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日本に来て最悪だった唯一の出来事

この記事は本来英語で書く予定でした。日本語だと"Baka Gaijin"の悪口を言っているだけのようで、あまり世のためにならないと考えたからです。しかしnoteは日本のサービスでユーザーも日本語で読みたいだろうと思い、方針転換することにしました。
よって所々日本語が怪しいところがありますがご容赦ください。



苦労人アメリカ人先生の叱責スピーチ

以前の投稿でも書いたが「日本に戻ってからどんな嫌なことがあったか」を周りから聞かれるので、あえてこの話をする。

それは大学の英語の授業でのこと。専攻には直接関係はない、所謂”平凡で退屈な”ESL(English as Second Language)の授業だった。担当の講師は私達を日東駒専のとある大学とよく比較したがった。これはMARCHレベルの大学での出来事だ。

ちなみに私は日東駒専もMARCHも異なる運営方針だと思うので比べることはナンセンスだと思っているので、学校の"レベル"を比較するつもりは一切ない。「少人数で教授陣とのやりとり多め」か、「大人数で学費を集め、教授陣とのやりとり少なめ」の違い程度だと思っている。

英語の授業はアメリカ人の非常勤講師によって行われていたが、いわゆる「英会話」にはあまり重きを置いておらず、教材のプリントを記入して読み合わせていく方式だった。前期はもっとトーカティブな講師の授業を受けていたので、正直少し困惑した。そしてある日、事件は起こった。

何が起こったかといえば、ある日一人の学生が宿題をしてこなかった。宿題は簡単なワークシート、文章の穴を埋めて完成させるようなものだった。「先生に当てられてからその場でやろう」と思われても不思議ではないようなレベルだ。しかし先生はそれに気づいてキレちらかしたのだ。
生徒全員が日東駒専の大学と比べて私たちのモチベーションが低いことを叱責した。

ここまでは私も理解出来る。全員が率先して挙手するような西洋的な授業の作りでもなかった(これは講師の問題)が、欧米ではそれでも積極的に挙手するのが普通で成績に直結するし、日本国内でもどういう環境で育ったか、大学内でどのような雰囲気が支配しているかの問題が大きそうだ。

すると講師は自身がコロンビア大学に在学中だった時代の話を始めた。
「俺はコロンビア大学を出た。"あの"オバマ大統領(当時)と同じ大学に通っていた。しかし裕福な家庭ではなかったから奨学金をもらうため必死に勉強した。」

その頃私は、そこまで言っておきながら、そんな世界的に有名なアメリカの大学を出て、結局、外国人の間では"底辺の仕事"と言われる、日本の中堅レベルの大学でESL英語を教える講師ことになったことを不思議に思った。
とはいえ、教育を受けられることはありがたいことで、それを施してくれる人には敬意を払うことが必要だと教えようとしているわけだし、別に問題ないと思った。

しかしここからやや話が逸れ始めた。
「お前たちは全員が裕福で、それだけが理由でここにいるんだ」と言い放った。

より裕福な家庭は高等教育を受けるチャンスが多い。これは公然の事実だから私は否定しない。ただし実際のところ、私の隣に座っていた友達は全く金持ちではなかった。一生懸命勉強し奨学金をもらって通っていたり、遠い地方から出て来ていたり、決して都会育ちのお嬢様、御坊ちゃまたちではなかった。

最悪だったのはここからで、講師は突然皇族をディスり始めた。一応言っておくが、それが違法でないことは私も認識している。一方で個人的には割と傷ついた。

彼は「皇太子ご夫妻(当時)が海外留学したのは金持ちだからで、賢いからではない」「海外で卒業しなかったのは頭の出来が悪くて、卒業が見込めなかったから」と主張した。

強烈な「お前らは金持ち、俺は違う」スピーチで私も流石にoverwhelmedだったところに、更に居心地が悪くなって、もうこの講師とは関わりたくないと思った瞬間だった。

最終的に先生は「この大学は金払いが悪いから来年の契約は更新しないだろう」と行って教室を去った。年度内の残りの授業はまだ半分以上あった記憶があるが、全て休講になった。

ちなみにスクールカウンセラーで予約があったのでこの話をしたら、学生課に伝えると言ってくれた。

考えたこと

所詮同じ人間なのだから、教員が全生徒を好きでいることなんてハナから期待していない。態度が悪い、あるいは非協力的な生徒はいくらでもいる。あるいは、外国人が思う以上に、大人しくすることが単に一般的な振る舞いであることもある。教師として生徒に変わって欲しければ、工夫が必要な場合もある。(積極的に参加したら加点、宿題忘れたら減点、など)ただし18歳という成人年齢にもなったなら学生は自分に責任を持つべきで、「自分の態度は自分の意思である」ことを自覚せねばならない。

私は講師の立場だったとしたら、参加したくないならそのままにして単位を出さないか、教室を出てより有意義な時間を過ごすよう促すだろう。

とはいえ偏見に基づいて目の前にいる人を悪く言うのは受け入れがたい。
金曜日の夜、友達と飲み会で「うちの生徒は全然ダメ、銀のスプーンだからさ」と愚痴るのは全く気にしない。しかし授業中、しかも対面ではまずありえない。いい大学を出たり、学歴が高かったところで、それを人をディスる武器に使ってはろくな人間にならない。

皇族をバカにした件については表現の自由が日本の憲法では保障されることは再確認しておきたい。もっと詳細を知りたい人のために書いておくと日本での皇族に対する不敬罪は親告罪で、代理人になれるのは内閣総理大臣だけである。
個人的には「悪口言うな」とは全く思わないが、そちらの味方はしないし、皇族は尊敬できる方々だと思っている。
日本に暮らす外国人のためのヒントだが、王族などがいる国に行った時、それで逮捕されたり仕事をクビになったりは必ずしもしないかもしれないが、本当に尊敬している人からは予想外の反応があるかもしれないことを覚えておいたほうがいい。
日本人の大半はそんなことで人を攻撃しないと思うが、extremistか何かと思われると予想されるので、よく覚えておくことだ。

改めて。個人的には先生の主張には賛同しない。私は皇族の方々は多くの困難に面していても人々のために多くの努力をしてきたことを知っているし、信頼している。
というわけで、皇族を尊敬している自分にとって、アメリカ人が彼らをディスってきたその日が、日本で最も傷ついた体験だろう。予想していなかった出来事だし、突然だったことも関係あると思う。
銀のスプーンの話で終わっていれば「偏見で判断する視野の狭い人だから忘れよう」と思えたのだが、最後の皇族ディスが明らかにこの出来事を忘れられないものにした。

そしてなぜそうなったのかもよくわからない。そんなに皇族が好きだとは自分でも思ってはいなかった。この話には良かった点もあるかもしれない。自分がどんな意見を持っているのか気づかせてくれたことだ。

また別の投稿で書いても良いが、日本にロイヤルファミリーがいてよかったと思う。

  • 政治のトップが都度公務に出なくて良い

  • 多少ながら国家関係の緩衝材になる(中国との関係など)

  • 王様レベル同士でしか進まない話に対応できる
    (タイのラーマ9世と明仁上皇陛下とティラピアのエピソードなど)

  • 他国の王様が辛い時、その痛みがわかってあげられる(ラーマ9世の死去など)

  • ちょっとロマンがある

しかし大統領しかいなくて、大統領が全てをやってしまう国の人にはわからないのだと感じた一件だった。

#教育 #文化の違い #カルチャーギャップ #帰国子女 #元帰国子女 #皇族 #イデオロギー #大学  

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