと落ち着かないような時期があったり、でも女性の体用に作られてはいないので逆に不快になってしまったり。こういう服装もあって、周囲はわたしのことを男女どっちでもない人という認識をしてくれているようでした。私自身はあまり意識していなかったのですが、このおかげで学生時代はとても楽だったのだと思います。

 世間との認識の差異をきちんと自覚したのは社会人になるときでした。就活の時はスーツを着るのが苦痛で苦痛でしょうがなかったです。メイクもしなきゃいけないし、ヒールも履かなきゃいけない。それだけでもう地獄でした。かといって性自認と合う恰好をするとしても、就活生は誰かに評価される立場です。ほかの就活生と「違う」ということが評価にどんな影響を与えるか、という不安を常に持っていなければならなかったです。

見えない「抑圧」と「個性」の不安定性

 「自分の個性を殺したくないし、殺したらめちゃめちゃ苦しいのは分かってるのに、殺さないと社会で生きていけるか分からない」ということは、そのときずっと思っていたことでした。「性自認と違うことがマナーとして求められているんじゃないか」とか、周囲の人の何気ない発言に敏感になりすぎてしまっていた部分もあるのですが、私の場合社会の中で「いない」扱いをされている感が強かったんです。LGBTという言葉は広まってきたけど、私みたいな微妙な人は、ただスーツを着たくない「我儘な子」として認識されるんじゃないかな、とか。スカートをはけるのに性自認は女性じゃないっていうのは、もっと性自認に関して悩んでる人に申し訳ないな、とか。でもやっぱり不快感はなくならないし、ストレスもすごい。

 仲の良い友人から見たら、私は個性を大事にしてるようには見えてたみたいなのですが、私の「個性」の土台はぐらぐらでした。もういっそぐちゃぐちゃ、といったほうが正しいのかもしれません。周囲の人には見えないのに、ずっと「抑圧」されている感じ。「個性」を大事にしたいって積極的に言っていきたい、発信していきたいけど、周りのほとんどの人と違う認識を、自分でもストレートには認められないんですね。いろんな葛藤をしながら「個性」を認めていこうとあがいてる感じでした。

今回のryuchellさんのご報告に関して

 夫婦であることからパートナーになることがどうしてそんなに絶望なのか、私には分からないんですけど、多分「ほかに好きな人ができた」とかそういうことじゃない気がします。お子さんに対する責任を放棄するわけでもない。多分、めちゃめちゃ考えた末の決断なんだと思います。というか、本当に追い詰められてしまったんじゃないかな、と。恋愛対象として見れなくなったのか、とかそういうのは分からないのですが、「夫」という立場なのに、世間から求められる「夫としての男らしさ」みたいなものを表現できないから、「男らしさ」と結びつけられた「夫」という概念から抜け出したいのではないでしょうか。

 自分の性自認について友人に相談すると、自分が悩んでいるよりずっと「軽い」返答が返ってきます。「そんなのみんな気にしないよ」とかそういうのです。これはこれで「じゃあ気にしすぎなんだね」ってなるから助かるんですけど。でも、いつもではないけど、「全然わかってくれない」と思ってしまうときがあります。どうしても軽く考えられないときがあります。りゅうちぇるさんも多分、軽い気持ちでこういう決断になったのではないと思う。

まとめ

人によって考え方は違うし、それまで変えようとは思わないから、誰にこの記事を書いているわけでもないです。マイノリティだとしても人によって感受性も違います。が、共感はできないかもしれないけど、理解はしてほしいって思いだけ込めておきます。

ryuchell すべてのド真ん中には♡愛♡がある - Instagram: "いつも応援してくださっている皆さまへ。 僕たちの家族についてお伝えしたいことがあります。 8年前にてこと出逢い、僕はてこを好きになりました。 女性を好きになることは、僕の人生の中で、初めての事でした。 てこはそんな僕に自信をくれて、男としての幸せを教えてくれました。 お付き合いしていく中で、こんなにも楽しくて、お互いを高め合えて、辛い時も乗り越えられる。 そんな関係性を、そんな愛を、自分が女性と築けるとは思ってもいませんでした。 一生一緒に居たいと思えたからこそ結婚して 夫婦になる道を選択し そしてその愛が形になり、最愛の息子も生まれました。 かけがえのない息子の父親であること。 信頼できるてこの夫であること。 ryuchellという芸能人であること。 そんなこの上ない幸せな日々を守るために、自分を隠してでも、そう生きていくと心に決めていました。 そんな中、メディアで自分のこれまでの生き方や、"夫"としての生き方についてお話しさせていただく機会が増えていく中で、"本当の自分"と、"本当の自分を隠すryuchell"との間に、少しずつ溝ができてしまいました。 これまで皆さまに多様な生き方を呼びかけてきた僕なのに、 実は僕自身は、"夫"らしく生きていかないといけないと自分に対して強く思ってしまっていました。 "夫"であることは正真正銘の''男"でないといけないと。 父親であることは心の底から誇りに思えるのに、自分で自分を縛りつけてしまっていたせいで、''夫''であることには、つらさを感じてしまうようになりました。 もちろん自分が覚悟して決めた道なのだから、 どんなにつらくても、愛する家族のために自分の本当の気持ちを押しころす事が愛だと、強く強く思う反面、 誰にも、そしててこにさえ、本当の自分のことを言えずにいる苦しさを、毎日1人で抱え込んでしまいました。こんなに愛する家族がいるのに、生きていくことさえ辛いと思ってしまう瞬間もありました。 このままでは自分が本当にダメになって 一番守りたい家族のことも守れなくなってしまうと感じ、 これまでの事、今の思いを、てこに全て打ち明けました。 打ち明ける事は本当に怖かったし、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。 てこに何と言われるかも想像が出来ませんでした。 だけどてこは、「今まで辛かったね」と泣いて抱きしめてくれました。 その深い愛に涙が溢れて、僕が思っていた以上に、僕がどんな人間であれ、てこは僕という存在を理解し、大切に思ってくれました。 僕自身"夫婦"という形を覚悟して選び、そしててこも覚悟して、僕に人生を捧げる道を選んでくれたのに、 僕の弱さのせいで、夫として、男として、てこを守ることが出来なかったこと。 どれだけ伝えても足りないほど、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、 家族として、パパとしては、 何があってもこの幸せは守りたいと強く思いました。 それから2人で今後についてよく話し合い、これからは"夫"と"妻"ではなく、人生のパートナー、そしてかけがえのない息子の親として、家族で人生を過ごしていこうね。という形になりました。 もちろん、今まで通り家族で暮らします 👨‍👩‍👦 まずここまで読んでくださった皆さん、きっと驚かせてしまったと思います。 今お話しさせてもらった通り僕には隠していた部分がありました。 その僕を信じて応援してくださっていた方、本当に申し訳ありません。 また、関係者の皆さまには、比嘉企画の代表取締役として多大なるご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。 そして、最後に信じて欲しいというのはおこがましいですが伝えたいことは、今までメディアに出させていただいた中で発してきた、生き方への考え、そして、てこへの愛の言葉には、嘘はなにひとつありませんでした。 これからは、今こうして皆さまに打ち明けられた事によって、僕自身が認めてあげられた本当の自分で、新しい形の家族を愛していきたいです。 そしてryuchellとしても皆さまに応援していただけるような存在であれるように、 これからは本当の自分を大切に頑張ります。 ryuchell" ryuchell すべてのド真ん中には♡愛♡があるがInstagramで投稿をシェアしました: 「いつも応援してくださって instagram.com


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