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自動改札なんてない!紙チケットに時刻スタンプで電車賃支払いの国

迷惑系外国人YouTuberによる日本での無賃乗車が話題になっているので、私の出身地の電車の乗車方法について書いてみたいと思います。
私のキセル乗車経験についても。
※これは無賃乗車やキセル乗車行為を推奨するものではありません。


ヨーロッパの田舎から見ると本当に東京ってすごい。

今はICがメインになった日本ではあるが、個人的には従来の磁器も十分技術が詰まっていて凄いと思っている。何がすごいってスピードである。あれは本当すごいというか、考えた人は天才じゃないだろうか。「大量の人に違反なく電車を使わせるにはどうしたら…?駅員足りないし…」で今の形に至ったと聞いている。


チケットについて

私の出身地ではIC式と紙切符の2種類が使われていて、電車バス共通である。

ICは接触式(タッチはできない)、基本的には定期券のみでチャージなどはできない。正直な話2000年代のIC式登場しただけで相当びっくりだった。未来が来た!と思った。

他は紙券しかない。磁器もついていないただのちょっと丈夫な紙である。

左が一般の電車の4回券。右はベルリンの地上鉄道の2日券。

仕組みは簡単で、まず自販機で券を買う。次に駅か電車内のどこかにスタンプ機があるので、挿入口にチケットを入れると写真左のチケットのように時刻などが刻印される。ただそれだけ。日本語ではこれを「信用乗車方式」と呼ぶそうだ。
ちなみにスタンプ機が壊れていたら(よくある)、取り締まりが来た時に乗った駅名と時刻を申告する。取り締まり方法は見回りがランダムに乗り込んできて「チケットを」と言って紙の印字を確認する。ちなみに頻度の話をすると遭遇しない日の方が全然多い。罰金は1回で50ユーロくらい程度だったはずで、つまるところとっても運がいいと罰金より安く乗れちゃうかも、という話にはなってくる。(絶対にやらないでください。)

なぜここまでアナログなのか

その答えは簡単で、それ以上も必要がないんだ…改札が必要なほど人がいないんだ…田舎なんだ…というだけの話である。パリに旅行に行くと駅に改札があってびっくりしてしまった。人が多いとはそういうことなのかと。

これでも2000年代には不正乗車対策が増えた。バスでは前から乗って、運転手にチケットを見せるシステムに変更になった。運転手が印字を見てるわけではないし、ICも有効期限確認してるわけじゃないから抑止力にしかならないのだが。(要するにチケットを持っているかだけを見ている)
同時に運転手からチケットを買うこともできるようになった。もしかしたら昔からできたのかもしれないが利用した記憶がないのでよくわからない。

罰金と正規料金の不思議な関係

車内には必ず「罰金は高いぞー!無賃乗車するなよー!」という張り紙が貼ってあった。つまり多いってことですかね?とはいつも思っていた。

地域によってかなり差があるとは言われているが、全国のバス・鉄道の乗客の3,5%が不正と推定されている(https://www.n-tv.de/politik/Schwarzfahren-soll-teurer-werden-article5382556.html)現代ではソーシャルネットワークを利用した集団での不正もあるんだとか。(同様の事件は日本でもあったのは記憶に新しい。朝日新聞デジタル:「ファン同士、新幹線キセル乗車助けた疑い「全国に仲間」」

2012年には罰金が40から60ユーロに値上げされた。どこの地域かは知らないが40ユーロは幾らなんでも安すぎる。地元で短距離用の1ヶ月定期が70~80ユーロ(学生は35ユーロ)程度なので、地域にもよるとはいえ、正規料金の方が高いのおかしくないだろうか。
全国的にBeförderungserschleichungというものがあり、公益性を鑑みて悪質でない限りさらに厳罰にはならないようなので、それこそ外国人が遊びにきて「無賃乗車してみた」とかやりだしても60ユーロで生き延びられるという話にはなってくるかもしれない。
私が通学で取り締まり員に遭遇したのが2~3ヶ月に1度程度(頻度が高い時期もある)だったことを考えるとやはり罰金の方が安いだが?!と思ってしまう。

「信用乗車方式」の乗客は信用できるのか?

信用乗車方式は性善説、つまり乗客がキセル乗車するとき"罪悪感"を感じるもの、っていう前提の上に成り立っている。つまり「罰金の方が安いじゃーん😃」という人は"罪悪感"も何もないわけで、そういう人が増えると一気に崩壊するシステムである。

地元も治安が悪くなっているらしいので、こういった面でも厳しくなってくるのではと私は懸念している。個人的には早い段階である程度問題が起きることを見越して投資しておかないといけないなーと思っている。

最後に

お約束した通り、私のキセル乗車体験を語ろう。

当時学生定期を使って乗車していた。すると係員が来て「チケットを」というのでいつも通りカードを差し出した。係員はそのカードを機械に差し込み、普段ならすぐ返してくれるのだがどうも時間がかかっている。「どの駅で降りるの?」と聞かれたので次の駅だと答えるとそこで彼らと一緒に降りた。「この定期は無効だよ。ドイツ鉄道の窓口に行って聞いてみて。罰金はそこで払うことになるよ。」と言われた。「あなた達は何もわからないんですよね?」と聞くと当然「そうだね。無効だってことしかわからない」と返ってきた。不可抗力だとわかってなのか、特に怒られもしなかったし、態度も親切だった。

いざ市内に一つしかないドイツ鉄道の窓口に父と赴いた。窓口のお姉さんによると「口座から引き落としができてませんね。罰金は50ユーロです。支払ってください。」
ドイツ鉄道というのは国営なだけあって大変不親切で不便で面倒臭い会社なのだが、口座からの引き落としに失敗しても何か案内が来たりはしない。いつの間にか定期は無効になっていて、2ヶ月だったか引き落としがされていなかった。
父は天然?なのか、実際の定期代と罰金両方を支払おうとしたが、当然お姉さんは「どうして?20ユーロ節約できてよかったじゃないですか。」と言った。私も職員がそう言っているのだからそれでいいと父を説得し、50ユーロだけ支払って帰った。
ドイツ鉄道が不親切なおかげで20ユーロも浮いた。20ユーロもあればハリボーの不ゴールドベアが20袋以上買える。昼食が二日分食べられる。そこそこのお金である。しかし本当にこんな社会でいいのか。疑問は残る。


繰り返しますが、私のこの体験談は無賃乗車を推奨するものではありませんし、私の場合はあくまで不可抗力であったことをご理解ください。法律は守りましょう。

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