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〈小説〉青い目と月の湖

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長編小説なのでこのマガジンにまとめています。 とはいえ『腐った祝祭』ほど長くはないです。 魔法使いと呼ばれる男が出てきます。
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2024年5月の記事一覧

小説|青い目と月の湖 21

 二人が帰り、夕食の準備にとりかかろうとキッチンに入ったところで、玄関のドアがノックされ…

mitsuki
1か月前
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小説|青い目と月の湖 22

 コーヒーはこの村では高価な飲み物だった。  村にコーヒー農園はなく、行商人から手に入れ…

mitsuki
1か月前
9

小説|青い目と月の湖 23

 ハンスが浮かない顔をして部屋に入ってきたので、クロードは食糧の籠を受け取りながら聞いた…

mitsuki
1か月前
9

小説|青い目と月の湖 24

 村長の自宅の居間に通されたクロードは、出されたハーブティーを飲みながら彼を待っていた。…

mitsuki
1か月前
6

小説|青い目と月の湖 25

 ハンスはポケットに入れている手紙の内容を、時々思い返しながら歩いていた。  馬には荷…

mitsuki
1か月前
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小説|青い目と月の湖 26

 暖炉の前でクロードは小さく息を吐き、腕組みをした。  マリエルは、大きなソファーのほん…

mitsuki
1か月前
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小説|青い目と月の湖 27

 思いがけず、ドアは音もなく開いた。  どうしてそこにクロードがいるのか、ハンスには理解できなかった。  クロードは、湖に近付くことさえできないのではなかったのか。  それがどうしてこの城に、この城の広間に?  しかし、そんな疑問はすぐに何処かへ吹き飛ばされた。  挨拶のキスくらい、ハンスだって見たことはある。  父や母がおはようと言ってキスをしたり、自分にキスをしてくれたり、家族以外の場合でもそんなのは驚くようなことではなかった。  だが、今自分が見ているものは、言わ

小説|青い目と月の湖 28

 昨日、日が暮れる前に出かけようとクロードは言ったが、マリエルは断わっていた。  もちろ…

mitsuki
3週間前
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